【連載】天体撮影のトリセツ【第九回】

「ヒストグラム」を知ろう

2017.11.12
トリセツ編集部/山口千宗

「ヒストグラム」でみるコントラスト

最後は「コントラスト」のお話。
コントラストとは、明るい部分と暗い部分の輝度の差のことです

コントラスト

上の画像は、背景を輝度126で塗りつぶして、その上に輝度125から121まで、輝度を1づつ変えて文字を書いてみたものです。
一番下の輝度121なら、たぶん読めると思いますが、輝度差が1しかない「輝度125」はほとんど読めませんね。

ヒストグラムを見ると、真ん中に鋭いピークが1個あるだけ。
輝度121〜126の、たった五段階しか明るさの違いがない画像なので、こうなります。

この画像は「輝度差が少ない(=コントラストが低い、階調に乏しい)」極端な例。
本来0から255まで使えるはずの輝度の範囲を、ほとんど活用できていない状態です。

コントラスト

この画像のコントラストを上げてみたのが上の画像。 「コントラストを上げる」という操作は、画像のわずかな輝度差を拡大(誇張)することです。
一つ上の画像のヒストグラムの黄色の枠の範囲を、左右に大きく広げることに相当します。
この例では、輝度差を8倍ほど拡大しています。

街灯りの強い場所で星空を撮影すると、星の弱い光が背景に埋もれてしまい、このようなヒストグラムの細い、階調に乏しい画像になりがちです。
そんな時には、コントラストを上げたり、レベル補正でハイライト・シャドウを切り詰めて輝度差を拡大してやることで、天の川や暗い星を浮かび上がらせることができます。

オリオン座のバーナードループ|
EOS6D 85mmF2.8 ISO3200 2分(-9EV) 赤道儀で追尾撮影|
福岡県東峰村
オリオン座のバーナードループ
EOS6D 85mmF2.8 ISO3200 2分(-9EV) 赤道儀で追尾撮影
福岡県東峰村

前回ご紹介したビフォー・アフター画像の一つ。
左のビフォー画像は、街灯りに埋もれた星空の典型。ヒストグラムは細く立っています。背景の輝度は真ん中の128付近ですが、この大半は背景の空の光によるもの。

この画像の場合、アフター画像ではレベル補正で街灯りの光を切り捨て、コントラストを上げています。
ヒストグラムの山は左側に移動し、山の幅も大きく広がりました。
その結果、埋もれていた淡い星雲があぶり出されたのです。





まとめ

いかがでしたか? 「いきなりヒストグラム」は、初めての方には少し難しかったかもしれませんが、私自身がヒストグラムをよく理解していなかったことで大いなる回り道をしてしまった経験から、なんとか皆さんにも知って欲しいと思って今回あえてヒストグラムのお話をしました。

ぶっちゃけ、ヒストグラムを知らなくてもレタッチはできます。最近のレタッチソフトは、グリグリいじっているだけでなんとかなるものです。でも、ヒストグラム、もっといえばデジタルの写真の「仕組み」を知ることで、レタッチの幅は大きく広がります。
何より「あれこれいじってもう訳が分からなくなったとき」に、できあがった写真の仕上がりを客観的に視覚化して見ることのできる手段がヒストグラムなのです。

次回は、画像処理編のまとめとして、一つの作例が完成するまでの画像処理の全体を通してお話ししたいと思います。
お楽しみに!

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山口千宗
【天文リフレクションズ/山口千宗】

日本唯一の?天文ファンのための全方位キュレーションサイト/その編集長。 天文ファン500万人化を目指して日々絶賛情報発信中。五感で感じる星空体験がモットー。天文宇宙検定2級。夢はベテルギウスの超新星爆発を見届けること。