カメラをしっかり固定する
入門者が写真撮影に失敗する最大の理由は「手ぶれ」。
大きく手ぶれしてしまった写真は、ほぼ救いようがありません。
星空ほど暗くないとはいえ、「月のある風景」の撮影は手振れ危険ゾーン。
できれば、冒頭の写真のように三脚にしっかり固定したいもの。
でも、もし三脚をまだお持ちでない場合は、カメラや体を壁や柱のようなしっかりした構造物にもたれさせて撮ることで、手振れをかなり防ぐことができます。
三脚を使用しても、シャッターを直接手で押すと細かなぶれの原因になります。
そんなときに活用したいのが「2秒セルフタイマー」の技。シャッターボタンを押してから2秒後にシャッターが切れるため、シャッターボタンを押す際の振動がカメラに伝わりにくくなるのです。
デジタル一眼カメラにはほぼすべてこの機能が付いていますが、設定方法はメーカーや機種で異なってきます。
トリセツを調べて実際に動かし、使用方法をマスターしておきましょう。
最近のデジタルカメラには「手振れ補正」の機能が付いたものが多くなってきています。
その効果は絶大なので、手持ち撮影の場合は大いに活用しましょう。手持ちでも、うまく工夫すればかなりのスローシャッターでもぶらさずに撮ることができます。
上の作例は手すりの上にカメラを乗せることで左右のブレを防ぎ、手振れ補正も組み合わせることで、「4秒」という長時間露出でもほとんどぶらさずに撮ることができました。
ただし注意が必要なのは、三脚を使用した場合には逆に誤動作することがあること。
三脚+2秒セルフタイマーで撮影する場合は、手振れ補正はOFFにした方が無難です。
ピントの合わせ方
ピントをしっかり合わせる技術を身につけることは、天体撮影の最大のポイント。
第二回でもお話ししたように、星空のような暗い対象ではオートフォーカス(AF)が動作しなかったり、信頼性が低くなったりしてしまいます。
ライブビューとマニュアルフォーカスでしっかり合わせるのが一番なのですが、今回はまずオートフォーカスを信頼し、うまく使いこなして合わせる方法をご紹介します。
1.オートフォーカスのモードの設定
カメラのオートフォーカスには、大きく分けて「止まっている被写体」向けと「動きのある被写体」向けの2つのモードがあります。
天体撮影の場合は、「止まっている被写体」向けの設定にすることが基本。
このモードでは、ピントが合った時点以降はピント位置が変わることはありません。
メーカーによって、上の図のように呼び方が異なるのがなんとも微妙ですが、お使いのカメラの設定の方法をマスターしておきしょう。
2.明るい部分に向けてAFでピントを合わせる
動画・夜景でのAFによるピント合わせ
月や街灯など、明るい対象にカメラを向ければ、オートフォーカスはたいていの場合うまく動作してくれます。
このとき注意するのは、オートフォーカスの測距点(ピントを合わせる部分)をその対象に合わせること。
測距点の付近が真っ暗だと、うまくピントが合わないので注意しましょう。
カメラがノーマルの設定の場合、測距点は画面の中心になります。
3.一度ピントを合わせたら、MFモードに変更する
天体のピント位置は、「無限遠」と呼ばれる「はるか遠くにある被写体」の位置でいつも一定になります。
なので、一度ピントを合わせたら、その状態で(シャッターボタンから指を離してもOKです)マニュアルフォーカスモード(MF)に切り替えてしまいましょう。
レンズ側にAF/MF切替のボタンがあれば、そこで設定するのが簡単です。
4.ピントは何度かチェックし直す
この方法の場合、うっかりピントリングに触れてしまったり、ズームしてしまうと、ピント位置がずれてしまいます。
(レンズの仕様次第なのですが、ズームするとピント位置が変わってしまうと思った方が無難です)
また、最初のピント合わせに失敗していると、すべてのコマが全滅するはめになります。
面倒でも、途中何回かはピントを合わせ直すことをオススメします。
ここでお話しした手順は、昼間や室内でも簡単に練習ができます。
カメラを使いこなすには、これらの手順を何度も繰り返し練習するのが一番。しっかりマスターしましょう。
日本唯一の?天文ファンのための全方位キュレーションサイト/その編集長。 天文ファン500万人化を目指して日々絶賛情報発信中。五感で感じる星空体験がモットー。天文宇宙検定2級。夢はベテルギウスの超新星爆発を見届けること。