フラッグシップ機からプロ機への脱皮。

まさにモンスターマシン。OM-D E-M1 mark IIその魅力に迫る!!(後編)

2017.03.07
トリセツ編集部/エマーク荻窪圭
MC:トリセツ編集部 編集長 EMARK(エマーク)
解説:デジカメライター 荻窪圭

皆さんこんにち、トリセツ編集部 編集長のエマークです。
今回編集部がチョイスしたのは、オリンパスから昨年末に発売された「OM-D E-M1 mark II」。前篇ではデジカメライターの荻窪圭さんに、前任機である「E-M1」からどう進化したのか、その魅力について解説していただきました。プロ機としても十分に使えるカメラとして「OM-D E-M1 mark II」がどうパワーアップしたのか、後編ではさらに詳しくその魅力に迫っていきたいと思います。

AF

・飛躍的な進化を遂げたAF

エマーク:ではAFについてですが、「121点オールクロス像面位相差センサー」名前が長くて(笑)。実際に使用してみてどんな感じですか?

荻窪:ズバリ、早いです。前のモデルもミラーレス機としては早かったのですが、ちょっと間に合わない。この機種だとピントが合ってシャッターが切れるなというのが感覚としてわかる。条件がいいとパンフォーカスのような感じでピント合わせてないだろうお前、と言いたくなるような一瞬にしてピントが合う。

エマーク: うんうん、へー。

荻窪: 昔は半押しでフォーカスをロックしてタイミング見計らって撮っていましたが、これはもう一瞬であっと思ってシャッターを切ってしまえばピントが合う。

エマーク: へー、なるほど。

荻窪: そのかわり、万能ではないのでやはり暗いと苦手。それなので暗い時はコントラストAFといって今までの方式と併用することになりますが、明るい時だったらほんとに早いです。嘘みたいに。

エマーク: AFには大きく分けて「シングルAF(S-AF)」と「コンティニュアス AF(C-AF)」の二つがあるわけですが…

荻窪: そうですね、要するに像面位相差だけだと合わせられない場面があるんですよ、暗かったり、ピントが合わない被写体だったり。そんな時に従来のコントラストAFを併用することによって、より正確なピント合わせをしようということです。「シングルAF」とは一枚だけ撮る、ピントを固定して撮る。

エマーク: 最初に半押ししてしまえば、そこでピントが動かないということですねよ?

荻窪: そうですね。そのため、より正確なフォーカスが重要視されるシーンで使います。

エマーク: なるほど。そして「コンティニュアス AF」というのは、半押しした状態で被写体を追ってくれるといったようなイメージでいいんでしょうか?

荻窪: はい。常にAFは合わせ続け、シャッターを切る瞬間まで合わせ続けます。例えば連写の時は一枚づつ毎回ピントを合わせ直す。それが今までミラーレス一眼が一番苦手としていたことなんです。

エマーク: なるほど。その像面位相差のスピードが速くなったということなんですかね?

荻窪: そうですね、速くなってそれと正確さですね。「シングルAF」の時はコントラストAFを併用することで正確さを重視して、「コンティニュアス AF」の時はコントラストAFは使わなずに速さを重視ということになります。そのかわり、やはり条件が悪いところではうまくいかないこともあります。

エマーク: はい、うーんなるほど。


作例:コンティニュアスAFでの連写撮影
作例:コンティニュアスAFでの連写撮影(1)

荻窪: こちらを見ていただきたいのですが、通過する列車を撮ったものです。

作例:コンティニュアスAFでの連写撮影
作例:コンティニュアスAFでの連写撮影(2)

荻窪: シャッターを切り始めてだんだんと近づいてくるわけですが、

作例:コンティニュアスAFでの連写撮影
作例:コンティニュアスAFでの連写撮影(2)

荻窪: ここでもまだピシッとピントが合っています。後ろの被写体はボケ始めているので、ここでもピントが合っているということがわかります。

エマーク: 要は動きものに強いんですね!

荻窪: はい。それと動きものを追う時にどれくらいの感度でフォーカスを合わせ続けるかを設定することができます。

エマーク: コンティニュアスAFの追従感度が設定でできるということらしいですね。

コンティニュアスAFの追従感度
コンティニュアスAFの追従感度

エマーク: なるほど。

荻窪: 先ほど「像面位相差AF」と「コントラストAF」という話が出ましたが、「コントラストAF」というのはAFスピードに何があって毎回フォーカス位置を動かして一番いいところを決めていて、そのスピードはどんどん上がってきてはいるのですがどうしても限界がある。その点、像面位相差をしっかりと作ればピントはしっかりと合います。

エマーク: そもそも像面位相差とはカメラのどういった仕組みなんですか?

