・【家電のプロが解説】大型家電の買い替えサインとメリットを知ろう!Part1
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・【家電のプロが解説】大型家電の買い替えサインとメリットを知ろう!Part4
皆さんは、今の冷蔵庫を購入したのはいつだったか、覚えていますか?冷蔵庫をはじめとする大型家電は、引越しや故障による交換が発生しない限り買い替えることがなく、気付けば使い続けてかなりの年数が経っている方も多いのではないでしょうか。
冷蔵庫の買い替えサイクルは、内閣府の「消費動向調査(令和6年3月実施調査結果)」によると14年となっており、定期的に買い替えることがメーカーからも推奨されています。とはいっても、高額な買い物になるので、慎重になるのも事実。中には、今の冷蔵庫が気に入っているから変えたくないという方もいるでしょう。
そこで、冷蔵庫を買い替えるサインや買い替えることのメリットについて、雑誌や新聞など様々なメディアでご活躍中の”家電王”こと中村剛さんにお聞きしました!
全4回シリーズ、今回はそのPart2をお届けします。
冷蔵庫を買い替えることのメリットとは
庫内の食材管理から最新冷凍技術まで!冷蔵庫の機能の進化
(編)買い替えるタイミングは理解できたのですが、いざ選ぼうと思うとどこを見ていいか悩みそうです。
(中)冷蔵庫にどんな機能が追加されたか、買い替えるまでチェックしない人が大半ですよね。前回平均使用年数が14年とお話したように、前回冷蔵庫を購入した10年以上前で情報が止まってしまっている方が多いんです。メーカーからすると日々研究を重ねてマイナーチェンジを繰り返しているわけですが、消費者の視点に立つと驚くほど進化しているということがたくさんありますよ。まさに情報ギャップですね!
(編)ぜひ、最新機能を伺いたいです!
(中)まずは、「冷蔵庫の庫内をアプリで管理」する機能です。庫内にカメラが搭載されていて食材を画像認識する機能や、食材をリスト化してくれる機能があります。具体的には、日立の「日立冷蔵庫コンシェルジュアプリ」やアイリスオーヤマの「STOCK EYE」が挙げられます。
(編)便利な機能ですね。買ってあることを忘れて、同じ食材を買ってきてしまうこと、よくあるんですよね・・。
(中)冷蔵庫の本質的な価値は食材をおいしく管理することにありますから、庫内の管理ができると、食費の節約はもちろん、フードロスの削減にもつながりますのでぜひ覚えておいてください。
(中)そして、食材を「おいしく管理」する観点でもう1つご紹介したい機能が「鮮度保持冷凍技術」です。例えば、旧三洋電機の流れを汲むアクア株式会社が開発した冷凍技術、その名も「おいシールド冷凍」。一言でいうと、食材に霜がつかずに鮮度を保つことができる技術です。
(編)まさに冷凍の悩みを解決してくれそうな名前ですね。
(中)冷却装置と庫内の間に開閉式のフタを装備したことで、先ほどお話したような霜を溶かすヒーター機能で高熱が発生した時にはフタが閉じ、庫内に暖気が流れるのを防いでくれます。
冷蔵庫の買い替えによる節電効果
(編)この10年で様々な進化があったのですね。最近では冷蔵庫に限らず”家電の節電効果”が謳われている印象なのですが、その点はいかがでしょうか?
(中)大前提として、がむしゃらに全て節電するのではなくメリハリが大事なポイントです。夏場に電力使用量が多い2大家電はエアコンと冷蔵庫とされていて、節電が謳われがちなのですが、実は年間のエネルギー使用量の中で、冷房エネルギーが占める割合はさほど高くありません。むしろ、冬場の暖房のほうがよほどエネルギー使用量が高くなります。なぜなら、外気温と目指す室温との温度差が少ないからです。35℃の夏に28℃の室温を目指すことより、10℃の冬に18℃の室温を目指すほうが、温度差が大きくて結果エネルギーが必要になるということですね。
(編)それは驚きです。なんとなく、夏の冷房ってものすごく電気代に響く印象がありました。
(中)そういったメリハリの視点を大事にしつつ、省エネ・節電の話をする際にいつも伝えている3つの極意というのがあります。「使用時間」「使い分け」「買い替え方」の3つなのです。「使用時間」、つまりは何kWh(キロワットアワー)の電力を消費するかという点が節電を意識するのには大切です。冷蔵庫は24時間稼働しっぱなしですから、本体の電力使用量がカギになります。冷蔵庫の省エネ化は既にかなり進んでいて、10年程度前と比べて消費電力量が半分になったケースもあります。かつては年間の消費電力量が700〜800kWhの製品が多かったのですが、現在では200kWh台の製品も登場しています。
(編)消費電力量が3分の1以下の製品まで出ているというのはすごいですね。
