その他の調整
「DPP4」でできるレタッチはこのほかにもとても沢山あるのですが、その中で2つだけお話ししておきましょう。
まずは「ノイズ低減」です。
ISO3200といった高感度を使用する星空の撮影ではノイズから逃れることはほぼ不可能。
「DPP4」では、「ノイズリダクション」の機能でノイズを少なくすることができます。
「ノイズリダクション」を最大にすれば、「ザラザラ」の画像も「ツルツル」になるのですが、副作用としてディテールが失われてしまいます(上右)。
初めのうちは何もしない初期設定の状態でよいでしょう。上中はほぼ初期設定です。
慣れてくれば、画像のノイズの状態に応じて「ノイズリダクション」を調整することで、よりノイズの少ない仕上がりにすることができます。
2つ目は「アンシャープマスク」。
画像の輪郭を強調し、画像のシャープ感を高める機能です。
「DPP4」の場合、初期設定で「アンシャープマスク」という処理が入っています。
(「ピクチャースタイル」が「風景」の場合、かなり強めにかかります)
星空の場合、シャープ処理は特に「暗い星」の表現に大きく関係してきます。
シャープ処理を強くすればするほど、暗い星がはっきり浮き上がってくる反面、星のエッジが立って星がきつくなり、ノイズ感も増して微妙な色あいも失われます。
どちらが良いのかは一概にはいえませんが、筆者は通常はシャープ処理はOFFにしています。
「暗い星は目立たないままがより自然な姿」という考え方です。
できあがり
完成です。左が撮って出しのBefore画像、右がレタッチ後のAfter画像です。
天の川がはっきり浮き上がり、黒く潰れていた前景の山の緑がある程度出てきました。
若干空が紫な気がしますが・・・このへんは好みもありますが、もう少しきっちり追い込む余地はありそうです^^;;
カメラ付属のソフトでも、簡単な操作でこのくらいはレタッチすることができます。
ぜひチャレンジしてみてください。
もっと詳しく知るためには
写真のレタッチは、とても広くて深い分野です。
ここでお話ししたことは、ほんの入り口にしか過ぎません。
まずは、簡単なレタッチソフトをとことん使いこなして実際に色々と試してみることです。
写真のレタッチは、何かした結果がそのまま画像になって見えるので、ひとつひとつじっくりと、Before/Afterを比較しながら試してみましょう。
また、天体撮影に特化してもっといろいろなテクニックを勉強してみたい方は、 DVDによる解説ソフトもあります。
Photoshopが前提でかなりレベルの高い教材ですが、テキストによる解説と違って、実際のソフトの操作イメージを追いながら学ぶことができます。
天体画像処理DVD
上の例は、Photoshopを使用して、さらに天の川を強調する方針でレタッチをしたもの。
強い強調をかけるためには、背景の色むらや輝度むらをマスク処理で除去したり、強調で前景が破綻しないように空にだけマスクをかけるなどの処理が必要になりますが、上の例のようにさらに天の川と星空を浮き上がらせることができます。
まとめ
いかがでしたか?
正直いって現在のレタッチソフトウェアは高機能すぎて敷居が高すぎるのが現状です。
でも、今回ご紹介したような「明るさ」「コントラスト」「カラーバランス」「彩度」の4つの基本的なレタッチが使えるようになるだけで、写真の仕上がりは見違えるほど変わります。ぜひチャレンジしてみてください!
連載もはや10回目。ここまでお読みいただいた読者の皆様に厚く御礼申し上げます。
「天体撮影」というマニアな分野であるにもかかわらず、多くの方にごらんいただけたのは嬉しい限りです。
まだまだあと30回分くらいは書くネタがあるのですが^^、まずはここでいったん一区切りとさせていただきたいと思います。
いろいろ手間がかかることが多い天体撮影ですが、ほんの少しの予備知識と、素晴らしい星空に出会う根気さえあれば、誰にでも天の川が写せる時代。
旅の友にはぜひカメラと三脚を携えて、星空の思い出を撮影してみてください!
それではまたどこかでお会いしましょう!
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日本唯一の?天文ファンのための全方位キュレーションサイト/その編集長。 天文ファン500万人化を目指して日々絶賛情報発信中。五感で感じる星空体験がモットー。天文宇宙検定2級。夢はベテルギウスの超新星爆発を見届けること。