【連載】天体撮影のトリセツ【第六回】

星空撮影の基本

2017.10.01
トリセツ編集部/山口千宗

最大の難関、ピント合わせ

天体撮影のピント合わせはいろいろ奥が深いのですが、今回は基本的な方法を2つだけご紹介します。

1.街灯り、明るい星、月でAFで合わせる

オートフォーカスが使えればそれに越したことはありません。 月が見えていればそれで合わせるのがまず一番。 月がなければ、100m以上離れた街灯や、かなり遠くの街の夜景などを探します。 よほどの山奥でない限り、どこかに何かが見えているものです。

オートフォーカスでピント合わせ中。
オートフォーカスでピント合わせ中。
このくらいの明るさの夜景ならオートフォーカスもOK。

AFモードにして街灯を視野の真ん中に入れて、シャッターを半押し。これで合わせられます。
ただし!赤いライトは避けてください。赤色の光は微妙にピント位置が違うことがあります!

近くに手頃な街灯が見当たらない場合は、空に見えている一番明るい星で合わせてみます。
金星や木星ならほぼ大丈夫。これでピントが合えばOKです。

どの場合も、ピントが合ったらMFモードに変更します。
これを忘れると、次の半押しでまたAFが走ってしまうので注意です。

2.ライブビューにしてMFで合わせる

一番明るい星のAFがだめなら、マニュアルフォーカス(MF)で合わせます。
一眼レフの光学ファインダーでのピント合わせは、ふつうの視力ではまず無理。ライブビューを使用します。
以下の手順で合わせてみましょう。

ライブビューの10倍拡大
ライブビューの10倍拡大。
  • マニュアルフォーカスにして、ライブビューモードにします。
  • 空に見えている「一番明るい星」にカメラを向けます。
  • ピントリングを回して、星が見える位置を探します。
    →ここが一番の難関です。ある程度ピントが合わないと星そのものも見えません。根気よく星が出る位置を探しましょう。
  • 星が見つかったら、星をファインダーの中央にくるように移動します。
  • ライブビュー画像を拡大します。
    →拡大の方法は「虫眼鏡」のボタンで行うものが多いですが、これもトリセツで調べて練習しておきましょう。
  • ピントリングを回して、星が一番小さくなる位置を探します。
    →ここが二番目の難関。。根気よくピントリングを回してベストポジションを探しましょう。

3.事前に練習しておくこと

いろいろ事前の練習が多い天体写真ですが、ピントの練習は一番大事です!
今夜にでもベランダか庭で、夜景か星を使って練習しましょう。

構図は試写して修正、の繰り返しで

一眼レフの光学ファインダーでは星はほとんど見えません。
(ファインダー内のイルミネーションがこれまた邪魔だったりします)
ライブビューでも、よほど高感度に強いカメラでない限り、これまた星はほとんど見えません。

それではどうやって構図を合わせるのか?
そこで、私がいつもやっている方法をご紹介しましょう。

  • カメラを撮りたい方向に「だいたい」に向ける。
    →ファインダーを覗いてなんとなく見えるのなら、それを参考にします。
  • カメラのISOを思いっきり(カメラの上限まで)上げ、シャッター速度をその分速くする。
    →ISO12800の8秒、ISO25600の4秒くらいにします。
  • ピントを合わせてシャッターを切ります(試写)。
  • カメラのモニターに画像を表示し(この時点で星が写っているはず)、目的の構図になっているどうかを確認します。
  • ずれているようなら、カメラを少し動かして修正します。
  • 目的の構図になるまで、ここまでを何度か繰り返します。
  • ISO感度とシャッター速度を本来の設定に戻して、撮影します(これが本番)

モニター(またはファインダー)に、明るい星か街灯りのような目印になるものがひとつでも見えていれば、それを頼りに⑤の修正をします。
また、カメラに「電子水準器」がついていれば、これで水平を合わせるとなお良いでしょう。
大事なのは⑦。戻し忘れると残念な結果になってしまうので注意しましょう^^

いい加減な方法のようですが、星空の撮影ではファインダーやライブビューでは、最終イメージはわかりません。
ファインダーで構図合わせできるような場合でも、「試写して修正」は役に立つ方法です。


撮影画像のチェックポイント

1コマ撮影したら、カメラのモニターで写りを確認しましょう。
構図以外のチェックポイントは2つです。

一つめはピント。
モニタ画像を拡大して、「ピントが狂っていないか」をチェックします。
しっかりピントを合わせても、うっかりレンズに触ってしまったり、レンズの機械的な「遊び」が原因でずれてしまうことがよくあります。
家に帰って画像を見たら全部ボケボケでは泣くに泣けません。できるだけまめに撮影画像を確認しましょう。