荻窪: 超単純に言えば、人間の目って二つありますよね?二つの目で遠くや近くにピントを合わせるわけです。位相差、二つのズレを見てピタッと合ったらピントが合う。それをカメラで行うには専用のセンサーが必要であり、一眼レフカメラはそれを持っています。しかし、ミラーレス一眼カメラは常にセンサーに絵を取り込む必要があり、別途置く場所がない。そこで実際に光よりイメージセンサーの中に小さな位相差センサーを埋め込めば、正確で早いAFができるということです。

エマーク: なるほど、センサーの中にセンサーが入っている。といった感じなんですか?

荻窪: そう。入っている!

121点オールクロス像面位相差センサー

エマーク: 前任機(E-M1)と比べても、格段に速くて正確ということですね。

荻窪: そうです。もう常用できるレベルです。

エマーク: ハイハイハイ、なるほど、なるほど。

荻窪: 100%ではないので時々外したりしますが(笑)、十分実用的なレベルになっていて下手な一眼レフよりはちゃんと合います。

エマーク: なるほど!

連写性能

・さらなる進化を遂げた連写性能

エマーク: 連写の性能も上がってAF固定で最大60コマ、追従で最大18コマとアップしたようですが?

高速連写性能

高速連写性能


荻窪: これにはカラクリがありまして(笑)、最大18コマというのは電子シャッターを使った時ということになります。シャッターは通常シャッター幕がカシャっと動くメカシャッターなんですけど、電子シャッターの場合はメカシャターを使いません。電子シャッターになるとメカシャッターを使わず、センサーだけでオンオフすることで物理的な動きがなくなり、より手ブレし難くなる。さらに物理的な動きがなくなることでより連写が速くできるということになります。。そのかわり、CMOSイメージセンサーの特性として横向きに高速で移動する被写体を撮ったり、カメラを振り回すと斜めに写ってしまう場合がありますが、そういうことが起きない被写体であれば、電子シャッターにしてAF追従連写するとすごく気持ちいいです。(笑)

エマーク: ただ、電子シャッターってあのー、音がないじゃないですか?(笑)撮ってる感じがしないんじゃないですか?

荻窪: でもファインダー見ていると一瞬ブラックアウトが入るのでわかるんですよ。あっ!撮ってる撮ってるて。

エマーク: 僕どうしてもあの音が欲しいんですよね。(笑)それでメカシャッターの場合、追従で10コマ。

荻窪: その場合、メカニカルな動きが入る分スピードは少し落ちますが、10コマあれば問題ない。

エマーク: AF固定の場合は最大60コマ、メカシャターの場合15コマということになっています。固定で連写することってあるんですか?

荻窪: ありますね。例えば目の前で踊っている人など、前後の動きがなければ固定してしまって構いません。

エマーク: なるほど、なるほど。


その他の機能

・フラッグシップ機からプロ機に近づいた「OM-D E-M1 mark II」


プロキャプチャーモード

エマーク: ここまでご紹介してきた機能以外にも面白い機能があるのでそちらをご紹介していきたいと思います。まずは「プロキャプチャーモード」についてお願いします。

荻窪: これはこの機種で初めて付いた機能です。センサーはいつも光を受け取っているので画像をいつも作っているんですよ。シャッターを切る前にそれは普段捨てているのですが、それを捨てないでシャッターを切る直前の何コマかを取っておくという機能です。そうするとシャッターを切った瞬間に、その前の内部のメモリーに取ってあった画像も連写の一部として記録しておく。

エマーク: なるほど。

荻窪: 決定的瞬間を撮る時に一番反応が悪いのって人間なんですよ。

エマーク: ハハハ!そうですね…

荻窪: いくらAFが速くてもカメラのレスポンスが良くても、人間のスピードがついていかなければ間に合わないので。「プロキャプチャーモード」なら、あっと思ってシャッターを切ったコンマ何秒か前から画像を記録してくれるので、人間の反応速度でも決定的瞬間が撮れるということになります。

プロキャッチャー

エマーク: 具体的にはシャッターを半押しした瞬間から記録が始まるということでしょうか?

荻窪: そうです。半押しした瞬間から撮影が始まり裏で記録されいて古いやつはどんどん捨てている。そして、シャッターを押し切った瞬間にメディアに記録するということになります。

エマーク: この機能は電子シャッターの時だけですか?

荻窪: はい、自動的に電子シャッターになります。それとやはり一気に記録して一気に書き出すので、書き出しが終わるまで他の作業ができなくなります。そのため使いどころはちょっと難しいかもしれません。バッテリーは食います。(笑)

ハイレゾショット

エマーク: 続いてはハイレゾショット。これ実際に何か…?

荻窪: 手ぶれ補正機能はセンサーをすごい精度で微妙に動かしているわけですが、それでは手ブレしない状態でセンサーを動かせば別のことに使えるんじゃないかと。

エマーク: なるほど、そういう発想から生まれたんですね、へー。

荻窪: だから、0.5ピクセル動かす分その倍の密度で撮れるということなので、センサーを少しづつ動かすことでより解像度の高い写真が撮れるということです。

エマーク: 二千万画素が五千万画素に早変わりということですね。

荻窪: 当然、手ブレ補正のために動くセンサーをハイレゾショットのために動かしているので、まず手持ちでは撮れません。

エマーク: ハイ、ハハハ。ですね。

荻窪: 三脚は必須です。ですね!それと動いている人がいるとこうなります。

作例:ハイレゾショット
作例:ハイレゾショット

エマーク: ブレます!

