その2:S1はカメラとしてはどうなの使いやすいの?
ゴツいけど細かいところまで行き届いたボディなのだった
では使ってみましょう。
まず多くの人が思うのは「デカッ」「重ッ」かと思います。α7シリーズをはじめとする小型系ミラーレス一眼を知っていると、特にそう思うでしょう。重さ的にはハイエンド一眼レフと同じくらい(一眼レフに比べると薄くはありますが)。ミラーボックスがないだけで、モノとしては「ハイエンドデジタル一眼」そのものと思えばOK。
まあ、防塵防滴耐寒をしっかりし、タフで頑丈なボディを持ち、プロカメラマンでも快適に使える操作系を備えようと思ったら、それなりデカくなるわけです。
確かに構えてみると重いのですが、バランスは上々。
グリップもしっかりしているし、ファインダーを覗いたときにすごく安定感があります。そういうバランスのよさは、さすがです。
そして、すばらしいのがファインダー(EVF)。大きくて見やすくてナチュラル!
これはすばらしいでき、と言っていいでしょう。個人的には光学ファインダーよりこっちの方が好きかな。
背面のモニタは縦横のデュアルチルト式。横にもチルトするので、こんな風に構えれば縦位置ローアングルも撮れます。
富士フイルムのX-T3やX−H1でお馴染みの構造ですね。
背面モニタの中心がちゃんと光軸に合っているところも、すばらしいですね。
イメージセンサーは最近流行の像面位相差センサー内蔵ではなく、パナソニックならではのコントラスト検出AF。ただ、昔のコントラスト検出AFと違ってめちゃ高速で快適です。この辺はさすがです。ただ、位相差検出AFとは得手不得手がちょっと違うので注意が必要かも。
AFでの注目は、自動検出機能。
「顔検出」のみならず「人体検出」や「動物検出」もしてくれます。
たとえばこのぬいぐるみも、何と検出したのかわかりませんが、このように被写体として認識してます。
お地蔵様も人体と認識(?)。
もちろん猫も。
もちろん顔検出もあります。手前の瞳をちゃんと検出してくれます。
でもカメラまかせのAFがあれば平気、という人はこのクラスのカメラを買わないでしょう。自分が本当に撮りたいところにフォーカスを合わせたいのです。
カメラの自動AFが狙ったところでないときはどうするか。
簡単です。AF用のスティックを親指で動かしてやれば、AF枠が画面に現れて狙ったところにすっとフォーカスを合わせられるのです。
その辺の操作系はすごくよくできていますね。もちろんタッチAFも使えます。
すばらしいのは、フォーカス系の機能が右手親指をちょっと伸ばした位置に集中していること。これはよく考えられています。フォーカスモード切り替えレバーの中にAFモード切り替えボタンがあり、その右に「親指AF」用のAFボタンがあり、その下にAF枠を動かすためのスティックがあります。集中しているので、さっと切り替えられるし迷わないのですね。
LUMIX S1/S1Rはボタンやレバーやダイヤルがやたら多いのですが、けっこう理に叶った配置になっていてたまりません。
さらに右手グリップ部分。シャッターボタンの前に前ダイヤル。その後ろに、WB、ISO感度、露出補正ボタン。グリップの奥に2つのボタンがついています。ISO感度のボタンにポッチが2つあるので、指で探ればすぐわかります。
頻繁に使う機能は右手側に、そうじゃないものは左肩にあります。左肩のダイヤルで撮影モードやドライブモードを切り替えます。
真上から全体を見るとこんな感じ。
大きな液晶パネルに必要な情報が表示されます。
S1が他のフルサイズミラーレス一眼より優れている点をもうひとつ。
それは手ブレ補正。ボディ内手ブレ補正を搭載する上に、レンズの手ブレ補正機構と連動した「Dual I.S.2」を搭載。同社のマイクロフォーサーズ機で実績がある手ブレ補正機構です。ボディ内と連動することで補正性能がぐっと上がるのです。
これが強力。
地下鉄のホームからトンネルを105mmの望遠で撮ったのがこちらですが、ISO3200で1/6秒です。望遠で1/6秒でブレないのもさることながらISO3200でもこの画質。
連写は秒9コマですが、6Kフォトを使えば秒30コマでの撮影も可能です。
動画は4K動画で秒60コマを実現。H.265にも対応しています。
さらに動画向きのフォトスタイル「シネライク」も用意されています。
撮り比べてみると、シネライクDはダイナミックレンジが広く色が抑えめなのがわかります。
フォトスタイルの中では「L.モノクローム」もおすすめ。
記録メディアはダブルスロット。
XQDカードとSDXCカードです。ニコンに次いでの採用ですね。高価ですが読み書きの速度は抜群です。
使っていて気になったのはバッテリーの持ち。
非常に大きなバッテリーを積んでいますが、持ちはミラーレス一眼レベル。EVFやセンサーや画像処理回路やその辺で電力消費が大きいのでしょう。特にEVFはバッテリーを食いそうです。
ただ、省電力ファインダー撮影機能を使うと(背面モニタは使わずファインダーを必要最低限の点灯で利用する)、公称で約1100枚と一眼レフ並になります。
ファインダー中心で撮影する人に朗報です。
充電はUSB充電で端子はUSB Type-C。
付属のACアプダタは5V/3Aと9V/3Aに対応。USB-PDにも対応しているわけで、そちらを使えば高速に充電可能です。さらに通電しながらの撮影も可能ですから、本格的に使うなら、USB-PD対応のモバイルバッテリーは必須かも。
※本文内の価格情報は2019年5月22日時点でのAmazon.co.jpの価格です。
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老舗のデジタル系フリーライター兼カメラマン。パソコン雑誌のライターだったが、今はカメラやスマホが中心、ときどき猫写真家になる。「iPhoneカメラ講座」「這いつくばって猫に近づけ」など連載中。近著は「東京古道探訪」。歴史散歩ガイドもやってます。