周知の通り、Huawei(ファーウェイ)製の端末はSIMフリー端末として日本市場に登場、ライカと協業して作り上げた高画質や、いち早く搭載したデュアルカメラなどカメラ機能で評価を上げています。2018年にはP20 ProがNTTドコモから発売されるなど、日本でもメジャーな端末メーカーのひとつになりました。
2019年にはP30シリーズとして、P30 lite、P30、P30 Proのラインナップを発表。P30 ProはNTTドコモから発売されるなど順風満帆に見えました……が、2019年5月、米国によるファーウェイ制裁措置が発動し、雲行きが怪しくなっています。日本での端末発売はどうなるのか。
まもなく、NTTドコモはP30 Proの事前予約受付を停止。P30 Proは日本ではNTTドコモのみが扱いますから、今のところ日本では買えないわけです。P30 liteはauとソフトバンクから発売される予定でしたが、こちらも発売を延期して発売時期は未定のまま(2019年7月末現在)。
ですが、ファーウェイの端末を日本で売ってはいけない……というわけじゃないので、いくつかのMVNOはP30 liteを販売していますし、SIMフリー端末としてP30やP30 liteを購入することは可能です。Amazonやヨドバシカメラでも購入できます。
いろいろと不透明な面はあるものの、スマートフォンとして優れているのは確かです。今回、P30のSIMフリー端末をお借りしてあれこれ使ってみましたので、ここでレビューをしようと思った次第です。
P30は三兄弟
ファーウェイの2019年春モデルは、P30 lite、P30、P30 Proの3つがラインナップされています。名前を見ての通り、P30 liteはエントリーモデル、P30とP30 Proは上位モデルです。
いずれもトリプルカメラですが、エントリー機のP30 liteは3つあるうちのひとつはAF専用です。実質、超広角+広角の2本立てで、イメージセンサーの性能も上位機から劣ります。安くてお手頃ですが、高性能が欲しいなら、P30かProにすべきでしょう。
P30 Proは6.5インチの大画面を持ち、トリプルカメラに加えて距離を測るToFカメラも搭載。Felicaも搭載しており、ドコモの端末ならおサイフケータイとして使えます。
P30は約6.1インチと一回り小さいディスプレイでトリプルカメラですが、望遠カメラの倍率がP30 Proより低くToFカメラも搭載していません。Felicaも未搭載です。
ですが、基本性能やカメラの画質はP30 Pro同等。総合的な性能ではフラッグシップモデルとなるP30 Proの方が上ですが、一回りコンパクトで扱いやすいこともあり、スマートフォンとしてのバランスはよいかと思います。
6.1インチですが2340×1080ピクセルとフルHDより少し横幅が長いOLEDディスプレイで、色域はDCI-P3に対応。非常にキレイです。
インカメラの分だけ小さな「ノッチ」はあります。
ノッチを避ける表示にする機能も付いてます。
が、なんといってもP30のウリはカメラですから、その話をメインに進めていきましょう。
トリプルカメラでなおかつ暗所に強い!
P30のカメラは、超広角・広角・望遠の三連体制。
順番に見ていきましょう。
カメラアプリはこんな感じ。AIをオンにするとAIが被写体を認識してくれます。今回は「歴史的建造物」とちゃんと認識しました。このAIが認識するパターンは非常に多く、正確性も高くなってます。
一番下の「1x」とあるところをタップすると、1x→3x→5x→広角と切り替わります。
広角カメラがメインカメラで約4000万画素。1/1.7型と大きなセンサーを持ち、レンズの明るさはF1.8。もっとも高性能なカメラがこれになります。
望遠カメラはメインカメラの3倍にあたる81mm相当で、明るさはF2.4。画素数は800万画素とちょっと少なめです。
デュアルカメラのスマートフォンの望遠カメラはメインカメラの2倍が普通ですから、3倍な分、少し望遠に有利です。P30 Proの5倍には劣りますが、通常の利用ではまず問題ないでしょう。
カメラアプリでは、タップすると、1x→3x→5x→広角と切り替わるようになってます。5x時はデジタルズームとなります。
さらにタップすると超広角カメラに。こちらは約1600万画素で16mm相当の超広角。レンズの明るさはF2.2です。
超広角カメラ時だけかなり空の色合いが違う(くっきりしている)のが気になりますが、超広角は風景用という感じのセッティングなのかもしれません。
5倍望遠時はデジタルズームの処理がかかるので、ディテールはちょっとのっぺりして塗ったような感じにはなりますが、けっこうキレイに撮れてます。
実は最高で30倍までデジタルズームできます。ためしにやってみたのがこちら。802mm相当です。
いやあ、画質はともかく、でもここまでデカく撮れるのはすごいですよねえ。被写体を中央に捉えるのが難しいレベルにはなるので非常用ですね。
※本文内の価格情報は2018年8月5日時点でのAmazon.co.jpの価格です。
老舗のデジタル系フリーライター兼カメラマン。パソコン雑誌のライターだったが、今はカメラやスマホが中心、ときどき猫写真家になる。「iPhoneカメラ講座」「這いつくばって猫に近づけ」など連載中。近著は「東京古道探訪」。歴史散歩ガイドもやってます。