「マニュアル露出」をマスターしよう
写真は、レンズで光をイメージセンサーに結像させ、それを電気信号に変換して画像として記録するものです。
このときに大事なことは、センサーがもっとも効率的に像をとらえられるように、受ける光の量(=露出)をコントロールすること。
光が多すぎても、少なすぎても、キレイな写真にはならないのです。
では、星空を撮影する場合、露出はどのように決定すればいいのでしょうか。
一般の撮影の場合は、カメラに任せてしまうことができるのですが、カメラの自動露出は機種によって若干異なりますが、だいたい0EV程度までが限界。
星空のような暗い対象ではカメラの自動露出はあてにできず、マニュアル露出で撮らざるをえません。
星空撮影をするためには、このマニュアル露出をマスターする必要があります。 マニュアル露出では、「シャッター速度」「絞り値」「ISO感度」の3つを、それぞれ自分で適切に設定して撮影しなければなりません。 それらを順に見ていきましょう。
シャッター速度とは、センサーに光を当てる時間のこと。
この時間が2倍になると、センサーが受ける光の量も2倍になります。
シャッター速度は、3つの手段の中では最もコントロールできる幅が広く、カメラにもよりますが20段くらいの幅があります。
シャッター速度で注意しなければならないのは手ぶれ。
被写体が暗いと、どうしても露出時間が長くなってしまいます。広角から中望遠のレンズの場合、機材差・個人差もありますが、1/30秒より長い(遅い)シャッター速度で撮る場合は、手ぶれが発生してしまう可能性があります。上の作例は、「1/13秒」で撮影したものですが、しっかりぶれてしまっていますね^^;
星空はさらに暗いため、撮影では4秒〜30秒以上の長いシャッター速度を使用することが多くなります。
このため、手持ちで撮影することは不可能で、三脚などを使用してカメラをしっかり固定する必要が出てきます。
絞り値:像の明るさ
絞り値とは、レンズが結ぶ像の明るさのこと。数字が小さくなるほど明るく、大きくなるほど暗くなります。
絞り値がややこしいのは、シャッター速度のように単純に比例するのではなく、数字が2倍になると明るさが1/4になること。
上の図は、明るさが2倍(一段)づつ違ってくる絞り値を一覧にしたもの。
最も明るい絞り値はレンズによって決まっていて、レンズの枠などに書いてある「F1.4」とか「F2.8」という数字で、これを「開放絞り値」と呼びます。
星空はとても暗いため、絞り値は通常、開放絞りから1〜2段絞ったくらいまでを使用します。
ISO感度:センサーの敏感さ
ISO感度とは、センサーがどれくらい敏感に光を感じるかを表す数字。
この数字が2倍になると、センサーは2倍光を感じるように動作します。
上の図は、一般的なデジタルカメラに設定可能なISO感度を一覧にしたもの。
機種によって違いはありますが、最低のISO感度は100前後、最高のISO感度は1600〜51200くらいです。
実はISO感度は、センサーが受けた光を電気信号に変換する際の「水増し率」のようなものなので、むやみに感度を上げてもノイズの多いだけの画像になってしまいます。特に、センサーサイズの小さいスマートフォン内蔵カメラやコンパクトデジタルカメラの場合には顕著。
天体撮影でのISO感度の目安は、カメラにもよりますがだいたいISO1600からISO6400前後と覚えておいてください。
日本唯一の?天文ファンのための全方位キュレーションサイト/その編集長。 天文ファン500万人化を目指して日々絶賛情報発信中。五感で感じる星空体験がモットー。天文宇宙検定2級。夢はベテルギウスの超新星爆発を見届けること。