スマホのカメラ性能はどこをチェックすべきか?画素数だけではわからない比較ポイント

2024.02.02
トリセツ編集部/荻窪圭


3眼カメラなら全て同じ?

 画素数の話をもう少し。

以前はハイエンド機のみで使われていた高画素センサーも、今ではスタンダードモデルでの採用も進んでいます。技術の進化とコストダウンの結果ですね。では、2眼や3眼のカメラの場合はどうでしょう。48MPのセンサーを使ったXperia 10 Vのカメラスペックを見るとなかなか面白いことに気づきます。広角カメラは48MPなのに、超広角カメラと望遠カメラは8MP(800万画素)と少なくなっています。

Xperiaのスタンダードモデル、Xperia 10 V。
スタンダードモデルながらトリプルカメラを搭載しています。
(SONY公式HP、「Xperiaを比較する」より)

 Xperiaのエントリー機からハイエンド機までのカメラスペック表。

Xperia 10 Vはトリプルカメラであるものの超広角と望遠カメラの画素数が抑えられてます。一番よく使う広角カメラを重点的に強化するというのは昨今のスタンダードモデルの特徴ともいえます。そういう意味では超広角や望遠をあまり重要視しないのであれば、ミドルクラスの48MPカメラ搭載機は狙い目です。なお、「超広角・広角・望遠」という構成がトリプルカメラの基本ですが、スタンダードモデルの中には「超広角・広角・マクロ」という構成のものもあるので注意しましょう。

端末本体の性能も実は大事

スタンダードモデルとハイエンドモデル。

広角カメラで静止画を撮る分にはそれほど差はありませんが、動画の場合は要注意です。大きな違いはフルHDか4K動画か、手ブレ補正性能、スローモーション撮影性能といったところです。4K動画撮影や強力な手ぶれ補正はどうしてもスマートフォン自体の性能を必要とするので、そこは高性能なCPU(SoC)を搭載したハイエンドモデルの方が有利です。今のスマートフォンは暗所だと「ナイトモード」に切り替わり綺麗な夜景を撮れますが、ナイトモード撮影時の待ち時間もハイエンド機の方が有利です。今のスマートフォンのカメラは「コンピュテーショナルフォトグラフィー」といって単に1枚撮影するだけではなく、複数枚撮った画像を解析したり合成したりして、1枚の綺麗な写真を作り出す機械学習を使った最先端のデジタル技術を駆使しています。そのためには高速な画像処理が必要となり、どうしてもより高性能なハイエンドモデルが有利になります。

ハイエンド機とフラッグシップ機の違いは

 結論を言いますと、日常のちょっとした写真なら10万円以下のスタンダードモデルで全く問題はありません。数年前のモデルに比べるとイメージセンサーも大きくなり、性能も上がってきてます。それでもできるだけ高性能なカメラが欲しいと思った場合、最後の悩みがひとつあります。

 それはハイエンドモデルとフラッグシップモデルのどちらにするか……

 iPhone 15 ProとiPhone 15 Pro Max。

この2機種は超広角と広角カメラは全く同じですが、望遠カメラに違いがあります。iPhone 15 Proは3倍ですが、iPhone 15 Pro Maxは5倍で望遠カメラのイメージセンサーも少し大きめ。

 GALAXY S23とS23 Ultra。S23はトリプルカメラですが、S23 Ultraは四つ目のカメラが追加されていて、それは10倍の望遠となっていてより望遠に強いわけですね。ちなみに広角カメラもS23は50MPなのに対し、S23 Ultraは200MPと違いがあります。同じシリーズ名でこれだけ違うので注意が必要かもしれません。

S23とS23 Ultraは同じ「S23」と名が付いていてもカメラの数が違います。
GALAXY S23 Ultra。5つの丸い穴のうち、4つがカメラです。

 Xperia 5 VとXperia 1 V。

両者の超広角カメラと広角カメラは同じものですが、1 Vには85-105mm相当の望遠ズームカメラが搭載されています。

Xperia 1 Vが搭載するトリプルカメラ
一番下にある四角いユニットが光学ズーム付きの望遠カメラです。

 5 Vはデュアルカメラで望遠カメラは未搭載ですが、よりクオリティの高い2x望遠モードを持ってます。そして、ボディは上位モデルの方がちょっと大きめ。価格差もけっこうあります。

ではどちらを選ぶか?

どちらでもOKですが、特に望遠撮影が多くてたくさんしたいという人以外は最上位モデルにする必然性はないかなと思います。薄いボディに望遠レンズを収める関係上、どうしても小さめのイメージセンサーになり、レンズにも無理がかかり広角カメラほどのクオリティは望めません。そこは普段どんな写真を撮るかで決めましょう。

まとめ:広角カメラの性能が大事

 ここに取り上げた他にも、スタンダード機の超広角カメラはフォーカス固定だけど、ハイエンド機の超広角カメラはAFがついていて至近距離での撮影にも対応しているとか、光学式手ブレ補正機能の性能に差があるなど、細かい差違はあります。では、カメラ性能でスマートフォンを選びたいが本体が高すぎるのはつらい、という人はどこをチェックすればいいのでしょう。大きな違いは画素数よりもイメージセンサーのサイズと性能にあります。ハイエンド機の方が高性能なものを搭載しているため、基本画質が高くなります。ただ、スタンダードモデルのカメラ性能も年々上がっていて、広角カメラで日常の撮影を撮影を行う分には問題ないでしょう。しかし、昼でも夜でもいつでも撮りたい、超広角で撮ることやついズームして望遠で撮ることがけっこうあるなど、撮影の範囲が広い人は頑張ってハイエンドモデルを買っても後悔しないでしょう。

iPhone 14 Proの3倍望遠+デジタルズームで撮影したアオサギ。
時には望遠カメラがあればよかったのに、と思うこともあり難しいのです。

 また、動画撮影や特に手持ちで動きながら撮る、あるいは動画は4Kで撮りたい、という人にもハイエンドモデルはおすすめです。製品のWebサイトを見ると、どれも画素数が多くてカメラを複数搭載していて、じゃあ高いモデルとそうじゃないモデルの差はどこにあるの? と思われがちですが、実は数字では見えづらい違いがあるのです。今のスマートフォンは下は2〜3万円から、上は20万円以上までと価格差が大きくなっています。

自分が求める性能と予算のバランスを考えてお選びください。


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荻窪圭
【デジカメライター 荻窪圭】

老舗のデジタル系フリーライター兼カメラマン。パソコン雑誌のライターだったが、今はカメラやスマホが中心、ときどき猫写真家になる。「iPhoneカメラ講座」「這いつくばって猫に近づけ」など連載中。近著は「東京古道探訪」。歴史散歩ガイドもやってます。