富士フイルムのデジタル一眼「Xシリーズ」といえば、レンズファインダースタイルのX-Pro2と一眼レフスタイルのX-T2の「ダブルフラッグシップ」だと思いきや、その上が登場しました。
2018年3月発売の「X-H1」です。
見た目はX-T2を一回りゴツくした感じ。
X-T2の上位機種かと思いきや、触ってみると今までのXシリーズとは違うのがわかります。
X-T2にしろX-Pro2にしろ、「スナップ撮影」に向くカメラでした。人を撮ったり街を撮ったり風景を撮ったり。それらを富士フイルムならではの色や描写力で楽しむのに適しています。
特に人を撮ったときの色や階調は富士フイルムならではのものがありました。
でもX-H1は違います。もちろん画質は今までのXシリーズと同等ですが、Xシリーズがフォローしてこなかったジャンルへの挑戦をしたカメラなのです。それは何でしょう。
ひとつは「あらゆる環境下での難易度の高い撮影」への挑戦です。
もうひとつは「本格的な動画カメラ」への挑戦です。
ここでは前者について見ていきましょう。難易度の高い撮影というのは、悪天候下や足場が悪い場所でのネイチャーフォト、高速で走る野生動物の連続撮影、望遠レンズを用いたスポーツの撮影などです。
それには多少ゴツくてもしっかり握れるグリップ、風雨に強く、高速なAFと高速な連写、そしてどんな環境下でもしっかり撮れる強力な手ブレ補正を持つカメラが求められます。
X-H1はまさにそういう世界でも使えるカメラを目指したのです。
その分価格はあがり、本体は重くゴツくなりました。でも、しっかり構えてしっかり撮るという意味では非常にレベルアップしています。
過酷な撮影にも耐えられる新しいボディとシャッターとボディ内手ブレ補正はスゴい
ボディは各種構造を見直して頑丈になりました。厚みが25%アップし、防塵・防滴・耐低温とスペックアップしてます。
イメージセンサーは従来と同じ、APS-Cサイズで2430万画素の「X-Trans CMOS III」センサーです。X-Transというのは富士フイルム独自の画素配列を持っており、ディテール描写に優れてます。
そこにXシリーズでは初のボディ内手ブレ補正がつきました。しかも5軸手ブレ補正。ブレ補正はデジタル一眼業界最高とまではいきませんが、十分に働いてくれます。
レンズ内手ブレ補正を持たない単焦点レンズによいものが揃っている富士フイルムには願ってもない機構です。
もうひとつ、シャッターが新しくなりました。シャッターがすごく軽くなったのです。これは素晴らしい。
ミラーレス一眼といえども、シャッターを切るとシャッター幕が動いたときの振動が手に微細に伝わるものです。しかし、X-H1ではそれがほとんどありません。シャッター時の振動を吸収する構造になったからです。
そのため、軽くて振動がなくてシャッターが静か。
軽くて振動がないので、撮影時に手ブレしづらくなりますし、シャッタータイミングも逃しづらくなります。しかも音が静かなので、大きな音を立てられない場所での撮影も気遣わなくてすみます。
中にはシャッター音が大きなミラーレス一眼もありますから、これは大事。この新型シャッターとボディ内手ブレ補正のコンビネーションは非常に強力です。
おかげで、重さがレンズなしで約673gと一眼レフ並に重くなってますが、それは仕方が無いところでしょう。
AFは像面位相差AFエリアが横50%、縦75%あり、その範囲内なら非常に高速なAFが可能です。瞳AFも対応しており、顔を捉えるとそれに合わせたセッティングで撮ってくれます。
肌色が健康的な色で撮れるのがフィルム時代からの富士フイルムらしさです。
AF-C時の追従も早く、ズーミング中のAF-C性能も上がっているため動き回る被写体も捉えられます。
連写は電子シャッター使用時で最高秒14コマ。メカシャッター時は秒8コマとなります。
ISO感度は最高でISO12800(拡張モードでISO51200まで可能)です。
老舗のデジタル系フリーライター兼カメラマン。パソコン雑誌のライターだったが、今はカメラやスマホが中心、ときどき猫写真家になる。「iPhoneカメラ講座」「這いつくばって猫に近づけ」など連載中。近著は「東京古道探訪」。歴史散歩ガイドもやってます。