最高のコンデジとは何でしょう?
簡単にいえば、小さくて高画質で何でも撮れるカメラです。この3つを同時に満たすカメラを作ることができるのか。少なくとも、今の技術でこの3つを最高レベルで満たすカメラを作ったらどうなるのか。
その答えがソニーのCyber-shot「DSC-RX100M6」です。RX100シリーズの6代目ですが、今までのRX100とは見た目以外はまったく異なる性能で、より多くの人にとって魅力的なカメラにリニューアルしました。
これが本当に魅力的なのです。おそろしいほどに。先ほどの3つの条件を中心に考えましょう。
小さくて高画質
RX100M6はRX100M5より重くなりましたが、たった2gなのでほぼ同じと思っていいでしょう。女子の手にすっぽり収まるサイズ。
ハイエンドコンデジはかなりコンパクトで上着のポケットなら入るレベルです。でも高画質です。
イメージセンサーはハイエンドコンデジの代表である1インチの裏面照射型CMOSセンサー。これより画質を上げようと思うと、ボディは遥かに大きくなるでしょう。
色もしっかり出ていますし、階調も豊かです。
小さくて高画質。これだけなら従来のRX100シリーズや他社のハイエンドコンデジと同じ。違うのは「何でも撮れる」ということ。
何でも撮れるとは
「何でも撮れる」とはどういうことでしょう。
広角で風景を撮り、望遠で遠くのものを大きく撮り、マクロで花を撮り、夜景を撮り、高速AF&高速連写で動くものも撮り、というように1台でどんな被写体でも撮れるということです。
RX100M6は24-200mm相当の高倍率ズーム。レンズの明るさもF2.8-4.5とかなり頑張りました。前モデルのRX100M5はレンズこそF1.8-2.8と明るいものの望遠側は70mm相当までですから、3倍近く望遠に強くなったのです。
比べて見るとこんな感じ。
スポーツや野鳥など望遠撮影がメインという人には物足りないところもありますが、日常的な撮影なら十二分の望遠性能です。
さらにマクロ。24mm相当の広角でレンズ前8cmまで寄れますが、実は50mm相当(つまりちょっとだけ望遠にする)でも約10cmまで近寄ることができ、こちらの方がより大きく撮ることができます。
そこでひまわりの花粉をとりにきたミツバチにぐっと寄って撮ってみました。
じっとしてないミツバチにしっかりピントが来ている点に注目。AFがめちゃ速くて追従してくれるので、こんな写真も撮れるわけです。
まあ実際には、ミツバチもひまわりも同じ黄色でミツバチはじっとしてないので、微妙にピントがずれたり被写体ブレしたりして没になった写真もいっぱいありますが、これをちゃんと撮れたのは立派。
200mm相当の望遠端だと最短撮影距離は1mです。
さらにAFです。315点像面位相差AFセンサーを駆使し、AFは超高速。一瞬でピントが合いますから歩いてくる猫でもOK。
さらに連写は秒24コマ。連写速度が速いだけなら他にもありますが、この速さでAF追従できて、さらに最大233枚も連続撮影できるのはRX100M6ならでは。
AF追従なのでこちらへ動いてくる被写体でもちゃんと追い続けてくれます。こんな感じ。
これでは何が何だか分からないので、遠くにいるときと近づいたときの2枚をどうぞ。望遠端で撮っています。
超高速連写が可能なのは、電子シャッターを使っているから。
CMOSイメージセンサーを電子シャッターで使うと高速に動く被写体が歪んで写る欠点があるのですが、RX100M6はアンチディストーションシャッターと銘打たれており、読み出し速度を高速化することで歪みを抑えています。これも素晴らしい点ですね。
またシャッタースピードは最高で1/2000秒ですが、電子シャッターだと1/32000秒まで速度を上げられますからどんな速いものでも止めて写せます。
何でも撮れるというからには夜でも撮れないとダメ。オートでもこれだけしっかり撮れますし、手持ち夜景モードを使えば連写+合成でよりノイズが少ない夜景写真も。
比較的暗い部屋にいたうちの猫。白い猫を白く撮るため絞り優先AEでプラスの補正をかけています。ISO5000まで感度が上がりましたがこのくらい撮れます。
このように、近くも遠くも広角も望遠も止まってるものも動いているものも昼でも夜でもいけますから「何でも撮れる」なわけです。
まあ、水には弱いのでそういう過酷な撮影は苦手ですが。
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老舗のデジタル系フリーライター兼カメラマン。パソコン雑誌のライターだったが、今はカメラやスマホが中心、ときどき猫写真家になる。「iPhoneカメラ講座」「這いつくばって猫に近づけ」など連載中。近著は「東京古道探訪」。歴史散歩ガイドもやってます。