「エントリ一眼・キットレンズで星空撮影」第3回です。
今回取り上げるのは、M4/3(マイクロフォーサーズ)一筋、ぶれない路線を邁進するオリンパスの「E-M10 Mark III」です。
この連載も3回目。いろいろな新しいカメラとの出会いや発見があります。
今回「E-M10 Mark III」を使ってみて、「これはなかなかよいカメラに出会えた」という気がしています。
オリンパスなら、星空向けには「E-M10 Mark III」がベストチョイスかも!?
コンパクトなのに本格一眼・E-M10 Mark III
オリンパスのカメラの外観上の特徴は、何といっても「カメラらしいカメラ」であること。背面液晶だけでなく、ビューファインダーが付いているので、手ぶれしにくいしっかりしたホールディングが可能です。しかもボディ内5軸手ぶれ補正内蔵、そして小型軽量。使いやすいダイヤル配置で小さいのに操作しやすい。エントリクラスのカメラには「いかにも電子機器」な製品も多いのですが、このカメラは「クラシックスタイル」を貫いています。
この連載で使う3台目のカメラですが、なんでカメラって機種によってこんなに操作性が違うのでしょうか。シャッターボタン以外の、ボタン・ダイヤルの配置は各社・各機種で皆バラバラです。
その点、オリンパスのカメラは使いやすい部類です。エントリ機である「E-M10 Mark III」にも2つのダイヤルを配置しているのは、おおいに評価できるといえるでしょう。
モニタはティルト方式。星空撮影では横側の角度も変えられる「バリアングル」の方が使いやすいケースもあるのですが、シンプルな操作感はティルト式が勝ります。
余談になりますが、さすがにもう固定式の液晶モニタは絶滅寸前で喜ばしいことです。固定式のモニタでは、三脚に固定してレンズを空に向けてしまうと、構図もピント合わせも大変。
星空を撮りたいという気持ちが少しでもあるならば、固定式液晶モニタは避けることを強くオススメします。
低ノイズ・高画質
いきなりですが、赤道儀で60秒の追尾撮影をしてみました。
正直いって、「ここまで撮れるようになったのか」という思いです。すばらしい。
EM-10 Mark III のセンサーはとても優秀です。筆者は2世代前のM4/3機「EM-5(初代)」を所有しているのですが、それと比較してノイズは圧倒的に少なく高画質です。
四隅と中央を拡大してみました。輝点ノイズはそれなりにあるのですが、軽いノイズ処理でほとんど除去できるレベルです。実際、デフォルト設定でのjpeg撮って出し画像では、原色の輝点ノイズはほとんどなくなっています。
レンズも優秀です。「四隅まで点像」とはさすがにいきませんが、コマ収差で星が流れたり羽根が生えたりすることもありません。これなら安心して絞り解放で撮影できます。前回のLUMIXもそうでしたが、最近のキットレンズは暗くても解放から使える品質です。少し古い星空撮影のガイドには「レンズは1段くらい絞った方がよい」と書かれていることがありますが、エントリモデルなら「絞り開放」が推奨です。
星空をサクサク撮ろう
今回の撮影では「長秒時ノイズ低減」はOFFにして撮影しました。厳密には確かに差はあるのですが、OFFのままでも目に見えるほどの大きな差がなかったためです。
撮影後に待たされることがない「長秒時ノイズ低減」OFFの設定だと、撮影がサクサク進みます。上の作例のように、刻一刻と雲が流れるような条件の場合、速写性は大きなアドバンテージです。
夏の天の川。キットレンズの標準ズームのちょっと残念なところは、広角端が14mm(フルサイズ換算28mm)でちょっと狭いところ。これが12mmスタートなら文句ないところなのですが。
でも、換算28mmだからといって、まったく「撮れない」わけではありません。筆者の私見(偏見?)ではありますが、星空の撮影で換算15〜20mm程度の広角レンズが好まれるのは、単に「漫然と撮っても天の川と地上の両方が写る」からだと思っています。換算24〜35mmのレンズでも、ロケーションと時間帯を選べば、星空と風景の両方をバランスよく収めた写真をとることは十分に可能です。
EM-10 Mark IIIにキットレンズ、小型の三脚で重量はわずか1.5kg。この軽さなら、フットワークよく、あちこちに出歩いて撮影できるでしょう。ヤバイなあ…欲しいなあ…目が覚めたら、EM-5がEM10Mk3に変わっていないかなあ…。
※本文内の価格情報は2019年8月22日時点でのAmazon.co.jpの価格です。
日本唯一の?天文ファンのための全方位キュレーションサイト/その編集長。 天文ファン500万人化を目指して日々絶賛情報発信中。五感で感じる星空体験がモットー。天文宇宙検定2級。夢はベテルギウスの超新星爆発を見届けること。