何でも撮れるとは〜その2〜
もうひとつ、「何でも撮れる」というからには上からでも下からでも撮れないとダメ。RX100M6の背面モニタは上下に動くチルト式。上に持ち上げるとローアングルで。
なので、ちょっとしゃがむだけで地面すれすれのアングルで撮れます。
しかもタッチパネルでタッチAFが使えるため、被写体にしっかりフォーカスを合わせられます。今までのRX100シリーズはタッチパネルではなかったので、カメラが示したAFポイントが意図と違ったときに指定し直すのが面倒でした。それがワンタッチで済むのは非常にありがたい。大きく良くなった点です。
さらに180度回転しますから、自撮りもOKです。
このモニタは上下2つにヒンジがついていますから、ここまで開くことができます。
ローアングル撮影にも便利です。
モニタを下方向に90度まで傾けることもできますから、真上からの撮影も簡単に。
バリアングル式ではないので縦位置でのローアングルハイアングルには対応していませんが、ワンアクションでさっと角度を変えられるのは良い点です。
もうひとつ、この小さなボディにファインダーを内蔵しているのもスゴいところ。
晴天下など背面モニタが見づらいとき(メニューからモニタを屋外晴天モードに切り替えれば明るくなりますが)、あるいはちゃんと被写体や構図に集中して撮りたいときはファインダーの出番。老眼の人も視度補正が可能なファインダーは重宝します。
中に0.39型のOLEDを搭載したEVF(電子式ビューファインダー)で、表示倍率こそさほど高くありませんが非常に見やすく、このボディでこのクオリティを出せることに感心します。
側面のレバーを下げるとファインダーがポップアップする方式。電源と連動しており、ファインダーを出すと電源が入りますから、ファインダーで撮るときはレバーを押し下げてポップアップさせて覗くだけ。
ファインダーを押して引っ込めると電源も切れますが、こちらはオフにもできます(ファインダーを下げて背面モニタで撮りたいってときに電源が切れると困りますから)。
ファインダーでもチルト式モニタでも撮れる、というのも「何でも撮れる」のひとつと思っていいでしょう。
ハード的にはいうことなしだが操作性は改善の余地アリ
このようにコンデジとしては最高レベルというか、何はなくともこれ1台、というレベルの性能ですが、使い勝手にはいくらか癖があります。
ボディが小さくてフラットなので、非常にグリップしづらく、手がすべって落としちゃいそうな怖さがぬぐえません。
ソニーから純正の貼り付けるグリップが出ているのでそれは一緒に買うべきでしょう(本体に同梱すべきだと思います)。
ボディが小さいことで、搭載するバッテリーもやや小さめ。バッテリーの持ちはあまりよくありません。仕方がないことですが。
でもUSB給電が可能なので、モバイルバッテリーを持っていけばどこでも充電できますし、さらにUSB給電しながらの撮影も可能です。
USB充電対応カメラは非常に増えていますが、給電しながら撮影できる機種は稀。長めのケーブルを用意すればバッグにモバイルバッテリーを入れ、給電しながら撮れますから動画撮影時も安心です。これは素晴らしい。
ボディが小さいこともあり、操作は少々窮屈です。電子ダイヤルは背面のホイールとレンズ部のコントロールホイールの2つ。どちらもちょっと回しづらい位置なのが残念です。
おまかせオートで撮るのがメインなら、使うのはズームとシャッターとタッチパネル(AF指定時)くらいなので細かな操作性は問題になりませんが。
おまかせオートやシーンセレクション時に露出補正ができないのも不便な点かも。オートだと、露出補正をかけたくなることがしばしばありましたから。
次の写真は、オートだとバラのハイライト部が白く飛んでしまってて色がしっかり出なかったので、絞り優先AEにしてマイナスの補正をかけています。
シーンセレクションはいろんなシーンを強調して撮ってくれるので便利。
自分でセッティングして撮影したい人はキー操作やファンクションメニューのカスタマイズをして、PASMのモードを使うのが良いでしょう。
つまるところ、カメラとしてはめちゃくちゃ優秀だけど、操作性は、ソニーのデジカメは大抵そうなのですが、クセがあるということです。
でも、多少のクセはどうでもよくなるくらい、携帯性と汎用性が高く、1台持っておきたくなるのがRX100M6。RX100シリーズ最高傑作といっていいでしょう。
RX100M6はそんな最強にして最凶のカメラでした。
何が最凶かというと……値段。確かにこのボディにこの超高性能を詰めこむとこのくらいの価格になるのでしょうが、APS-Cサイズのミラーレス一眼α6500のレンズキットとほとんど変わりません。
・1インチセンサーで高画質
・24-200mmの高倍率ズームでほとんどの被写体はこれでOK
・超高速AFと超高速連写で決定的瞬間を逃さない
・お値段もかなりハイエンド
というところですね。でも欲しい。
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老舗のデジタル系フリーライター兼カメラマン。パソコン雑誌のライターだったが、今はカメラやスマホが中心、ときどき猫写真家になる。「iPhoneカメラ講座」「這いつくばって猫に近づけ」など連載中。近著は「東京古道探訪」。歴史散歩ガイドもやってます。