今や世界で一番使われているカメラはスマートフォンという時代。いつでも身につけているためにすぐ取り出せるうえ、カメラ&写真に必要な「撮る・見る・見せる(共有する)・保管する」という4大機能を1台で賄えてしまう。そのため、写真や動画を撮る機会は飛躍的に増え、「スマートフォンは通話もできて、インターネットにも繋がるカメラだ」という人もいるくらい。購入する時も予算とカメラ性能を天秤にかける人が多いのではないでしょうか?
そこで今回はスマートフォンカメラの話。
3万円前後で購入できるエントリークラスのスマートフォンは小さなカメラがひとつついているだけというのが一般的ですが、これがその上の6万円台のクラスになるとカメラが2つや3つになり、20万円近いフラッグシップ機と見た目もあまり変わらなくなります。
カメラ重視の人にとってはミドルクラスのモデルでいいのか、頑張ってハイエンド機を買った方がいいのか、気になりますよね。
そんな訳でスマートフォンのカメラは価格帯やランクでどこまで違うのかを、日本でポピュラーなブランドの製品をチェックしつつ検証してみましょう。
画素数は1200万画素と思えばOKだったりします
カメラで一番目立つのは「画素数」ですよね。どのスマホカメラも「12MP」(12メガピクセルなので1200万画素)や「48MP」(4800万画素)とか、中には200MP(2億画素)という恐ろしい数字のモノも。
しかし、実際に撮ってみると話はちょっと変わります。
48MPのカメラも200MPのカメラも実際に撮影してみると、撮れる写真は12MPサイズです。なぜなら、もともとのイメージセンサーの設計がそうなっているから。48MPのカメラは普段は「4つの画素」をひとつにまとめて画像を作るように設計されていて(なのでクアッドピクセルと呼ばれています)、48を4で割ると12ですよね。
200MPのカメラは「16つの画素」(4×4)をひとつにまとめますから、200を16で割ると12.5で1250万画素相当になり、撮れる写真は12MPのカメラと同じサイズなわけです。
では、無理に増やさなくてもいいじゃないかという気はしますが、細かく分割することでAF性能を上げたり、4つをひとつにまとめないで撮るモードを持っていたり(その場合48MPのサイズになります)、4つの画素それぞれで違う設定で撮ることができたりと、高画素ならではの機能も持っています。
例えば、48MPの中央部12MP部分だけを切り出すと「2倍の望遠」で撮ったのと同じ結果が得られ、12MPで2倍のデジタルズームで撮るよりも圧倒的に高画質となります。
実質12MPならどれでも同じ?
では、実際にどのカメラで撮っても12MPならどれでも同じでしょうか?
この場合、注目すべきはイメージセンサーのサイズです。デジタルカメラでは原則として「イメージセンサーが大きい方が高画質」です。具体的には階調表現が滑らかになったり高感度時の(つまり暗い場所で撮るときの)ノイズが少なく綺麗に撮れます。ソニーのXperiaがわかりやすい比較表を用意してくれているので見てみましょう。
Xperia Ace IIIは3万円台で買えるエントリーモデル、Xperia 10 Vは約8万円のスタンダードモデル、Xperia 1Vは20万円強のフラッグシップモデルです。
Xperiaのエントリーからハイエンドまでのメインカメラのセンサーサイズ。
ここに大きな差が出てきます。それぞれ広角カメラ(メインカメラと思ってください)のセンサーサイズが1/3型、1/2.0型、1/1.35型と違うのがわかります。分数だと分かりにくいという人のために小数で書くと「0.33」、「0.5」、「0.74」となります。
どれも撮影画像の画素数はあまり変わりませんが、センサーサイズが大きい方が撮れる写真は綺麗になります。またXperia 1 Vは最新のハイエンド機だけあって、最新技術のセンサーが搭載されていて、この場合は「2層トランジスタ画素積層型」というのがそうですね。
ちなみに、Xperiaの最上位機種「Xperia PRO-I」は1型のセンサーを搭載しています。
センサーサイズが大きくなるとその分価格も上がり、どのメーカーも上位機種ほど大きなセンサーを搭載していると思っていいでしょう。
センサーサイズは非公開でも画素ピッチ(1画素あたりの大きさ)は公開しているというメーカーもあります。iPhoneの場合、スタンダードモデルのiPhone 15の画素ピッチは「2μm」、上位モデルのiPhone 15 Proの画素ピッチは「2.44μm」、画素数は同じでも、Proの方がセンサーサイズが少し大きいのが見てとれます。少しでも高画質をという人はセンサーサイズに要注目です。
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老舗のデジタル系フリーライター兼カメラマン。パソコン雑誌のライターだったが、今はカメラやスマホが中心、ときどき猫写真家になる。「iPhoneカメラ講座」「這いつくばって猫に近づけ」など連載中。近著は「東京古道探訪」。歴史散歩ガイドもやってます。