【レビュー】

富士フイルムのX-T4は2020年を代表する名機の予感

2020.05.31
トリセツ編集部/荻窪圭
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富士フイルムといえばフィルムシミュレーションモード

富士フイルムといえばフィルムシミュレーションモード。

スタンダード(プロビア)、ビビッド(ベルビア)、ソフト(アスティア)、そしてモノクロとシンプルな構成でした。

プロビアやベルビアは富士フイルムのフィルムの名前ですね。特にベルビアの鮮やかさは評判でした。

ビビッド(ベルビア)で撮った藤。よい色が出てます。
ビビッド(ベルビア)で撮った藤。よい色が出てます。zoom

それが新製品が出るにつれどんどん増え、とうとう10個を超えました。

今回の新作は「クラシックネガ」。ネガフィルムで撮った昔の写真の様な渋い色合いとコントラストを見せてくれます。

さすが、日本が誇る写真用フィルムメーカーだけあり、画作りがすごく細かいのです。

クラシックネガは、ちょっと昔風の街並みを撮り始めるとハマるので注意。

スタンダード(プロビア)モードで撮影した昭和な団地。周りは建て替えのため更地になり一棟だけが残っていました。
スタンダード(プロビア)モードで撮影した昭和な団地。
周りは建て替えのため更地になり一棟だけが残っていました。zoom
同じ団地をクラシックネガで撮ると、昭和らしさが3倍増しに!
同じ団地をクラシックネガで撮ると、昭和らしさが3倍増しに!zoom
畑とトラクターをクラシックネガで。2020年の世田谷区とは思えない風合いがでます。
畑とトラクターをクラシックネガで。2020年の世田谷区とは思えない風合いがでます。zoom

それのみならずJPEG時の画質をすごく細かく設定できるので、JPEGで撮って楽しいカメラになっています。

富士フイルム X-T4
ダイナミックレンジ、トーンカーブ、明瞭度などなど細かく画質を設定できます。

実はバッテリーが変わった点にも注目

X-T4を使って嬉しかったのは「バッテリーの持ちがすごくよくなってるじゃん」ということ。

Xシリーズはエントリー機からハイエンド機まで同じバッテリーを使っていたのです。これはこれで使い回しができてよいのですが、ハイエンド機はそれなりに電力を消費するので心許ないのですね。

以前、フラッグシップモデルX-H1のレビューをしたとき「このバッテリーの持ちはキツい」と思ったものです。私物としてX-T2を愛用してますが、外出先でバッテリーが切れ、モバイルバッテリーをつないだまま(USB充電ができるのはありがたかった)歩き回って凌いだこともありました。

でもX-T4は進化しました。

バッテリーが変更され、より大容量になったのです。これはありがたい。まあどのくらい撮るかは人それぞれですが、ムチャしない限り1日は持ちそうです。

さらに、USB PDに対応したようで、もうバッテリー充電器は不要、USB PD対応の電源を使えば本体内充電でOKです。

富士フイルム X-T4

購入直後、モバイルバッテリーをつないで充電しながらiPhoneとペアリングしているの図。ペアリングすると時刻や位置情報を同期してくれるのでするべし。

しかも給電しながらの撮影もできますから動画を撮る人には朗報でしょう。

と、ものすごく気に入っているカメラなのですが、ひとつだけ許せない点があります。

それが背面モニタ。

X-T2/3と上下チルトに加えて左右にもちょっとチルトする3方向チルト式という画期的な可動式モニタを採用していたシリーズながら、今回、動画ユーザーへの便宜を図るべく「バリアングル式」になってしまったのです。

富士フイルム X-T4
なんとバリアングルに!

世の中にはバリアングル式の方がよいという方が多いのは知っておりますが、同じシリーズの中で変更されると、3方向チルト式が気に入ってX-T2を買った人間としては非常に困ります。

ここでチルト式かバリアングル式か論争をするつもりはありませんが、個人的にはワンアクションでさっと開けるチルト式の方が遙かにメリットがあり、もうほんとにそこだけがつらいのです。

ブツブツ言いながらも使いますけどね。

フィルムシミュレーションはクラシックネガ。1/17秒で手持ち。50mm F2。
フィルムシミュレーションはクラシックネガ。1/17秒で手持ち。50mm F2。zoom

モニタを開いて腰の高さで夜の公衆電話。フィルムシミュレーションはクラシックネガ。いい感じに黒が締まって素晴らしい写りです。1/17秒で手持ち。50mm F2で。

などといいつつも、カメラとしての使い勝手の良さ、富士フイルムならではの画作り、見た目とは裏腹な快適なAFと連写、そして待望のボディ内手ブレ補正+長時間駆動可能なバッテリーとカメラをいじって撮影を楽しむ趣味の1台としても、仕事でも使える実用の1台としても非常に魅力的でつい買ってしまったのです。

見た目や操作感のレトロさと最先端のデジタルな中身が融合した希有な製品といっていいでしょう。


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荻窪圭
【デジカメライター 荻窪圭】

老舗のデジタル系フリーライター兼カメラマン。パソコン雑誌のライターだったが、今はカメラやスマホが中心、ときどき猫写真家になる。「iPhoneカメラ講座」「這いつくばって猫に近づけ」など連載中。近著は「東京古道探訪」。歴史散歩ガイドもやってます。
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