【第二章】天体撮影のトリセツ【第一回】

1月31日(水)の晩は皆既月食! (2/3)

2018.01.28
トリセツ編集部/山口千宗

皆既月食の見どころ

欠け始めから皆既までの一次始終を観察しよう

今回の皆既月食は遅すぎず早すぎず、観察するのにちょうどよい時間帯です。

月が欠け始め(20時48分)てから、完全に地球の影に入る(21時54分)まで1時間強。

まずはこの一部始終をしっかり観察してみましょう。

1978年9月の皆既月食。5分毎に多重露出で撮影。|フィルムカメラ、50mmレンズ使用。
1978年9月の皆既月食。5分毎に多重露出で撮影。
フィルムカメラ、50mmレンズ使用。zoom

まず注目したいのは、20時48分ごろの「欠け始め」。

この時点で月は「半影」に覆われているため、実は一部が少し暗い状態になっています。

そして「本影」が月に落ちて縁が欠け始め、見る見るうちに欠けた部分が大きくなってゆきます。

このありさまは肉眼でもはっきり分かりますが、小型の双眼鏡があればなお興味深い姿を見ることができます。

皆既直前の細い月と赤い月

月食のハイライトは皆既直前から皆既までの間。月が深く 欠けてくると、地球の影になって暗くなった部分が「赤銅色(10円玉色)」に染まってくるのが分かります。

2014年10月8日の月食、皆既終了から5分後。|
露出時間を変えるだけで全く異なった見え方になるのも皆既月食の面白さの一つ。
2014年10月8日の月食、皆既終了から5分後。
露出時間を変えるだけで全く異なった見え方になるのも皆既月食の面白さの一つ。zoom

上の写真は皆既直後の月を露出時間を大きく変えて撮影したもの。肉眼で見た姿は左端の状態に近いです。

露出時間を伸ばしていくと、欠けているはずの月が実はぼんやりと赤く照らされていることが分かります。

これは、夕焼けが赤く見えるのと同じ原理。地球の大気を回り込んだ光のうち青い光はほとんど吸収されてしまうのですが、赤い光は影を回り込んで月面をほんのり照らしているのです。

また、今回の月食は、欠け際がほんの少し青みがかって見える現象「ターコイズ・フリンジ」の撮影のチャンス。

写真で撮影して彩度を強調しないと分かりにくいのですが、大気の屈折によって青い光が回り込むために見られる現象です。

月食の最大のころの暗い月の色に注目

皆既月食で月が「どのくらい暗くなるのか」は、地球の気象条件とも関係するため毎回違ったものになります。

月食の直近に大きな火山の噴火があると、噴火の塵の影響で暗くなると言われています。

国立天文台 皆既食中の色に注目しよう!

今回の皆既月食は「最大食分1.321」と、かなり地球の影の深いところまで近づくため、かなり月が暗くなることが予想されています。

上の画像はフランスの天文学者ダンジョンが定めた「ダンジョンの尺度(スケール)」と呼ばれる、皆既中の月の明るさの尺度を図にしたもの。

ほどんど真っ暗な「0:黒」から明るい「オレンジ:4」までの五段階。

国立天文台では、この「色」に注目した観察キャンペーンを実施しています。このサイトに詳しい解説と観測方法が書かれていますので、ぜひごらんになってみてください。



山口千宗
【天文リフレクションズ/山口千宗】

日本唯一の?天文ファンのための全方位キュレーションサイト/その編集長。 天文ファン500万人化を目指して日々絶賛情報発信中。五感で感じる星空体験がモットー。天文宇宙検定2級。夢はベテルギウスの超新星爆発を見届けること。