【連載】天体撮影のトリセツ【第九回】

「ヒストグラム」を知ろう (1/3)

2017.11.12
トリセツ編集部/山口千宗
秋の星空を彩るおうし座の昴(プレヤデス星団、M45)|
肉眼でも6つ以上の蒼い星の集まりが美しい星団です。|
EOS6D 380mmF3.6天体望遠鏡  ISO1600 2分*40枚コンポジット
秋の星空を彩るおうし座の昴(プレヤデス星団、M45)
肉眼でも6つ以上の蒼い星の集まりが美しい星団です。
EOS6D 380mmF3.6天体望遠鏡 ISO1600 2分*40枚コンポジット
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天体撮影の世界にようこそ。「天文リフレクションズ」編集長の山口です。

前回の「大改造!星空写真の劇的ビフォー・アフター」、いかがでしたか?
上手にレタッチすれば、写真は見違えるほど変わります。

でも、具体的にどうすればいいのか?
「ビフォー」の何が良くないのか?
何をどうすれば良くなるのか?

今回はその道しるべとなる「ヒストグラム」について解説します。

「輝度」とは何か?

ヒストグラムとは何ぞや?を知るためには、まず「画像の明るさ」を表す「輝度」というものを体感してみましょう

写真を表現する光

上の画像は、「真っ黒」から「真っ白」までをなだらかに塗りつぶしたもの。
一番暗いものから一番明るいものまで。
「写真」を表現する光の、暗い端っこから明るい端っこまでが上の画像です。

輝度

「輝度」とは、この画像の明るさを数字で表したもの。
一番左が、「真っ黒」な部分、ここが輝度0となります。この付近を「シャドウ」と呼びます。
だんだん明るくなって、真ん中が輝度128。この部分は「中間調」
一番右が最大に明るい輝度255。この付近は「ハイライト」と呼びます。

コンピュータの画面に表示される映像は、この輝度0(真っ黒)から輝度255(真っ白)までの256段階の明るさで表されます。
つまり、この256段階がコンピューターとディスプレイの表現能力の全て。
この範囲を最大限に活用することが、よい写真を得る一つの指針になります。

ここまで「色」については無視してお話ししましたが、実際には写真では赤(R)、緑(G)、青(B)の光の三原色それぞれに、0〜255までの明るさ(輝度)が割り当てられます。
この赤、緑、青の256段階の明るさの組み合わせの数は約1600万。この膨大な数の情報で、全ての写真は表現されているのです。





「ヒストグラム」とは何か?

続いて「ヒストグラム」です。
さきほどの画像のヒストグラムを見てみましょう。

ヒストグラム

上の図の右が「ヒストグラム」。 画像の中の輝度別の範囲の広さ(面積)の分布をグラフにしたものです。
上の画像は、輝度0から輝度256まで、なだらかに分布してますね。
これを反映してヒストグラムも明るいところから暗いところまで、ほぼ満遍なく広がっています。

このグラフ「ヒストグラム」が、写真の仕上がりを「見える化」する大事な情報なのです。

ヒストグラム

今回のトップ画像のヒスグラムを見てみましょう。
このヒストグラムは、典型的な天体写真でよく見られる形をしています。

この写真の面積の大半は、背景の空(輝度30〜40)。ヒストグラムの山は、この付近で鋭く立ち上がっています。
星団のまわりを取り囲むベールのような広がった星雲(輝度50〜200)がそれに続き、なだらかに下がってゆきます。
明るい星の中心部は最大輝度の255。でも、星が写真の上で占める面積はほんの一部なので、ハイライト部分のヒストグラムは、ほとんどゼロに近いくらいに下がっています。

シャドウから鋭く立ち上がってピークを迎え、ハイライトに向かってなだらかに下がっていくこの作例のヒストグラムの形は、星空の写真の一つの理想型といえます。

「ヒストグラム」でみる明るさ
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山口千宗
【天文リフレクションズ/山口千宗】

日本唯一の?天文ファンのための全方位キュレーションサイト/その編集長。 天文ファン500万人化を目指して日々絶賛情報発信中。五感で感じる星空体験がモットー。天文宇宙検定2級。夢はベテルギウスの超新星爆発を見届けること。
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