【カメラメーカーのトリセツ】キヤノン編

マウント変更を乗り越えてトップを走るキヤノン (1/2)

2019.02.03
トリセツ編集部/荻窪圭
【カメラメーカーのトリセツ】キヤノン編
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デジタル一眼(レンズ交換式カメラ)のラインナップが増えてきた昨今、どれを選んだらいいか悩みどころかと思います。

そこでメーカーやマウント別に整理してみることにしました。

第一回は業界トップのキヤノンのデジタル一眼から。

キヤノンのカメラ歴史

キヤノンの前身は、高級小型写真機の研究を目的に開設された「精機光学研究所」。

ここが試作した35mmフィルムを使ったカメラに「Kwanon(カンノン)」と名づけたのがはじまりです。語源は観音さまの観音です。「カンノン」と「キヤノン」、響きが似ていますよね。

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画像提供:キヤノンマーケティングジャパン株式会社 / キヤノンの歴史1933~1961

その後、開発は難航しました。1935年にはブランド名をKwanonからCanonに変更(日本語では「キャノン」ではなく「キヤノン」なので注意)し、1936年にニコン(当時は日本光学)の協力を得てやっと一号機の「ハンザ・キヤノン」が発売されました。レンズにはニッコール(Nikkor)と刻印されています。レンズもニコンのものが使われたのですね。今では考えられません。

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画像提供:キヤノンマーケティングジャパン株式会社 / 標準型(ハンザ・キヤノン)

その後、1959年のキヤノンフレックスを皮切りにレンズ交換式一眼レフに乗り出すのですが、カメラマウントにかなり苦労しました。キヤノンフレックスのRマウント、その後のFLマウントと経て、1971年のキヤノン F-1のFDマウントでいったん落ち着くという次第でした。FDマウントではAE-1やA1というヒット作も出しましたが、オートフォーカスや電子制御の時代が近づいてくると、FDマウントで対応していくのは難しくなっていきました。

ここでキヤノンは思い切りました。今まで最低限の互換性を保ちながらマウントを変更してきたのですが、過去のレンズ資産をすべて捨て、完全に新しいマウントに切り替えるという選択をしたのです。

そして1987年、新マウントの新しいオートフォーカス一眼レフシリーズをリリースします。それが初代EOSで、最初のEFマウント機でした。EFマウントは将来を見越して、電子制御用の接点やレンズ側にAFモーターを搭載したオートフォーカスの制御など、今につながる現代的な仕組みを導入したのです。

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初代 EOSのEOS 650。1987年。

おかげでその後30年以上使われ続けています。

その後、IXYやEOS Kissなどの大ヒットを飛ばすわけですね。

1995年になるとキヤノン初のデジタル一眼レフ DCS 3が登場。これはEOS-1のボディにコダック社が開発したデジタルユニットを合体させたモデルで、価格はなんと198万円。おいそれと買える価格ではありませんでした。

完全にオリジナルのデジタル一眼レフ「EOS D30」が登場したのは2000年の秋でした。

歴史を振り返ってみると、キヤノンは他社より少し遅れてやってきて、本気を出したら一気に後ろからぶち抜く会社というイメージです。

デジタル一眼レフも早くから出していますが、本格的に評価が高まったのはEOS DxxからEOS xxDにネーミングが変わった2003年からといっていいでしょう。このネーミング変更の影響で、2000年に登場した「EOS D30」、2006年に登場した「EOS 30D」のようにややこしいことも起きました。

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EOS 30D(2006年発売)

コンパクトデジカメも1996年には投入していますが、本格的なヒットは2000年のIXY Digitalまで待たねばなりませんでした。

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大ヒットとなった初代IXY Didital。手のひらに握れるサイズでした。

ミラーレス一眼も初代EOS Mは2012年と早かったのですが(しかもイメージキャラクターは新垣結衣と妻夫木聡!)、当時は他社に比べてAFが遅く製品としての完成度はまだまだでした。

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2012年のEOS M製品発表会にて。新垣結衣がイメージキャラクターとして登壇していました。

ところが2016年のEOS M5で性能も使い勝手もぐんと向上し、それが2018年の大ヒットにつながっています。

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2016年9月。EOS M5製品発表会にて。

初代機の完成度は低くてもいずれ高い完成度で万人に受け入れられるカメラを開発し、市場を席巻するという感じですね。トップメーカーの貫禄といっていいかもしれません。

ユーザーが多くて相談できる人が多いことや、とても安定感のある画質や操作感で初心者でも安心して使えるのもキヤノンの良さです。







マウント別にキヤノンのラインナップを整理

現在、キヤノンのデジタル一眼レフは4種類のマウントを持っています。これが少しややこしいので整理しましょう。

フルサイズはフィルム時代からのEF。APS-C専用レンズとしてEF-S。EFとEF-Sは互換性がありそうですが、EF-Sレンズをフルサイズの一眼レフにつけることはできません。その逆はできます。

ミラーレス一眼は、フルサイズがRF、APS-CサイズがEF-Mとそれぞれ別のマウントです。マウント径も異なり、互換性がまったくありません。

わかりづらいので、表にまとめてみました。

ボディは数が多いので、現行モデルを中心にシリーズ分けし、プロ・ハイエンド・ミドル・エントリーの4つのランクに分けています。

◎はもっとも適合するレンズ、○は利用可能なレンズを示しています。

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ミラーレスの項目は要注目です。EOS Rにはアダプタ経由でEFとEF-Sレンズが使えますが、EF-Mレンズは使えません。

EOS Kiss XにはEFレンズとEF-Sレンズが使えますが、EOS 6DではEFレンズしか使えません。

マウントがまったく異なるミラーレス一眼を2つ持っているということですね。同じミラーレス一眼でも、EOS RとEOS Mはまったく別モノだと思いましょう。



荻窪圭
【デジカメライター 荻窪圭】

老舗のデジタル系フリーライター兼カメラマン。パソコン雑誌のライターだったが、今はカメラやスマホが中心、ときどき猫写真家になる。「iPhoneカメラ講座」「這いつくばって猫に近づけ」など連載中。近著は「東京古道探訪」。歴史散歩ガイドもやってます。