天体撮影の世界にようこそ。「天文リフレクションズ」編集長の山口です。
連載第一回では貴方を天体撮影の世界へとお誘いしました。
この後、思い出の初ショットから天の川の撮影まで、やさしくかみくだいて順にご案内していきます。
第二回の今回は、天体撮影では必須となるマニュアル露出についてのお話です。
星空から太陽まで。 天体撮影の対象は暗いものから明るいものまでさまざまですが、その中でも「星空」はとても暗い被写体です。
星空はどれくらい暗いのか?
では、星空はどれくらい暗いのでしょうか。
上の図は、さまざまな被写体の明るさ(適正露出値)をEV値で表したもの。EV値については後ほどお話しますが、左にいくほど(数値が小さくなるほど)暗く、右にいくほど(数値が大きくなるほど)明るくなります。
一般の風景撮影は、だいたい右半分。快晴の昼間の明るさ15EVから、人間が野外でなんとか活動できる限界である2EVまで。
左半分が星空撮影の範囲。一番星が見え始める空の明るさ2EVから、月明かりも街灯りもない理想的な暗夜である-10EVまで。
理想的な条件での星空の明るさと、快晴の屋外では、露出なんと25段分も暗く、「適正露出」を得るためには、明るいレンズで高感度に設定しても分単位の露出時間が必要になるほどです。星空はものすごく暗いのです。
同じ天体撮影でも、惑星や月はけっこう明るくて、満月の場合は快晴の野外とほぼ変わらない「14EV」。やや暗い土星や三日月でも「10EV」程度。太陽面に至っては、なんと30EV以上もあります。一般の撮影と違って、天体の明るさの範囲はとても広いのです。
【連載】天体撮影のトリセツ
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日本唯一の?天文ファンのための全方位キュレーションサイト/その編集長。 天文ファン500万人化を目指して日々絶賛情報発信中。五感で感じる星空体験がモットー。天文宇宙検定2級。夢はベテルギウスの超新星爆発を見届けること。