デジタル一眼らしい写真といえば「ボケる」写真。一時期はスマートフォンでも背景ぼかし機能を「一眼レフのように撮れる」と形容するほどわかりやすい違いで、多くの人が「背景がボケる写真」を期待してカメラを買うわけです。
こんな感じですね。背景がふわーっときれいにボケてます。
では一眼レフ(やミラーレス一眼)を買えば背景がボケる写真を簡単に撮れるのか、コンデジでは撮れないのか。
というとそういうわけではありません。背景がボケるボケないにデジタル一眼かどうかは関係ないのです。
じゃあどうすればボケる写真を撮れるのか。今回はそんな話をしましょう。
背景がどのくらいボケるのかは、3つの要素の組み合わせで決まります。これ大事。
1:撮影時のレンズの焦点距離
2:撮影時のカメラと被写体と背景の距離
3:絞り値
です。
実はもうひとつ、イメージセンサーのサイズという要素があるのですが、話がややこしくなるのでそれは飛ばします。概ね上記3つだと思ってください。
順番に見ていきますが、その前に「ボケ」るとはどういうことか。ちなみ英語ですと「bokeh」といいます。日本語の「ボケ」がそのまま英単語になったわけで、日本人の方がボケにこだわりがあったわけですね。まあ日本語の発音がそのまま英単語になった例のひとつです。
ボケるとは「ピントが合ってない」ということです。ピントが大きくはずれていれば「大きくボケ」ます。ほわっとしていてピントがピシッと合っている箇所を強調するので、メインの被写体がより際立つ写真になりますから、上手にコントロールすればプロっぽいと思われやすいわけです。
よく「背景ボケ」なんていいますが、ピントはぴたっと合っている場所以外は「手前」もボケてるわけで、そちらは前ボケ、と呼んでます。前景と背景の両方をぼかすとより印象的になります。
次の写真は町でみかけたストリートミュージシャン。手前の自転車と奥のビルの両方がボケてるのがわかります。
では本題に。
1:望遠にするほどよくボケる
簡単にいえば「背景を大きくボカしたいときは望遠で撮れ」です。ズームコンデジを持っているなら、望遠側で撮りましょう。背景のボケ具合が違います。
これは高倍率ズームコンデジで撮った写真。背景がきれいにボケているのは望遠で撮った故。
逆に、同じカメラですが、広角だとあまり大きくはぼけません。
一目瞭然ですね。望遠にすればするほどよくボケるのです。ズームレンズでボケを出したいときは望遠側にズームして使いましょう。
では焦点距離が何mmだとどのくらいボケるのでしょう(焦点距離については第1回、第2回をご覧下さい)。
このとき大事なのは「実焦点距離」です。
焦点距離はよく「35mmフィルム換算で何mm」って表記しますが、こちらではありません。
上記の望遠の写真は35mmフィルム換算だと480mmですが、センサーサイズが1型なので実焦点距離は176mmです。
ということは、35mmフルサイズセンサー搭載のデジタル一眼で撮った場合の176mmに近い感じのボケということです。
では35mmフルサイズセンサーで400mmで撮ってみましょう。場所や被写体は異なりますが、背景がより大きくボケているのがわかるかと思います。
一般に「センサーサイズが大きい方がよくボケる」といわれてます。これはある意味真実なのですね。
35mmフィルム換算で100mmの望遠レンズで撮ることを考えましょう。
35mmフルサイズセンサーなら100mmのレンズを装着して撮れるので100mmレンズのボケを得られます。
マイクロフォーサーズなら50mmのレンズを装着すると「35mmフィルム換算で100mm」の画角になりますが、ボケは50mmのレンズのボケとなります。
よって、同じような構図で撮るときはセンサーサイズが大きい方がよくボケるといわれるわけです
- ・レンズは望遠であるほどよくボケる。
- ・同じ実焦点距離ならセンサーサイズが大きい方がよくぼける。
老舗のデジタル系フリーライター兼カメラマン。パソコン雑誌のライターだったが、今はカメラやスマホが中心、ときどき猫写真家になる。「iPhoneカメラ講座」「這いつくばって猫に近づけ」など連載中。近著は「東京古道探訪」。歴史散歩ガイドもやってます。