デジタル一眼をデジタル一眼の地位たらしめているのはつまるところ交換レンズです。
交換レンズがあるから1台のボディがあらゆるカメラに変身するし、逆に同じレンズでもボディを付け替えることでスナップ用の軽量カメラにも本格的に作品を撮る本格派カメラにもなるわけで、カメラメーカーとしても、自分たちのカメラを使ってくれる人たちをさらなる高みに誘う、あるいは高い要求に応えるレンズを用意しなければなりません。
そして強力なズームレンズ群をひととおり用意したオリンパスが手がけたのがプロ向けの、つまり高価だけどハイクオリティを追求した単焦点レンズ3本です。
どれも開放F値がF1.2なので、「F1.2大口径単焦点シリーズ」、略してF1.2三兄弟、と呼ばれています。
それまでオリンパスが出していた単焦点レンズの開放F値はF1.8が一般的でしたから、そこからさらにグレードアップしたわけです。
「大口径」という言葉が出てきましたが、一般に「開放F値」が小さいレンズは光をたくさん取り込めなければなりません。そのため、開放F値が小さいレンズ(明るいレンズ、ともいいます。単純に)は、光をたくさん取り込めるよう「大きなレンズ」が必要になります。だから大口径レンズといったとき、明るいレンズをさすわけです。
ためしに、同じオリンパスから出ている45mmF1.8のレンズ(これはこれで小さくて軽くて安いのですごく重宝します)と今回の45mmF1.2を比べて見ましょう。
直径も長さもまったく違うのがわかります。面白いですよね。
三兄弟の内訳を先にいいます。
・ED 25mm F1.2 PRO:35mmフィルム換算で50mmに相当する「標準レンズ」です。クセが無く人の目で見た情景に近い範囲を写し取るレンズです。一足早く、2016年11月に発売されました。
・ED 45mm F1.2 PRO:35mmフィルム換算で90mmに相当する「中望遠レンズ」です。形をキレイに切り取ってくれますからポートレートに最適です。2017年11月に発売されました。
・ED 17mm F1.2 PRO:35mmフィルム換算で34mmに相当する「広角レンズ」です。25mmより少し広い画角を持ち、街の様子やその場の雰囲気を写し取るのに向いています。2018年1月発売予定です。
今回この3本を使わせていただきましたので、それぞれ撮り比べながら観ていきましょう。
まず一番の特徴は……3本とも見た目が同じ!
カメラバッグからレンズを出すとき「えっと、どれがどれだっけ」となるレベルです。おかげで同じシリーズ感が強く出ていますが、この状態で、さっと必要なレンズを取り出せる人がいたらすごい!
逆にいえば、デザインが同じなので操作感も同じ。MF時に重要なフォーカスリングの使いやすさや、フォーカスリングをカチッと手前にスライドさせることでAFからMFに切り替わる機構(フォーカスクラッチ)、機能を割り当てられるレンズファンクションボタンなんかはどれも共通です。
それぞれ焦点距離が違うので良く見るとディテールの違いはあるわけですが(たとえばレンズをみるとわかります)、大きく書いてある17/25/45という数字でチェックするのがいいでしょう。
老舗のデジタル系フリーライター兼カメラマン。パソコン雑誌のライターだったが、今はカメラやスマホが中心、ときどき猫写真家になる。「iPhoneカメラ講座」「這いつくばって猫に近づけ」など連載中。近著は「東京古道探訪」。歴史散歩ガイドもやってます。