月齢を調べよう
月のある風景を撮るためには、月がどれくらい欠けているかを示す月齢を知る必要があります。
PCなら「月齢」で検索すれば調べられますが、やはりアプリが一番便利。
天体を撮るなら、月齢を調べるアプリは必須。ぜひインストールしておきましょう。
いろいろ種類があってなかなか決定版がないのですが、シンプルで見やすい次のアプリがオススメです。
アプリ「がんばれ!ルルロロの月齢カレンダー」
AppStore
Google Play
「薄明」について知ろう
夜空は日没(日の入り)とともに始まり、日の出とともに終わります。
そして、太陽が沈んでから真っ暗になるまでの、空に明かりが残っている時間帯を薄明と呼びます。
耳慣れない言葉かもしれませんが、本格的な星空撮影はこの薄明が終わってからが本番です。
また、このおよそ1時間半ほどの薄明の間に空の明るさは10万倍以上も変わります。いわゆるマジックアワーはこの薄明の時間帯。
昼と夜を分ける薄明の時間帯は、最もドラマチックな時間帯なのです。
薄明は、その明るさ(=太陽がどれくらい深く沈んだか)によって大きく3つに分けられています。
月のある風景のベストタイムは、市民薄明が終わってから航海薄明の前半まで。
時間にするとわずか15分くらいしかありません。この時間の間、とにかく撮って撮って撮りまくるのが大事です。
1、市民薄明
日没から約30分。太陽が角度で6度沈むまでの間です。
照明がなくても普通に活動できる明るさ。星はほぼ見えません。どちらかといえば昼間の延長のようなものです。
明るさは9EV〜2EV程度。たいていのカメラでオートフォーカスも自動露出も動作する明るさです。
2、航海薄明
市民薄明が終わってから約30分。太陽が角度で12度沈むまでの間です。
星が見えはじめます。空にははっきり明るさが残り、海上では水平線と空の境界が区別できます。
(航海薄明という言葉は、船が自分の位置を知るためには「水平線」が肉眼で確認できる必要があったためにできたものです)
明るさは2EV〜-8EV程度。カメラによっては、オートフォーカスと自動露出が満足に動作しなくなってきます。
航海薄明の終わり頃には条件の良い場所では天の川も見え始めます。
3、天文薄明
航海薄明が終わってからさらに約30分。太陽が角度で18度沈むまでの間です。
もうほとんど夜です。太陽のある方角だけにかすかに明かりが残りますが、理想的な条件では6等星が肉眼で確認できる暗さです。
明るさは-8EV〜-10EV程度。もうオートフォーカスも自動露出も動作しなくなる暗さです。
太陽と月の出没と、薄明の時間を調べよう
太陽の出没・薄明の時刻は、季節やその土地の緯度によっても大きく変わります。
たとえば、夏至のころの北海道では薄明の時間は3時間以上にもなります。さらに北に行けば薄明が一晩中続く「白夜に」
アプリ「日出、日入」
AppStore
Google Play
これらの時刻を調べるのもアプリが便利。
このアプリの場合、太陽と月の出没だけでなく、3つの薄明の時刻まで知ることができるのでオススメ。
太陽と月の出没する方角も地図上で確認できるので、とりあえずこれ一つあればたいていの場合はこと足りるでしょう。
まとめ
いかがでしたか?
今回は「月のある風景」を撮る4つのチャンスと、そのチャンスがいつかを知るために重要な「月齢」と「薄明」についてお話ししました。
少し難しい言葉も出てきましたが、「太陽と月の出入り」と「薄明」は、この先の星空撮影でも重要になってくるものです。
今回の機会に、ぜひ「月齢」と「月と太陽の出入りと薄明時刻」の調べ方をマスターしてくださいね!
また、8月25日の月と木星の接近の撮影にぜひチャレンジしてみてください!
次回は、月のある風景の実戦的な撮影手順についてお話しします。お楽しみに!
本連載の記事へのご質問・ご感想・撮影画像へのアドバイスのご希望がありましたら、ハッシュタグ #天体撮影のトリセツ でツイッターにご投稿ください! すべてにリプライさせていただきたいと思います!
(*)星空シミュレーションソフト「SUPER STAR V」の使用については、谷藤賢一様・千手正教様のご協力をいただきました。この場を借りて御礼を申し上げます。
日本唯一の?天文ファンのための全方位キュレーションサイト/その編集長。 天文ファン500万人化を目指して日々絶賛情報発信中。五感で感じる星空体験がモットー。天文宇宙検定2級。夢はベテルギウスの超新星爆発を見届けること。