【番外編】天体撮影のトリセツ【第一回】

エントリ一眼・キットレンズで星空撮影:EOS Kiss Mの巻 (3/3)

2019.06.23
トリセツ編集部/山口千宗

エントリ機+キットレンズで星空を撮るときのポイント

エントリー機のキットレンズと、上級機と高級レンズ。確かに埋められない差がある。でも、できるだけその差を少なくしたい。

そんな「使いこなし」のノウハウをまとめてみました。

基本は絞り開放、ズームの場合は広角端で

絞りF4.5とF3.5の比較。

絞りF4.5と3.5の比較。

絞ることによる画質の改善よりも、光量を減らさずノイズが低減するメリットが勝ります。

PhotoshopのCamera rawフィルターで輝度ノイズ低減+50、カラーノイズ低減+70。



キットレンズの標準ズームレンズの多くは、「広角端」での解放F値がF3.5。ズームするほど暗くなり、「望遠端」ではF5.6〜F6.3くらいになってしまいます。ただでさえ暗めのキットレンズですから、できるだけ明るい状態で使いたいもの。星空の撮影のときは、一番明るい「広角端」の「絞り開放」を基本としましょう。

星は少々流れてもかまわない。30秒露出・ISO3200が基本

露出時間による比較。

露出時間による比較。

星が流れない10秒よりも流れた30秒の方がノイズが少ない画像が得られます。

PhotoshopのCamera rawフィルターで輝度ノイズ低減+50、カラーノイズ低減+70。



星が見える位置は地球の回転によって少しずつ動いていくため、星を「点像」としてシャープに写すためには、長い露出時間をかけることができません。「500÷焦点距離の秒数までは流れない」という、いわゆる「500ルール」だと焦点距離24mmのときの上限露出時間は20秒なのですが、これは最近の高性能レンズでは若干緩めの基準です。この例は15mmの20秒でも流れています。

でも、流れることを恐れて露出時間を短くしてしまうと、暗いキットレンズではますますノイジーになってしまいます。

流れ上等。少々流れても、露出時間を長くする方がトータル画質はよくなります。基本の露出時間は30秒としましょう。

また、感度設定(ISO値)は3200を基本にして、背景の空の明るさに応じてISOで露出調整をするのがよいでしょう。天の川が肉眼でばっちり見える空なら、F2.8/ISO3200/30秒露出くらいで適正露出になるはずです。

これを基準に、市街地になるほどISOを下げていきます。





レンズをプラスワン!

安くて明るい。サードベンダー製MFレンズ

EOS Kiss Mとキットレンズの EF-M 15-45mmF3.5-6.3 STM。ご覧いただいたとおり、星空も天の川もしっかり撮影ができます。でも、使い込んでくると、「もう一本レンズが欲しい」と思うことでしょう。

そんなあなたに、オススメの「2本目のレンズ」をご紹介しましょう!

キットレンズの弱点は、明るさと画角。解放F値がもう少し明るくて、もう少し広角寄りのレンズがあると、星景写真の表現の幅が広がります。

でも、キヤノン純正のレンズの場合、焦点距離15mmよりも広くてF2.8よりも明るいレンズは、フルサイズ対応の高価なものしか選択肢がありません。

EF LENS EFマウント系 EF16-35mm F2.8L III USM

12mm F2.0 NCS CS 参考価格:35,900円
※本文内の価格情報は2019年6月14日時点でのAmazon.co.jpの価格です。

その点、サードベンダのレンズなら、マニュアルフォーカスになるなど若干「星空専用」っぽくなりますが、比較的安価で明るいレンズが入手できます。

このレンズは星空写真界隈でも評価の高い、焦点距離12mm(フルサイズ換算19mm)の広い画角と、開放絞り値F2.0の明るさを両立させたレンズです。

実売価格も4万円を切る程度でかなりお手頃。245gと軽量コンパクトでEOS Kiss Mともよくマッチします。

純正レンズでも、少し焦点距離が長めになりますが、比較的安価な明るいレンズがあります。

EF LENS EF-Mマウント系 EF-M22mm F2 STM

※本文内の価格情報は2019年6月14日時点でのAmazon.co.jpの価格です。

焦点距離22mm(フルサイズ換算35mm)とちょっと星空の撮影には長めですが、人物を入れてスナップ的に撮ったりする場合はこちらの方が使いやすいこともあります。約105gと超コンパクトなのも魅力。EOS Kiss Mの場合、このレンズを含むキット構成(ダブルレンズキット)も販売されているので、カメラ購入時にこちらを選ぶのも有力です。

まとめ

EOS Kiss M EF-M15-45 IS STM F3.5 30秒 ISO3200 
EOS Kiss M EF-M15-45 IS STM F3.5 30秒 ISO3200 zoom

エントリカメラのキットレンズでも、技をこらせばこんなことも可能。4枚のフレームをつなぎ合わせて作成した「パノラマ合成」です。

EOS Kiss M EF-M15-45 IS STM F3.5 30秒 ISO3200 



いかがでしたか?

写真は機材だけじゃありません。楽しんだ方が勝ち!(もちろん…よい機材に越したことはありませんが…)

エントリークラスのデジタル一眼とキットレンズでも、星空の写真はちゃんと撮れます!まずは手の届く範囲から。今持っているカメラとレンズで星空にチャレンジ。

これから星空を撮影してみたいと思う方も、予算に合わせて手軽なエントリー機から選ぶのもぜんぜんOKです。

身近な場所にちょっとお出かけして、星空にカメラを向けてみませんか!

この後しばらくは、各メーカーのエントリー機種を使った「エントリー機種での星空撮影」のノウハウと楽しみ方をご紹介していきます!それでは次回をお楽しみに!


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山口千宗
【天文リフレクションズ/山口千宗】

日本唯一の?天文ファンのための全方位キュレーションサイト/その編集長。 天文ファン500万人化を目指して日々絶賛情報発信中。五感で感じる星空体験がモットー。天文宇宙検定2級。夢はベテルギウスの超新星爆発を見届けること。


【連載】天体撮影のトリセツ