シリーズ別の選び方
フルサイズ一眼レフ
フルサイズ一眼レフは特にこだわりのポイント(高速連写が必要とか高速シャッターが必要とか頑丈さが必要とか)がない限り、どれを使っても問題ないでしょう。それよりレンズの方が大事です。EFレンズは本数も非常に多くサードパーティからも多く出ているので、ニーズにあったものを選べます。
EOS-1D Xシリーズ
ちなみに「EOS 1D」ではなく「EOS-1D」です。これだけ「ハイフン」が入るので注意してください。重くて高くて頑丈で、連写もAFも超高速というバリバリのプロ向けモデルです。最高秒14コマ。スポーツカメラマンや自然の中で動物や野鳥を撮るなど、過酷な環境で連写をするプロのためのカメラですから、そうじゃない人が無理に手を出す必要はないでしょう。
EOS 5Dシリーズ
プロからハイアマチュアが使う「ハイエンド」一眼レフの代表モデルにして、定番モデルです。連写性能はそこそこですが画素数が多く、汎用性が高いカメラです。フルサイズセンサー一眼レフの基本といっていいでしょう。より高画素を求める人のための5Dsもあります。
EOS 6Dシリーズ
小型軽量でフルサイズの中ではもっともお手軽に始められるモデル。趣味の一眼レフならこれでOK。
APS-Cサイズ一眼レフ
APS-Cサイズもどれを買っても問題ありませんが、本格的に写真を楽しむならKissより上のモデルを、逆に写真を趣味にする気はないけど一眼レフの高画質を楽しみたいならKissがよいかと思います。
将来フルサイズセンサーのカメラも念頭に置いているなら、レンズはAPS-C用のEF-Sではなくフルサイズ対応のEFレンズを選ぶのがおすすめ。
EOS 7Dシリーズ
APS-Cサイズの中ではハイエンド。スポーツ撮影も念頭においた高速連写が自慢です。その代わりAPS-Cサイズ機としてはややゴツくて重め。最新の7D Mark IIでも2014年発売で、既に4年たっているのは気になるところ。
EOS 80D
APS-Cサイズのミドルクラス機。「2桁数字+D」という名前が特徴です。現行モデルは80Dですが、その前は70Dでした。
比較的軽量で使いやすく、価格も手頃で趣味の一眼レフとしてほどよい感じです。カメラが趣味!という人はこのクラスから始めましょう。
EOS 9000Dというモデルもありますが、そちらは中身はEOS Kiss X9iと同じで、操作系を上位のEOSに合わせたモデルです。
EOS Kiss Xシリーズ
エントリー一眼レフの定番中の定番。現行では、X9i、X9、X90と3モデル出ています。X9iとX9はまったく別のモデルなので注意してください(カメラの型番ではこのようにまぎらわしい名称がしばしばあります)。特にX9は小さくて可愛い。
上位のEOSとは操作感もちょっと違うので(Kissはエントリー向けだけあってコンデジっぽさもありわかりやすい)、カメラが趣味というよりは簡単に写真を楽しみたい、スマホでは撮れない高画質な写真を残したいって人用ですね。悩みは、ミラーレスのKiss Mにするか、一眼レフのKiss Xにするか、になるでしょう。
フルサイズミラーレス一眼
登場したばかりのRFマウントですが、2018年秋のEOS Rに続き、2019年2月にはEOS RPが発表されました。
EOS R
まだ荒削りなところもあるけど、将来はこちらが主流になっていくだろうと思われます。カメラのランクとしては、6Dと5Dの中間くらいなので、6Dの人がこっちに買い換えるのはおすすめ。5D以上の人がスナップ用に持ち歩くセカンドカメラとして買うのもよいでしょう。いきなり一眼レフからこっちへ乗り換える場合は、マウントアダプターは必須です。ただ、初号機なので、今後のラインナップの充実や改善されたモデルの発表を待つという手もあります。
ボディ内手ブレ補正はいつ搭載されるんだろうという感じも。
EOS RP
2019年2月に発表されたEOS Rの下位モデルがEOS RPです。画素数は2600万画素、EVFのドット数も少し落ちてますが、その分ボディも小さくて軽く、価格もぐっとお求めやすくなっています。一眼レフでいえばEOS 6D Mark II相当でしょうか。
フルサイズミラーレス一眼入門機として魅力的です。
APS-Cサイズミラーレス一眼
EOS Mシリーズは発売から6年ほど経ち、やっと完成度が上がってきました。EF-Mレンズはどれも「太さ」が統一されていて、揃えたときの統一感がありますが、フルサイズのEOS Rとはレンズの互換性がないので注意です。このシリーズはフルサイズへのステップアップをしない人向けといえましょう。
EOS Mシリーズ
現行機は多くありますが、おすすめはEOS M5かM6。違いはEVFの有無です。
非常にコンパクトで軽くて使いやすいので、携帯性が高いレンズ交換式カメラとしては非常に優秀です。ただ、EOS RのRFマウントとの互換性はないので、将来フルサイズのミラーレス機を使いたくなったらレンズごと買い換えとなります(EFレンズをアダプター経由で使っていればアダプターの買い換えで済みます)。そこがひっかかる人はいるかも。
EOS Kiss M
とうとうKissのミラーレス版が登場し、ヒット作となりました。将来のステップアップ云々というカメラではないので、気に入ったら買って楽しむのがよいかと思います。見た目は小さくて可愛く、性能もしっかりしていますから買って損はないでしょう。
多くの人は一眼レフのKiss XよりミラーレスのKiss Mの方がコンパクトで扱いやすくてよいのではないでしょうか。特に背面モニタでつい撮っちゃう人はこちらを選ぶべきでしょう。レンズも最低限必要なものは揃いました。おすすめできます。
EOS M Kissではなくて、EOS Kiss Mというネーミングもキヤノンの力の入れ具合を表してます。
まとめのポイント:KissかKiss以外かで選択肢は変わる
キヤノンは言わずと知れたトップシェアのメーカー。
故に、全方位ラインナップといっていいほど、エントリー向けからプロ向けまで幅広く取り揃えています。
キヤノンのカメラを選ぶなら、まず「Kissシリーズでいいかどうか」が大事。Kissで行くのなら、おすすめはミラーレスのEOS Kiss M。携帯性が高くどこにでも持ち歩けますし、必要最低限のレンズは揃っています。足りないのは超望遠くらい。
Kissでは物足りないという人は、ミラーレスにするか一眼レフにするかが悩みどころ。特にAPS-CはミラーレスのEOS Mにするか一眼レフにするか考えちゃいますね。
上を狙うならあえてEOS Rに行くのも手でしょう。EOS RPはフルサイズセンサー機にしては価格も非常に手頃なので入門機としてよさそうです。
(写真:一部製品写真を除き、荻窪圭撮影)
※カメラの分類は編集部が独自の判断で行ったものです。
老舗のデジタル系フリーライター兼カメラマン。パソコン雑誌のライターだったが、今はカメラやスマホが中心、ときどき猫写真家になる。「iPhoneカメラ講座」「這いつくばって猫に近づけ」など連載中。近著は「東京古道探訪」。歴史散歩ガイドもやってます。