背面液晶モニターで見た画像とヒストグラムの例。
背面液晶モニターで見た画像とヒストグラムの例。

二つめは露出。
露出はモニターに表示された画像を見て、空がほんのり明るく、星が写っているのがわかるくらいが適正です。
昼間のように空が明るいくらいなら露出オーバー。空が真っ暗なら露出アンダーです。

慣れればモニターを見て露出の過不足が判断できるようになるのですが、カメラのモニター画面は夜は実際よりも明るく見えるもの。
正確に判断するにはヒストグラムを見るのが良い方法です。

ヒストグラムとは、画像の中の明るさの分布をグラフにしたもの。
詳しい説明は画像処理の回でする予定ですが、ここでは「グラフの山の頂上」の位置(上の画像の▼)に注目してください。
星空の撮影の場合、この「山」が左1/4から中央やや左くらいまでが適正露出になります。
露出は後でソフトでかなり調整できます。特に、Rawで撮影する場合は1段くらいオーバー目に撮影して、現像時に明るさを調整する方がノイズが少なくよい結果になります。

ヒストグラムはカメラの「Info」ボタンを何回か押すことで表示できるカメラが多いのですが、これも機種によって異なります。
トリセツでよく確認しておきましょう。

まとめ

「月のある風景」であれ、「星空の撮影」であれ、撮影の流れは同じ。 これまでお話ししてきた内容を簡単に表にまとめてみました。

手順 必要な操作 注意点
1.カメラの設定 ・記録画質をRaw+JPEGに
・長秒時ノイズ低減をOFFに
・現地ではなく、事前に設定しておく。
2.機材を設置する ・三脚を安定したポジションに立てる。
・カメラを三脚に取り付ける。
・三脚を使用する場合は「手振れ補正」はOFFにする
3.露出を設定する ・絞り値を設定(F2.8。それより暗いときは開放)。
・ISO感度を設定(ISO800〜3200)。
・シャッター速度を設定(月のある風景の場合は自動露出(AE)でOK、星空の場合は15秒〜30秒が基本
・絞り値・ISO感度・シャッター速度のマニュアル操作を事前にじゅうぶんに練習しておくこと。
・自動露出(AE)の場合は「露出補正」の操作も練習しておくこと。
4.構図を合わせる ・雲台とズームリングを調節して構図を合わせる。 ・ズームレンズでの星空撮影の場合「広角端」が基本
5.ピントを合わせる ・明るい対象をフォーカス位置にセットしてシャッターボタンを半押し(AFの場合)。
・または、ライブビューでピントリングを回して合わせる。
・一度ピントを合わせたら、MFモードにしておく。
・ずれやすいのでピントは時々合わせ直すこと。
6.シャッターを切る ・2秒セルフタイマーにしてシャッターを切る。
・または、リモコンでシャッターを切る。
・ぶれないようにやさしくボタンを押すこと。
7.撮影した画像を確認する ・カメラの再生ボタンを押して画像を表示する
・必要に応じて拡大表示、ヒストグラム表示する
・画像再生、拡大表示の操作を事前に練習しておく。
・ピント、露出、構図をチェック!

この手順は星空であろうと一般の風景であろうとあまり変わりません。
手持ちのカメラでこれらの手順をすばやく確実にできるように、よく練習しておきましょう。

赤色の文字の部分が今回お話しした、星空撮影で大事になってくるところです。

いかがでしたか?
カメラの操作をしっかりマスターし、構図・露出・ピントの3つをてきばきと操作して、頭の中のイメージを写真にしていきましょう。
まずは晴れた日にご自宅の近くで、カメラを星に向けて撮影してみましょう!

でも・・今の日本では街灯り(天文マニアは「光害」と呼ぶこともあります)のため、星が良く見える場所がとても少ないのです。
少しくらい街灯りがあっても、カメラの目を通せば思いのほか星空が写るものですが、街中の弱々しい星空ではだんだん飽き足りなくなってきます。
やっぱり、満天の星の下で星を眺めたり、撮ってみたくなりますよね。

そこで次回第七回では、より美しい星空に出会うための方法についてお話しします。

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    すべてにリプライさせていただきたいと思います!



山口千宗
【天文リフレクションズ/山口千宗】

日本唯一の?天文ファンのための全方位キュレーションサイト/その編集長。 天文ファン500万人化を目指して日々絶賛情報発信中。五感で感じる星空体験がモットー。天文宇宙検定2級。夢はベテルギウスの超新星爆発を見届けること。