メニュー構成・セッティング
ここで紹介するセッティングは、私が試行錯誤して使いやすいと思ったセッティングだ。これが正解というわけではないが、参考までに紹介しておこう。
・露出
作品撮りの場合は基本的には全てマニュアルで撮影する(お手軽に撮りたい場合はシャッタースピード優先がいいかも)。
まずはシャッタースピードから。関東の場合フリッカーの問題で1/50か1/100で使うといいだろう。(関西の場合は1/60もしくは1/120)シャッタースピードを決めたら、絞りとISOを調整する。昼間にXF35mm F1.4で撮影した前ページの動画(・フィルムシュミレーション「ETERNA(エテルナ)」)は、ボケ感を出したかったため、F値をやや絞り、可変式NDフィルターをステップアップリングを使って装着し撮影した。
NDフィルターは動画を撮影する際には必要となる場面も多いので是非持っておきたい。径の広い可変式NDフィルターとレンズ径に合わせたステップアップリングを使うのがコスパが高くオススメ。
MARUMI
CREATION VARI ND 77mm
Kenko
ステップアップリングN 52-77mm
・動画モードメニュー
今回の検証動画は「4K(16:9)30P」「DCI4K(17:9)24p」いずれも200Mbpsで撮影した。前述した通り、4K撮影時は静止画と同じ処理をしているためノイズの乗りが少ない。フルHDで出力したい場合でも4K撮影後、ダウンコンバートすることでノイズの少ない美しい映像となるのでオススメ。
・フィルムシュミレーションメニュー
今回の検証では「ETERNA」をメインに使用したが、シーンに合わせて様々なフィルムシュミレーションが選べるのも魅力。特に「Velvia」「クラシッククローム」「PRO Neg.Std」はシーンに合わせて積極的に利用したいフィルムシュミレーションだ。
・ダイナミックレンジメニュー
コントラストの強いシーンで使いたいのがこのメニューだ。値を大きくするほど白飛びしにくくなる。基本的には100%で問題ないが、被写体に露出を合わせた際に他の部分が白飛びしてしまうようなシーンで200%や400%にするとよいだろう。ただし200%の場合は最低ISOが400、400%の場合は最低ISOが800となる点は注意しよう。
・フォーカス
AFが優秀(やや迷うシーンもあり)とはいえ、やはり思ったところに100%は合致はしない。またフォーカス送りも「AF速度」の変更である程度は対応できるが、これもやはり人間にはかなわない。
というわけで、フォーカスは基本的にマニュアルとAF-Cを併用した。「ワンプッシュAF時の動作」メニューで「AF-C」を選択することで、通常はマニュアルフォーカス、AFに切り替えたい場合は「AF-ON」ボタンを押すことでAF-Cに代わり、瞬時にフォーカスを合わせてくれるというわけだ。ただしこの場合「顔検出/瞳AF」が使えないのが残念。是非ここは使えるようにしていただきたい。
また、「MFアシスト(動画)」メニューで「フォーカスピーキング」を設定すれば、フォーカスがどこに合っているか分かりやすい。積極的に利用したい機能だ。ちなみにMF時にしか使えないのでワンプッシュAF時にも使えるようにしていただきたい。
ちなみに「フォーカスチェック(動画)」というメニューがあるが、これはフォーカスリングを回すと自動的に拡大表示される機能。精細なピント合わせが必要な時に便利ではあるが、一旦拡大表示されると手動で戻さなければならず一手間だ。また突如拡大され、被写体を見失いがちなので私は利用しなかった。
・録音
意外と驚いたのが録音品質。24bit/48KHzサンプリングのためなのか定かではないが、思った以上にクリアな音質だ。今回の検証では外部マイクは使わず、カメラ用のマイクロウインドジャマーを装着し撮影した。
Rycote
マイクロウインドジャマー
まとめ
前回の静止画編に続き今回の動画編でも、手ブレ補正のアルゴリズムやAFなどファームウェアアップデートで期待したい改善点もあるが「X-H1」は非常にクオリティの高いカメラだということがお分かりいただけたかと思う。
確かに4K/4:2:2/10bitや4k/60Pの撮影ができるカメラには劣る部分もあるが、「ETERNA(エテルナ)」で撮影した映像は4:2:0/8bitとは思えないほど美しい。他のカメラにない魅力それはロマンだ。私はロマンを求めてこのカメラへの乗り換えを本気で検討している。
最後にバッテリーの容量に不満があるという声をよく聞くが、私はあまり気にならなかった。半日程度の撮影ならバッテリー3本あれば十分。確かに他のカメラと比べればバッテリー持ちが良くないのかもしれないが、実用十分と感じたことは伝えておこう。
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トリセツ編集部 編集長。トリセツの広報としてプロモーション業務とメディア運営を手がける。また各方面でプロモーション、デザイン等の業務に携わっている。