(中)また意外かもしれませんが、冷蔵庫の大きさと消費電力量は必ずしも比例していません。性能が高い冷蔵庫は大容量、大型でも省エネですし、逆に容量が小さく本体価格が安い製品の中には消費電力量が高いままのものもありますので、その場合は結果的に購入後にかかる費用は大きくなります。これは断熱性能の違いによるものです。大容量の製品のほうが、断熱性能が優れていることが基本的に多いです。
(編)こうしてカタログを見て比較してみると、700L以上の大容量冷蔵庫を使用したほうが、一人暮らし用の冷蔵庫よりも消費電力量が少ないことまであるんですね!驚きです。
(中)そうなんですよ。仮に年間消費電力量300kWhの冷蔵庫の場合、1kWhあたり31円(注:全国家庭電気製品公正取引協議会が定めた目安単価)で電気代に換算して計算すると年間で1万円弱。つまり、月あたり800円くらいとなります。メーカーの努力の賜物といえますね。
(編)仮に今使用している冷蔵庫の消費電力量が700kWh、買い替えることで300〜400kWhに下がる場合は、買い替えることで年間1万円ほど電気代に差が出ることもありそうですね。購入から10年以上経過している場合は、調べてみる価値がありそうです。
(中)ちなみに、電気代節約のために冷蔵庫の開け閉めを気にしましょうと言いますが、普通の開け閉めはほとんど影響しないかもしれません。1日に開け閉めする時間をトータル10分間程度としましょう。これは、1日の0.7%ほどの割合にしかなりません。先ほどお話したように、月の電気代が800円ということから考えると・・開け閉めを頑張っても、金額はほぼ変わらないということになります。それであれば、古い冷蔵庫を頑張って使い続けないで、冷蔵庫本体の電力使用量を下げたほうが効果的ですし、食品の無駄買いなどをなくしてフードロスを意識することや、さらに言えば家族でおいしいご飯を作ったり食べることに目を向けてQOL向上を意識することのほうが大切なのではないかと思います。流行らせたい言葉が「ポジティブな買い替え」なんです!!
「やむを得ず」ではなく、「敢えて冷凍」する時代へ
(編)先ほど、冷凍技術の進化の話がありました。考えてみると、コロナ禍以降、我が家ではリモートワークが中心になり、自宅で料理をしたり、食事をする機会が増えました。自然と、食料品の購入頻度も上がりましたし、自宅の冷凍食品のストック量も多くなったと感じています。
(中)冷凍食品の浸透については、1990年代に電子レンジの普及率が高まり 、冷凍食品が身近なものになったこと、2008年に始まったふるさと納税の浸透によって返礼品で多くの食材が届き、自宅で冷凍食品だけではなく「食材の冷凍」も加速化したこと、そして2011年の東日本大震災のような自然災害が相次いだ結果、自宅での食品ストックが定着化したことなど、様々な要因があります。さらに新型コロナウィルスが流行して以降の数年は特に”大容量フリーザーブーム”がきていますので、”冷凍”はまさにトレンドともいえるテーマです。加えて、業務スーパーやコストコといった大容量食材スーパーが人気となり、まとめ買いが定着化したことで、自宅で食料品を冷凍する機会も増えたのではないでしょうか。
(編)冷蔵庫の買い替えを考える際には、冷凍技術はもちろん、冷凍庫の容量も見逃せないポイントになりそうです。
(中)そうですね。最近では「サブ冷凍庫」を買い足すご家庭も増えていますので、のちほどご紹介しましょう。最新の冷蔵庫は冷凍・解凍技術の進化が著しいので、食材を安いときにまとめ買いして賢く冷凍する習慣を付けられると、コスパが良くおいしい食事が食べられます。逆に冷凍したほうが栄養価が高まったり、冷蔵保存よりも美味しさの増す食材もあるくらいです。一昔前は「やむを得ず冷凍する」という考え方もありましたが、現在は「敢えて冷凍する」という考え方に変化しています。
(編)冷蔵庫の買い替えでコスパも良くなり、長い目でみて環境配慮にもなるというのは、まさにこのご時世ならではのメリットといえますね。
家電王の中村さんからのアドバイスはいかがでしたでしょうか。
冷蔵庫を買い替えることで、節電効果はもちろん、QOLアップも期待できます。愛着が湧いてなかなか変えられない方も、アドバイスを参考に買い替えや買い足しを検討してみましょう。
次回Part3では「家電王直伝!購入時の見極めポイントとおすすめ最新家電」について、中村さんにお話をお伺いしていきます。
また、引越しを機に買い替えをご検討されている方に、おすすめのサービスがあります。
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東京電力エナジーパートナー株式会社 勤務
2002年に『TVチャンピオン』スーパー家電通選手権で優勝し、銀座にて体験型ショールーム「くらしのラボ」の開設と運営に従事。現在は“家電王“として動画マガジン『くらしのラボ』をYouTubeとFacebookで毎週配信している他、テレビや雑誌、新聞などの様々なメディアで暮らしに役立つ情報発信をしている。 無類のネコ好き!