【新連載】カメラのトリセツ〜基礎から理解するカメラ講座〜【第1回】

広角と望遠と焦点距離を理解する (2/2)

2017.08.27
トリセツ編集部/荻窪圭
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ズーム倍率とは

ズーム倍率とは

我々がカメラのスペックをみるとき、ズーム倍率をつい気にします。ズームレンズというのは焦点距離を変えられるレンズのこと。 逆に変えられないレンズは「単焦点レンズ」といいます。1倍ズーム、とはさすがにいいません。
一般にズーム倍率が大きい方が望遠に強いレンズ、と思われがちですが、大事なのは「倍率」という言葉。 何かを基準にして「2倍」「3倍」と表現するわけです。
先ほどの約3倍(正確には2.9倍ですが)レンズの場合、一番広角側である24mmを基準として3倍ズームといってるわけです。
今ここに70mmから200mmまでのズームレンズがあります。これは2.8倍のズームレンズです。 が、そもそもちょっと望遠である70mmを基準とした2.8倍ですから、先ほどの24-70mmの約3倍ズームより70-200mmの方が望遠に強いわけです。 もうひとつ例をあげれば、同じ10倍ズームでも、25mmから250mmの10倍ズームと50mmから500mmの10倍ズームでは全然違うということ。 ズームレンズを見るときは「何mmからの何倍か」をチェックしましょう。


レンズ仕様
レンズスペックの例。どのカメラ(レンズ)も焦点距離がこのように明記されています。


10倍ズームって実は何倍?

25mmから250mmのズームレンズの場合、250÷25は10ですから10倍ズームとなります。
では焦点距離が10倍になると実際の写りはどう変わるのでしょう?意外に見逃されがちなポイントです。簡単な三角関数で計算できますが、結果は単純なので答えをさっと書きます。

・焦点距離が10倍になると、撮影範囲(面積)は1/100になります。

・焦点距離が1/10になると撮影範囲(面積)は100倍広がります。

3倍ズームレンズの場合、広角側の端(広角端といいます)から望遠側の端(望遠端といいます)にズーミングすると、 撮影範囲の面積は1/9に狭くなります。逆に望遠端から広角端に戻すと、撮影範囲の面積は9倍に広がります。
焦点距離が2倍になると、写せる面積は1/4、3倍になると1/9、4倍になると1/16。つまり二乗してやればいいわけです。 検証してみましょう。25mmと250mmです。

25mm-250mmの広角側で撮影した写真
25mm-250mmの広角側で撮影した電車。
225mm-250mmの望遠側で撮影した写真
25mm-250mmの望遠側で撮影した電車。

ではほんとうに写ってる範囲は1/100になっているのか。次の絵をご覧下さい。
広角側の写真を縦横10分割(つまりひとますの面積は1/100になります)したひとますと、望遠端で撮った写真の大きさが一致してますよね。

説明図
  • 焦点距離が変わると、変わった数字の二乗分撮影範囲(面積)が変化する。

  • ・焦点距離が10倍になると、撮影範囲(面積)は1/100になります。
  • ・焦点距離が1/10になると撮影範囲(面積)は100倍広がります。

次回は「焦点距離」の話に欠かせない「35mmフィルム換算」について解説しましょう。

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荻窪圭
【デジカメライター 荻窪圭】

老舗のデジタル系フリーライター兼カメラマン。パソコン雑誌のライターだったが、今はカメラやスマホが中心、ときどき猫写真家になる。「iPhoneカメラ講座」「這いつくばって猫に近づけ」など連載中。近著は「東京古道探訪」。歴史散歩ガイドもやってます。
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