荻窪: 複数回撮って合成しているので。例えばこれなんか風が無かったから良かったんですが、風が強いとやはりどうしても葉がブレて写ってしまいます。

荻窪: ですので、これは超高解像度が必要な商品写真やスタジオの撮影などで有効だと思います。

エマーク: これほんと解像感がすごいですから、是非試してみていただきたいです。

ライブコンポジット

エマーク:「ライブコンポジット」とはどういった機能化の説明をお願いいたします。

荻窪: 日本語でいうと「比較明合成」ということになります。(笑)例えば連写をして合成します。そのまま合成すると暗いところまで明るくなってしまうのですが、「比較明合成」は二枚比較して明るいところだけを足していくんですよ。そうすれば、暗くあるべきところを暗いままで明るいところはそのまま記録していくので、車の流れるライトや花火、花火って長時間露光することで花が撮れるんですけど、長時間シャッターを開いていると本来暗いはずの背景などの部分まで明るくなってしまいかねないんですが、この機能では暗いところは暗いままで明るいところは明るく撮ることができます。

エマーク: これのすごいところが、液晶ビューに光の流れが見えながら撮ることができるというところ。

荻窪: あのね、これ人間超堕落します。ハハハ。

エマーク: ハハハ、ハハハ、ハハハ。

荻窪: 昔、花火を撮る時って自分でケーブルレリーズ持って、花火見ながらイチ、ニッ、サン…

エマーク: それをやらなくていいと。(笑)

作例:前任機(E-M1)ライブコンポジット
作例:前任機(E-M1)ライブコンポジット

荻窪: ライブコンポジットは前のモデルから付いていた機能なので、これは前のモデルで撮影したものになります。

エマーク: これも上がっていく光が背面ビューに映し出されて、パーンと開くところまでだんだん絵ができていくというイメージですね。

荻窪: そうですね。止めるタイミングを掴みやすいんですよ。花火では止めるタイミングが難しいんですよ。長く撮ってしまうと次の花火が邪魔になってしまったり。

エマーク: つまり、光が新しく出来ていくところだけを描いていくので、それ以外のところはそのままだということですね。僕も何枚か撮ってきたので見ていただきたいと思うのですが。

作例:E-M1 mark II ライブコンポジット
作例:E-M1 mark II ライブコンポジット

エマーク: 初めて星を撮ったのですが、二時間くらい回しっぱなしで。こんな感じで、星が流れていく様子が素人でも撮れると。(笑)あとは東京駅にも行って撮ってきました。

作例:E-M1 mark II ライブコンポジット
作例:E-M1 mark II ライブコンポジット

エマーク: ライブコンポジット機能を使って車のテールランプの流れを撮って見ました。

荻窪: これ普通の長秒時露光撮影だと車が来るタイミングを計りながら撮らなきゃいけない。(笑)

エマーク: そうなんですよ!ライブコンポジットだと待っていればいいんですよ。これ一分くらいですかね。

荻窪: 東京駅前って意外と、車ガンガン走っているわけじゃないんですよ。(笑)

エマーク: これは走ってないんですよ。アレ?って思って。意外とこの光のラインができないなと。(笑)

荻窪: ですので、ライブコンポジットで長時間回せるってことが大事なんですよ。

エマーク: でも、ほんと簡単に撮れるので面白いですよね。

荻窪: 面白いです。一回味わうと三脚が欲しくなる。(笑)

エマーク: これは手ブレ補正効かないんですよね。

荻窪: 効かないです。三脚必須です。

作例:E-M1 mark II ライブコンポジット
作例:E-M1 mark II ライブコンポジット

エマーク: 今回昨年末に新しく発売された「OM-D E-M1 mark ii」について、その魅力を荻窪さんとご紹介させていただきました。

荻窪: 面白いことにプロのカメラマンほど、ミラーレスかどうかということを気にしないんですよ。やっぱりその時その時で、自分に必要なカメラは何かという観点で選ぶので。フルサイズのカメラを使ったり、それよりも機動力が優先だったり。その中間でもこっちを選ぶことができるようになってきたということです。



EMARK
【トリセツ編集部 編集長 EMARK(エマーク)】

トリセツ編集部 編集長。トリセツの広報としてプロモーション業務とメディア運営を手がける。また各方面でプロモーション、デザイン等の業務に携わっている。


荻窪圭
【デジカメライター 荻窪圭】

老舗のデジタル系フリーライター兼カメラマン。パソコン雑誌のライターだったが、今はカメラやスマホが中心、ときどき猫写真家になる。「iPhoneカメラ講座」「這いつくばって猫に近づけ」など連載中。近著は「東京古道探訪」。歴史散歩ガイドもやってます。