家電メーカーのパナソニックが本格的にカメラを手がけたのはライカカメラ社との協業からでした。やがて世界初のミラーレス一眼を発売します。それがマイクロフォーサーズのGシリーズ。そして2019年にはライカのLマウントを採用したSシリーズを発売し、マイクロフォーサーズと35mmフルサイズの2本立てとなりました。今後の展開が楽しみなブランドです。
パナソニックのカメラの歴史
2018年に創業100周年を迎えたパナソニック。大正7年の創業時は松下電器器具製作所、昭和10年には松下電器産業となり、日本を代表する総合家電メーカーとして発展しました。
家電メーカーですからフィルムカメラは手がけておらず、最初のスチルカメラは1997年の薄型デジタルカメラ「COOLSHOT」でした。もう誰も覚えてないかもしれませんが、LUMIXの前にもCOOLSHOTやCARDSHOT、iPalmなど、いくつかのカメラを出していたのです。開発元は松下寿電子産業だったり九州松下電器だったり松下電器産業だったりと、松下電器グループの各社がそれぞれ開発しており、パナソニックとして本格的に取り組んでいたわけではありませんでした。
しかし、21世紀を迎えた2001年に大きく動き始めます。独ライカカメラ社と協業を発表し、LEICAブランドのレンズを搭載した高級コンパクトのDMC-LC5と普及型コンパクトのDMC-F7を発表したのです。このときはじめてLUMIXの名がつけられました。パナソニックのデジタルカメラの歴史はこのときに始まったといっていいでしょう。本格的に取り組むため、世界有数の老舗カメラブランド「ライカ」と手を組んだわけですね。
おりしもコンパクトデジカメがぐんぐん伸びる時代でしたので、光学式手ブレ補正搭載の「あゆはブレない」、高倍率ズームコンパクトの「きみまろズーム」など耳に残るキャッチコピーで大ヒットとなったわけです。
そうなると次に手がけたくなる一眼レフ。レンズ交換式カメラの資産を持たないパナソニックは、オリンパスと米コダック社を中心とする「フォーサーズ」陣営に参加。2006年にはDMC-L1という「デジタル一眼レフ」を発売します。2代だけで終わってしまったので知る人ぞ知るカメラです。上面はフラットでミラーレス一眼っぽいデザインですが、実は中にミラーボックスが入っていて光学ファインダーも搭載している、れっきとした一眼レフだったのですね。
そして2008年、フォーサーズはミラーレスの「マイクロフォーサーズ」に進化し、パナソニックは世界初のミラーレス一眼「DMC-G1」を発売したのでした。
とうとうミラーレスです。LUMIX Gシリーズの誕生です。バリアングルモニタとEVFを搭載した、初代にして先進的なミラーレス一眼でした。
LUMIX Gシリーズは、動画機能に優れたGHシリーズ、コンパクトなGXシリーズなど幅広く展開したり展開したシリーズを畳んだりしつつ、動画性能を応用した4Kフォトや6Kフォトの搭載、タッチパッドAF機能の搭載(最初にこの機能を搭載したのがパナソニックでした)など独自機能を盛り込みながら進化し続けます。
そして2018年秋、新たに35mmフルサイズセンサーのミラーレス一眼の開発を発表します。マウントはライカカメラ社のLマウント(ライカSLやCL、TLで使われている)を採用。同時に、ライカカメラ、シグマと一緒にLマウントアライアンスを立ち上げたのです。
2019年2月にはプロ向けの35mmフルサイズミラーレス一眼、LUMIX S1/S1Rを正式に発表しました。
マウント別にパナソニックのラインナップを整理
Lマウント対応のS1/S1Rの発表で、パナソニックのマウントは2種類になりました。
どちらも自社独自のマウントではなく、他社との共通規格となっているため、表にはパナソニック以外の同じマウントを使っているカメラについても書いてあります。
S1/S1Rの発表会では、小型軽量のGシリーズと画質重視のSシリーズではっきりと違いがあり、マイクロフォーサーズも続けて行くと明言されてます。
なお、マイクロフォーサーズもLマウントもパナソニック独自のマウントではないため、同一マウントを採用する他社の製品も表に入っています。
注1)表には製品投入を表明したものの、製品の発表には至っていないシグマ社も加えてあります。
注2)ライカカメラ社のAPS-Cセンサーを採用したライカTL/CLはLマウントを採用しているので表には入れましたが、Sシリーズでの動作を確認したわけではないのでご了承ください。
老舗のデジタル系フリーライター兼カメラマン。パソコン雑誌のライターだったが、今はカメラやスマホが中心、ときどき猫写真家になる。「iPhoneカメラ講座」「這いつくばって猫に近づけ」など連載中。近著は「東京古道探訪」。歴史散歩ガイドもやってます。