2019年春の新製品シリーズ第3弾はキヤノンのEOS RP。
これには正直驚きました。
いつかはフルサイズミラーレス一眼のエントリーモデルが出てくるだろう、とはみな思っていましたが、何しろ昨秋に第一弾を投入したばかり。
EOS Rはハイエンドでもなくエントリーでもなく、ちょっと中途半端なところがあり、第二弾はさすがに少し後になるかなと思ってたのですね。
それに対して、EOS RPは実に清く正しいエントリー機でした。EOS Rをシンプルにした設計で、フルサイズEOSの画質をキープしながら、なおかつKissのように親切というカメラだったのです。
EOS RPはフルサイズミラーレス界のハイコストパフォーマンス機だった
EOS RPはエントリークラスのフルサイズミラーレス一眼です。
レンズキットは35mm F1.8 macroのみ。大胆ですね(まあ小型軽量ズームレンズがまだラインナップされてない、ってのはありますが)。
ただ、このレンズはエントリー機用としては非常にすばらしいのです。
まず注目したいのが、35mm単焦点ながらF1.8という明るさである点。マクロでF1.8なんてなかなかありません。また、手ぶれ補正も搭載しているため、ハーフマクロ仕様でぐぐっと寄って撮ることができます。フルサイズならではの、大きなボケや明るくてふわっとしたテーブルフォトに最適なレンズといえます。
こういう写真が撮れたら、ああさすがフルサイズだ、って思いますよね。
では、試し撮りしてみましょう。
最初は充電。製品にはバッテリー充電器が付属します。
USB充電に対応してはいるのですが、EOS Rと同様「USB-PD」対応の電源が必要です。一般的なUSB電源(スマートフォンに付属するものなど)だと、電力が足りなくて充電できません。今はUSB-PD対応のモバイルバッテリーも出ていますから、持っておくと安心でしょう。(ただし、USB-PD規格はちょっと複雑なので、対応するすべてのバッテリーが使えるとは限りませんが。)
製品にはバッテリー充電器が付属します。
充電が終わったら、メディアを入れて(これは普通にSDXCカードでOK)撮影開始。
ボディは約485g。EOS Rより軽いのはもちろん、ソニーのα7 IIIやニコンのZ 6より軽量です。フルサイズのデジタル一眼としては最軽量なんじゃないかと思う次第。
その代わり、ボディの質感はちょっとチープ。仕方がないですね。
さらにボディがコンパクトなため、握ったときに小指が余っちゃうかもしれません。
なので、しっかりグリップしてぴしっと撮りたい人や太めのレンズ(24-105mm F4など)を付けたい人のために、別売りのエクステンショングリップも用意されています。下方向にボディをちょっと伸ばすもので、少し大きくなる分、大きめのレンズを付けたときのグリップの安定感はぐっと増します。
シャッターボタンはかなり前側に急斜面についていて、右手で握ったときに人差し指が自然にかかるようになっています。ファインダーを覗いて撮るときにしっくりくる位置なのが、キヤノンらしいところです。
ただ、シャッターを切ったときの感触はカッシャンという感じで、高級機にあるようなソリッド感や剛性感はありません。ちょっと頼りないところですが、シビアなタイミングやブレが致命的な過酷な撮影をしないなら問題ないでしょう(というか、そういうユーザーは対象じゃないですし)。
ファインダーは倍率が約0.70倍で、EOS Rの0.76倍よりちょっと劣ります。ファインダーのクオリティは上位機種との違いが出やすいところ。でも日常の撮影には問題ありません。
背面モニタはEOS伝統のバリアングル式でタッチパネル搭載。EOS Rの約210万ドットに対して、EOS RPは約104万ドットなのでちょっと寂しく感じるかも。
このようにひとつひとつのスペックを見ると、チープすぎるわけじゃないけどエントリーモデルだなあという感じは否めません。
だ、撮影性能や写りはエントリーレベルを超えています。その辺も見ていきましょう。エントリーレベルの親切さと上位レベルのクオリティの合体です。
※本文内の価格情報は2019年5月8日時点でのAmazon.co.jpの価格です。
老舗のデジタル系フリーライター兼カメラマン。パソコン雑誌のライターだったが、今はカメラやスマホが中心、ときどき猫写真家になる。「iPhoneカメラ講座」「這いつくばって猫に近づけ」など連載中。近著は「東京古道探訪」。歴史散歩ガイドもやってます。