【連載】天体撮影のトリセツ【第七回】

満天の星空に出会うためには

2017.10.11
トリセツ編集部/山口千宗

どんな星空がいつ見えるか?

どんな星空がいつどの方角に見えるかは季節と時間によって変わってきます。
今回は、初級者にとって探しやすくてにぎやかな3つの領域と、それらがよく見える時期をご紹介しましょう

夏の大三角、冬の大三角、夏の天の川

まずは、夏の大三角。
3つの一等星からなる星並びは見つけやすく、濃い目の天の川が流れている賑やかな領域です。
ちょうどこれから秋にかけて、夕方から夜半過ぎまで見ることができ、撮影しやすく最も初級者向けです。

その次は、冬の大三角とオリオン座。
冬の大三角を含む7つの一等星は「冬のダイヤモンド」と呼ばれ、星空の中で最も賑やかな領域です。
冬の大三角の中には天の川が流れているのですが、こちらは淡いので難易度はやや高め。

最後に、いて座付近の夏の天の川。
全天で天の川が一番濃く明るく、最も撮影しやすい天の川です。
ただし、10月となるともうシーズンオフ。夕方の空ではすでに西に低く、次の春から夏までお預けです。

どの季節にいつ見えるかをまとめた図

これら3つが、どの季節にいつ見えるかをまとめたのが上の図です。
10月からは夏の大三角が日没後の西の空で見頃。夜明け前には冬の大三角も見ることができます。
夏の天の川はもうシーズンオフ。来年の春までのお楽しみです。

いつ・どんな星空が見えるのか詳しく調べるにはアプリの出番です。
無料のアプリがいろいろ出ていますが、一押しはこの「星座表」。
画面を空にかざすだけで、今見えている星を調べることができます。

アプリ・星座表
AppStore
Google Play

空が暗い場所をさがしてみよう

わずかな星の光をとらえるためには、空が暗いことがまず第一。
空を明るく照らしている原因の大半は市街地に集中している人工の光。
これを避けるためには、できるだけ市街地から離れた場所に行く必要があります。

次に、空気が澄んでいることが第二の条件。
空気中に含まれる塵や水蒸気が多いと、街灯りを反射して空が明るくなってしまいます。
季節なら秋〜冬、標高のなるべく高い場所が有利になります

光害マップ

上の画像は光害マップと呼ばれるもの。人工衛星から撮影した画像を元に作成された、夜の地上の明るさを示しています。
このWebサイトで目的の場所を拡大して見ることで、どの程度星が見えるかの目星をつけることができます。

この画像の「赤・黄」の場所では、天の川はまず見えません。
天の川の撮影は至難の技です。

緑から青緑の場所なら、ある程度天の川が見えます。
青緑色で条件が良ければ、十分にキレイな星空を撮影できるでしょう。

青から紺の場所なら、条件が良ければ降るような素晴らしい星空を見ることができるでしょう!


どんな場所に行けばいいか?

では具体的にどんな場所に行けばいいのでしょうか?
光害マップだけでは、なかなか良い星見スポットを見つけるのは大変ですね。
そこで、いくつかの目安をお話しします。

1.星空ツアー・星見の宿を利用する

最近は「星が見える」ことが一つの観光の目玉になりつつあります。
石垣島のような離島や長野県の阿智村、星取県こと鳥取県などなど。
オフシーズンのスキー場や山岳地のホテルなどでも星見を売り出しているところもありますし、公共の天文台施設でも宿泊が可能な場所が数多くあります。

ネットで「星空ツアー」「星見の宿」「天文台 宿泊」などで検索すれば、いろいろ見つけることができます。
全くの初めてであれば、こういったサービスや施設を利用するのが最もお手軽です。

2.海岸・峠・高原

左:糸島市二見浦海岸 右:阿蘇大観峰
左:糸島市二見浦海岸 右:阿蘇大観峰

車が使えるのであれば、かなり機動的な星見が可能です。
お手軽なのは海岸沿いの展望スポット。海岸のメリットは海側に街灯りが存在しないこと。都市圏の近くでも、海側ならまだ暗い空が期待できます。関東近辺なら、南房や九十九里、南伊豆など。
標高の高い峠や高原の展望スポットもオススメ。ただし冬場は寒すぎたり道路が通れなかったりするので注意が必要です。

いずれにしても夜間の行動はさまざな危険とセットなので十分に注意してくださいね。

3.市街地からは最低10キロ離れる

光害マップ

市街地の中心部から10キロ離れるだけで空はぐっと暗くなります。
上の画像は福岡市から海側へ30キロ向かった空の明るさの様子。
市街中心部ではまったくダメですが、10キロ離れるとかなり改善し、20キロはなれると天の川がちゃんと見えるレベルに。
東京・名古屋・大阪のような大都市圏でなければ、市街地から最低10キロ、できれば20キロ離れることで、天の川がよく見える星見スポットを見つけることが可能なのです。

また、人々が寝てしまう夜半以降は、商業施設や住居の灯りが消えるのでさらに条件が良くなります。
要するに星は「人の気配がしないほどよく見える」ということ^^

さらに詳しい星見スポットの探し方については「天文リフレクションズ」の次の記事をぜひご参照ください!



山口千宗
【天文リフレクションズ/山口千宗】

日本唯一の?天文ファンのための全方位キュレーションサイト/その編集長。 天文ファン500万人化を目指して日々絶賛情報発信中。五感で感じる星空体験がモットー。天文宇宙検定2級。夢はベテルギウスの超新星爆発を見届けること。