α9が他のカメラと違うのはその先。
新開発の「革新的なイメージセンサー」によって、電子シャッターの性能が飛躍的に上がったからです。
デジカメのシャッターには「メカシャッター」と「電子シャッター」がありますが、メカシャッターは物理的なシャッター機構でイメージセンサーに当たる光をコントロールするもの。メカなので高速化に限度がアリ、α9もメカシャッター時は最高で1/8000秒です。
対して「電子シャッター」はイメージセンサーのみで行うため高速化が可能で、α9では1/32000秒まで行けます。
ただ、電子シャッター時に高速な被写体を撮影すると歪んで写る特製があるため、今までのミラーレス機はメカシャッターがメインで、どうしてもというときだけ電子シャッターを使うのが普通でした。
α9は歪みをおさえた「アンチディストーションシャッター」により、電子シャッターをメインに使えるレベルに達しました。
これが画期的なことです。
次の2枚の写真を見て下さい。1枚目は他社のミラーレス一眼で電子シャッターで撮影した写真です。2枚羽根のモバイル扇風機を撮りました。羽根がぐにゃんと大きく曲がってます。2枚目はα9の電子シャッターで撮ったもの。羽根の歪みが僅かなのがわかります。
原理的にゼロにはできませんが、これなら日常的に使えるレベル。
1/32000秒のシャッターがあればこんな風に水を完全に止めて撮ることができるため、肉眼では捉えられない一瞬をつかめます。
公園の滝の様に流れる水のオブジェを1/32000秒で撮ってみました。
シャッター方式はC3ボタンを押すとさっと変更できます。
電子シャッターは物理的な挙動がありませんから、手ブレしづらい、連写速度を上げられるというメリットもあります。
このイメージセンサーは像面位相差AFセンサーを内蔵しており、超高速AFをサポートしてますから、AF追従で秒20コマの超高速連写を実現しました。
たとえばこちらに歩いてくる猫を撮るときもちゃんと顔にフォーカスを合わせ続けてくれます。
その上、連写時に像がブラックアウトしませんから、連写しながら動体を追いかけることも容易です。
α7シリーズにはなかったAF用ジョイスティックも便利。
AF枠をさっと動かせます。
今までスポーツ撮影などにミラーレス機は向かないといわれてましたが、α9なら大丈夫でしょう。
飛ぶ鳥を追いながら撮る、複雑な動きのスポーツを選手を追いながら撮ることもできます……ただし、撮影者の腕の問題がありますから誰でもというわけにはいきません。当たり前ですが。
今まで、風景やポートレートはミラーレス一眼でも十分きれいな写真を撮れるが、スポーツなど動体の撮影はハイエンドの一眼レフカメラでないと難しい、といわれてましたが、α9はそこに果敢に挑戦したのです。
もちろん35mmフルサイズセンサーのミラーレス一眼ですから、それ以外のシーンでも高画質できれいな写真を撮れます。
SONY
ソニー α9 ILCE-9
老舗のデジタル系フリーライター兼カメラマン。パソコン雑誌のライターだったが、今はカメラやスマホが中心、ときどき猫写真家になる。「iPhoneカメラ講座」「這いつくばって猫に近づけ」など連載中。近著は「東京古道探訪」。歴史散歩ガイドもやってます。