高画素機ながらAFはα7史上最速!
速さよりもクオリティを重視した高画素モデルがα7R III、なのですが、触ってびっくりしたのが「AFが超速い!」です。
α7シリーズでは初の「4Dフォーカス」対応も効いているのでしょう。
高画素なのに速いのです。
暗所じゃない限り、AFは一瞬。すごく快適です。
連写は最高秒10コマ。AF追従で10コマです。通常はこれでOKでしょう。
こちらは連写速度を落として連写していますが、こっちへ歩いてくる猫にもちゃんとフォーカスを合わせ続けてくれます。
速さを追求したα9ほどではありませんが、高画素機としては十分過ぎるほど実用的な速度といえましょう。
AFをワイドエリアに設定しておくと、カメラが自動的にフォーカスを合わせる被写体を決めてくれますが、カメラ側の意図と撮影者の意図がずれることがままあります。
今までのα7シリーズはそのとき、フォーカスエリアを指定し直すのがちょっと面倒でした。欠点だったといって過言ではないでしょう。
でもα7R IIIはタッチパネルに対応。ファインダーを覗いたまま親指でモニタを触るとそこがタッチパッドとして働くタッチパッドAFに対応したため、「そこじゃない!」と思ったら指でさっとAFポイントを指定できます。
こちらはタッチパッドAFを使って後ろの招き猫にフォーカスを合わせた例。階調の豊かさも前後のボケ具合もたまりません。
また、フレキシブルスポットAF(つまりAFポイントを自分で指定して撮影するモード)時はAF用のジョイスティックでAFポイントをダイレクトに動かせます。
個人的にはα7シリーズ一番の不満点が解消され、しかもAF速度はシリーズ最速、というのが一番のトピックかもしれません。
α7R IIIのファインダーは非常に大きくて見やすく、こちらをメインで使うことが多いと思いますから、ファインダーを覗いた状態でさっとAFエリアを動かせるのは非常に良いことです。
背面モニタはチルト式で、こちらを使って撮るときもタッチAFが使えるのは大変便利です。
さらに、ボディ内5軸手ブレ補正も搭載されています。ただ手ブレ補正の性能自体はトップクラスというわけではないので手ブレ補正に頼りすぎないように撮りたいところです。
高画素モデルだけあって画質には文句なし
AFや連写の速さの話からはじめてしまいましたが、高画素モデルだけあって画質はピカイチです。これは素晴らしい。
今回、16-35mm F2.8の超広角ズームと24-105mm F4の便利常用ズームの2本をお借りしたのでそれで撮った写真をそれぞれ。
まずは16-35mm F2.8から、16mmの広角端で撮ったものを。
歪みもなくディテールもシャープで見事な写りです。
続いて24-105mm F4の105mmで撮った写真を。
こちらは広角から中望遠まで実用的なレンジでF4通しという汎用のズームレンズ。まずズームレンズを1本、というのであればこれを買うべきでしょう。写りもシャープでぼけもきれいです。
こんな感じです。
今回、高画素をさらに生かす機能として「ピクセルシフト撮影」機能が付きました。
これは1回の撮影で「画素をずらしながら4枚」撮影し、合成することでより高解像度な写真を撮るという機能。画素をずらす(センサーを微妙に動かす)のにボディ内手ブレ補正の機構を使っている上に、微妙な位置合わせが重要になるのでレンズやセンサーを動かす手ブレ補正はオフになります。また撮影後の画像合成はパソコン上でしか行えない(RAWデータで4枚連写するのでそれを合成する)、かなり頑丈な三脚を使わないと微細なズレが生じる&被写体がかすかにでも動いてはダメなど制限があります。スタジオ撮影や建物内を撮るときなど専用と思っていいでしょう。
ISO感度は100から32000。ISO 40000からは拡張感度扱いになります。
高感度はどのくらい使えるのか。
まずは夕刻の稲荷神社。ISO2500です。等倍で見るとシャドウ部がちょっとざらついているなという程度です。
続いて夜の原宿駅をISO10000で。このくらいなら使えそうかも。
さらにぐっと感度を上げます。
うちの猫をISO51200まで上げて撮ってみました。
さすがに画質は落ちますが、拡張ISO感度でこれだけ撮れればOKでしょう。被写体によっては大丈夫かも。
シャッタースピードは最高で1/8000秒です。
α9は電子シャッターを使えばもっと上げられますが、α7R IIIは電子シャッターを使っても1/8000秒までです。また、電子シャッターにつきもののローリングシャッター歪みも、α9はぐっと抑えていますが(それがウリですし)、α7R IIIはけっこう出ます。
α9とα7R IIIの大きな違いは画素数と電子シャッターと思っていいでしょう。
老舗のデジタル系フリーライター兼カメラマン。パソコン雑誌のライターだったが、今はカメラやスマホが中心、ときどき猫写真家になる。「iPhoneカメラ講座」「這いつくばって猫に近づけ」など連載中。近著は「東京古道探訪」。歴史散歩ガイドもやってます。