【連載】天体撮影のトリセツ【第五回】

天体撮影の機材

2017.09.24
トリセツ編集部/山口千宗
あるのは星の光だけ。八重山諸島、波照間島の天の川。|
15mm F4  10秒 ISO32000(-8EV)
あるのは星の光だけ。八重山諸島、波照間島の天の川。
15mm F4 10秒 ISO32000(-8EV)

天体撮影の世界にようこそ。「天文リフレクションズ」編集長の山口です。

連載第三回・第四回の「月のある風景」、ご自分で撮影されてみましたでしょうか?
次のチャンスは9月16日前後の明け方の空と、9月24日前後の夕方の空です。
ぜひチャレンジしてみてくださいね!
また、撮影された作品はぜひハッシュタグ「#天体撮影のトリセツ」でツイッターにご投稿くださいね。

今回からは、いよいよ星空の撮影のお話です。
まず、星空撮影に適した機材と必要になるアイテムについてお話しします。

天体撮影に適したカメラ

1、手持ちのカメラでまずチャレンジしよう

まず必要なのはカメラ。

様々なカメラ

スマホ内蔵のカメラから高価なフルサイズ一眼までさまざまありますが、まずは「手持ちのカメラ」でチャレンジしてみましょう。
スマホやコンパクトデジタルカメラの場合、天の川のような暗い対象は苦手ですが「月のある風景」や「星のある夜景」ならじゅうぶん撮影できます。まずは、自分の機材で撮れるものから始めればいいのです。

2、大事な高感度性能

とはいえ、より星空撮影に適しているカメラは?というお話になると、カメラによって差が出てきます。
以前「星空はとても暗い」というお話をしました。
暗い被写体をキレイに写せる=高感度に強いこと。これが一番重要です。

左から、スマホ(iPhone7)|初期のM4/3ミラーレス一眼(E-PM1)|最近のフルサイズデジタル一眼(EOS6D)
左から、スマホ(iPhone7)
初期のM4/3ミラーレス一眼(E-PM1)
最近のフルサイズデジタル一眼(EOS6D)

上の写真は、同一対象を同じ露出条件で、異なるカメラで撮った結果です。
レンズが微妙に違うので一概には比較できませんが、ぶっちゃけ新しいほど、センサー面積が大きいほど高感度に強いです。

いいカメラ=良い写真が撮れる とは限らないのが写真の面白いところ。
カメラを買うまでは財布と相談して良いものを手に入れたいですが、いざ手に入れた後は使いこなしのほうがずっと大事な要素です

3、マニュアル露出ができること

カメラの便利な機能である「自動露出」「オートフォーカス」は、星空のように暗い対象では動作限界を超えてしまい使えなくなってしまいます。
露出とピントを自分で合わせるマニュアル撮影モードが搭載されていることが必要です。

でも、ほとんどのデジタル一眼カメラ・ハイエンドコンデジはマニュアル撮影モードを持ってます。
むしろ大事なのは、マニュアル撮影の際に「シャッター速度」「絞り」「ISO感度」「露出補正」のそれぞれを、すばやく的確に使いこなせるかどうか。
残念ながらデジタルカメラの操作方法は、各社各機種でまちまちなのが現状です。しっかりトリセツを見て練習をしておきましょう。

4、コンデジ・スマホでも撮れるの?

カメラの種類 高感度に強い マニュアル撮影モード
デジタル一眼カメラ
ハイエンドコンデジ

(機種によっては設定変更が必要)
コンパクトデジタルカメラ
(コンデジ)

(機種によっては使用不可)
スマホ内蔵カメラ ×
(専用アプリが必要)

カメラの種類別に、「高感度に強い」「マニュアル撮影モード可能」の条件をどの程度満たしているかをまとめてみました。一番適しているのはやっぱり「デジタル一眼(ミラーレス含む)」と、センサーサイズの大きな「ハイエンドコンデジ」です。

センサーサイズの小さいコンデジやスマホ内蔵カメラは、天の川のような本格的な星空撮影にはあまり向いていません。
特に、マニュアル撮影ができないと、撮影対象がお月様などの明るい対象に限られてしまいます。

OLYMPUS Tough TG-5取扱説明書より
OLYMPUS Tough TG-5取扱説明書より

ただし、例外も。 マニュアル撮影や長時間の露出ができないコンデジの場合でも、機種によっては夜景モードや星空モードが搭載されていて、星空を撮影することが可能な場合があります。
また、スマホ内蔵のカメラは、通常は標準ではマニュアル露出が搭載されていないのですが、専用のカメラアプリ(Lightroom mobileなど)をインストールすれば、かなりのところまでできるようになってきています。
これについては、また別の機会でお話できればと思います。


天体撮影に適したレンズ

レンズについてもカメラと同じで、暗い対象でもより多くの光量が得られる明るいレンズが有利です。

筆者が天体撮影で主に使用しているレンズ。これはかなりオタクなラインナップです。
筆者が天体撮影で主に使用しているレンズ。
これはかなりオタクなラインナップです。

レンズの明るさは「開放F値」で決まり、値が小さいほど明るいレンズ。
「F1.4」ならすごく明るいレンズ、「F2.8」なら普通に明るいレンズです。
また、スペック上の明るさだけでなく、絞りを一番開けた「絞り開放」のときの画質も重要。周辺部で星が流れたり・・・

おっと。
こんな話を始めると際限ないマニアの世界に突入してしまいます。
今の段階では、レンズは明るい方がよいとだけ頭のすみにとどめておいてください。

ライト級のミラーレスカメラのキットレンズ。開放F値は決して明るくはありませんが、じゅうぶん星空撮影ができます。
ライト級のミラーレスカメラのキットレンズ。
開放F値は決して明るくはありませんが、じゅうぶん星空撮影ができます。

いまこの記事をお読みいただいている方には、まずは「手持ちのレンズ」で撮ってみることをオススメします。
デジタル一眼カメラなら、カメラに最初に付いてきた、いわゆるキットレンズをきっと(笑)お持ちのことでしょう。

キットレンズは、だいたい広角〜中望遠(35mmフルサイズ換算で24mmから105mmくらい)までをカバーするズームレンズで、絞り値はやや暗いF3.5からF5.6くらいかと思います。天の川などの星空を撮るなら主に広角側を使い、月のある風景などを撮るなら主に望遠側を使います。
お持ちのレンズの35mmフルサイズ換算の焦点距離と開放F値は覚えておきましょう。

「35mmフルサイズ(フィルム)換算の焦点距離」については、トリセツの次の記事が分かりやすくてオススメです。
35mmフィルム換算ってなに?



山口千宗
【天文リフレクションズ/山口千宗】

日本唯一の?天文ファンのための全方位キュレーションサイト/その編集長。 天文ファン500万人化を目指して日々絶賛情報発信中。五感で感じる星空体験がモットー。天文宇宙検定2級。夢はベテルギウスの超新星爆発を見届けること。