ライトの明るさと色への配慮
ライトは邪魔だけれども、必要なもの。ライトを灯さなければ撮影地にもたどり着けないし、カメラを操作することもできません。では、ライトの影響を最小にするにはどうすればいいのでしょうか。
操作用のライトはできるだけ暗いものを
まずひとつ。安全確保以外に使用する際には、なるべく暗いライトを使用することです。
市販されている懐中電灯やヘッドランプは、移動用には明るく便利なのですが、星空と比べれば明るすぎます。移動用の明るめのライトと操作用の暗いライトを使い分けたいものです。
※本文内の価格情報は2019年5月28日時点でのAmazon.co.jpの価格です。
先にも紹介したこのビクセン社のヘッドライトは、明るさを無段階に調整することができ、最小にすればかなり暗くなります。移動時には明るく、カメラの操作時には最小に暗く。ライトを暗くすれば、周囲への影響も最小になります。
他にも、小さな豆電球のペンライトを使用すれば照射範囲を最小にすることができます。
また、ライトをいくら暗くしたとしても、その影響が全くなくなるわけではありません。点灯・消灯時には声をかけあうなどして周囲に配慮し、気持ちよく撮影できるようにしたいものです。
ライトの色は電球色がベスト
もうひとつ。ライトの「色」を適切に選べば、影響をより小さくすることができます。
一般的な「白色LED」は、ブルーライト成分が多く、暗闇になれた眼を強く刺激して暗いものがよく見えなくなってしまいます。では、どんな色にすればいいのでしょうか。
古くから天体観測でライトを使用する場合は、眼に刺激を与えにくい赤色がよいといわれてきました。ところが、天体撮影ではちょっと状況が違ってきます。カメラは人間の眼よりもはるかに赤色に敏感なのです。人間は暗所では赤い光を感じにくくなるのに対して、カメラは暗い所でも赤い光を同じように感じるのです。
その結果、人間は赤ライトを使用して「暗い光を灯している」つもりでも、カメラには明るく写ってしまいます。星空の撮影の際は、暖色系の「電球色」のライトが理想なのです。
最近では「より暗い光で人間の視力を確保するためには、真っ赤な光よりもむしろ電球色の方が適切ではないか」という説もあり、その意味でも今後赤ライトよりも電球色ライトが主流になるかも知れません。
「赤ライトは眼で見たほどには暗くはない」ことを、ぜひ多くの人に知って欲しいと思います。
この無料スマホアプリは、その考え方を取り入れたもの。
スマホのディスプレイをライトとして使用できるアイデア商品ですが、最新バージョンでは「電球色」にも対応し、肉眼にもカメラにも優しいライトになっています。
フィールドはあなたのものではない
自分の庭で撮影するのでない限り、その場所は公共も含めた「他人の場所」です。それを忘れてはなりません。
ルールと常識を守ること
以下はみな、本来は当たり前のこと。でも、この当たり前が守られないことが社会問題にすらなりはじめています。
- 駐車禁止の場所には停めない。
- ロープやゲートで締められた場所には立ち入らない。
- 田畑の中に入らない。
- 草木を折ったり切ったりしない。
- ゴミの放置、タバコのポイ捨てをしない。
- トイレ以外で用便しない。
- 仲間うちの大声でのおしゃべりや大音量の音楽、不要なエンジン音などにも注意する。
などなど…
「写真愛好家」という存在は、撮影フィールドの側から見れば、極論すれば(しなくても?)「別にそこにいなくてもいい人(闖入者)」なのです。
当たり前のルールを守らない集団は、社会から排除されてしまいます。写真撮影でいえば、「撮影禁止」「立ち入り禁止」の場所がどんどん増えていく結果になるでしょう。
そうなってしまわないためにも、「撮らせてもらっている」という気持ち(あるいは事実)を忘れずに、全ての人が「ルールと常識を守る」意識を、もう一段高めていきたいものです。
携帯トイレのススメ
屋外でのトイレ事情はかなり深刻な問題です。筆者自身お腹が弱いのです。
そこで神様の声が聞こえました。
弱き緩き人間よ、携帯トイレを持て。
というわけで、車に携帯トイレを常備することにしました。携帯トイレ(袋)は、アマゾンでも簡単に買えます。これは星の撮影をしてもしなくても、ひとつ常備しておくとよいかもしれませんね。
携帯トイレを使う事態に至る前の話としても、星の撮影をする際のトイレの有無の確認は超重要です。GoogleMapやリアルでロケハン(撮影地の下調べ)するときは、トイレについても調べておくことをオススメします。
日本唯一の?天文ファンのための全方位キュレーションサイト/その編集長。 天文ファン500万人化を目指して日々絶賛情報発信中。五感で感じる星空体験がモットー。天文宇宙検定2級。夢はベテルギウスの超新星爆発を見届けること。