さて、ニコンとキヤノンが新しいフルサイズミラーレス一眼を発売して約1年たちました。さあ、次の一手は何かな、となる頃ですよね。
そんなとき、いきなり登場したニコン Z50。2桁番台のZです。
基本デザインはZシリーズそのものですが、薄くて軽い。そしてフルサイズではなく、APS-Cサイズセンサーを搭載したエントリーモデルだったのです。
最初に軽く業界動向をまとめますね。
今トップをひた走るソニーは、もともとAPS-Cサイズ用で登場したEマウントにフルサイズセンサーを搭載したα7を投入。今は同じEマウントで、APS-Cサイズセンサーのα6xxxシリーズとフルサイズセンサーのα7/9シリーズの2本立てになっています。
一眼レフ時代のトップだったキヤノンは、APS-Cサイズセンサー用のEF-Mマウント(EOS MやKiss Mで使われている)があるところに、新たにフルサイズセンサー用のRFマウント(EOS Rシリーズ)を投入。フルサイズ中心で行くのかなと思いきや、2019年夏にEOS M6 Mark IIを出して、EF-Mマウント健在をアピール。
さて、一眼レフ時代にキヤノンと市場を二分していたニコンはどうするか。フルサイズセンサー対応の大きなZマウントのZ6/Z7を出しましたが(Z6は結構ヒットしているようです)、APS-Cサイズセンサーのミラーレス一眼は持っていなかったのです。
ニコンはどうするのか。
その答えがZ 50。大きなZマウントを採用したAPS-Cサイズのミラーレス一眼だったのでした。
今後、Z xxのように2桁のモデルはAPS-Cサイズに、Z xのように1桁のモデルは35mmフルサイズになりそうです。両面作戦ですね。
ボディに対するマウントの大きさがなかなか目立つのがひとつの特徴です。
Z50はAPS-Cサイズセンサーを搭載した最初のZシリーズ。見たところ、ターゲットは「エントリー層」です。軽くてコンパクトで扱いやすい、でも伝統的な本格派カメラのスタイルを楽しめるミラーレス一眼です。それで終わってもいいくらい。
同時に登場したレンズも沈胴式にし、薄くて軽いのにズーム、を実現しています。
確かに薄い。
実はZ50、薄くコンパクトにするためか、Z6/Z7で搭載されたボディ内手ブレ補正が入っていません。これが一番残念な点。
ただZ50と同時に発表された2本のズームレンズは手ブレ補正を搭載しているので、これらのレンズを使う限りは問題ないでしょう。
レンズはF3.5-6.3と望遠側が少々暗めですが、写りはしっかりしています。
撮影時はこんな感じに、手動でズームリングを回してレンズをせり出させます。
そういうと廉価モデルなんだなあと思ってしまいがちですが、使ってみるとまったくそれを感じさせないのがすごいところ。カメラとして譲れないところは絶対譲らない的な良さがあるのです。
操作性もZシリーズの基本を踏襲。前後に電子ダイヤル、グリップ部のボタンやマウント部の横にあるFn1と2はボタンを押しながらダイヤルを回すという伝統の構成。基本操作はいずれも握ったままできるようになっています。
背面は大きなタッチパネルのチルト式モニタ。
四角く囲ってあるところをタッチすると直接操作できますし、画面右にある拡大・縮小やDISPの各種ボタンもタッチパネルになっていますから直接画面をタッチして操作できます。
ただ2点だけ苦言。
ひとつはタッチパネルインタフェースのデザイン。これがちょっと古くさい。設定を変えてもOKしないと変更されないとか、値を変更するのに指をスライドさせるのではなくボタンをタップしなければならないなど、一昔前のデザインかと思います。
もうひとつはタッチパッドAFに未対応なこと。これもちょっと理解できません。ファインダー撮影時は十字キーで直接AF枠を動かして対処することになりそうです。
このファインダーが大きくて見やすいのは素晴らしいところ。このクラスではかなりハイレベルなEVFといっていいでしょう。ファインダーを覗いて撮っても背面モニタで撮ってもOKというところが本格派です。
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老舗のデジタル系フリーライター兼カメラマン。パソコン雑誌のライターだったが、今はカメラやスマホが中心、ときどき猫写真家になる。「iPhoneカメラ講座」「這いつくばって猫に近づけ」など連載中。近著は「東京古道探訪」。歴史散歩ガイドもやってます。