我々はボディ内手ブレ補正を待っていた
X-T4一番のトピックはなんといってもボディ内手ブレ補正。
富士フイルムはX-H1で初のボディ内手ブレ補正を実現しましたが、あのときは「手ブレ補正機構が大きいためコンパクトなX-Tシリーズに搭載するのは難しい」といわれました。
でも小型化に成功。しかもさらに補正性能が上がってるのです。
Xシリーズには手ブレ補正機構を持たないレンズが単焦点を中心にけっこうあるんです。ハイエンドズームの16-55mm F2.8も手ブレ補正を持っていません。
X-T4ならそういうレンズでも手ブレ補正が効きますから利用シーンはぐっと増えます。
ボディ内手ブレ補正の効きは、いろんな手ブレ補正搭載一眼を使ってきた感触からいうと、オリンパスのE-M1 Mark IIIにはちょっと及ばないけど、トップグループには入るという感じでしょうか。
シャッターが改良され、よりシャッターショックが少なくなったのもよい点です。気持ちよくシャッターを切れます。
というわけで、50mm F2を装着し、光芒をちょっと出すためにF8まで絞って手持ち撮影に挑戦してみました。クルマの通りがない深夜の真っ直ぐな道路です。0.6秒で……100%とはいきませんが、それなりにイケました。
50mm F2(手ブレ補正を持たないレンズ)を装着し、中望遠でシャッタースピード0.6秒です。なんと手持ち夜景。光芒をちょっと出すためにF8まで絞って撮りました。すごい。
もう1枚は団地の駐輪場に止まっていたバイクを。
こちらは1/10秒で夜の駐車場のバイク。ホワイトバランスを新しく搭載された「雰囲気優先AWB」にしているのでほんのり照明の色がかぶっています。
感度は最高でISO51200。ISO感度ダイヤルにはISO12800までしかありませんが、ISO感度ダイヤルを「C」ポジションにすると電子ダイヤルを使ってもっと上げられます。
シャッタースピードもメカシャッターは1/8000秒までですが、電子ダイヤルを併用することで1/32000秒(電子シャッターにした場合)まで上げられます。
メカダイヤルだけでは賄えない設定には電子ダイヤルで対応するというのがよい点ですね。
AFはより高速に。スティックやタッチAFで撮りたい被写体にさっと合わせればOKで、さらに、AF-C時にトラッキングAFを選ぶと、指定した被写体をきれいに追ってくれます。被写体追従性能はなかなかよいので動きものを撮るときに役立つでしょう。動物AFがないのは残念ですが、トラッキングさせればちゃんと顔を追ってくれました。
AF+連写の定番作例である、電車もいきましょう。
キットレンズは2019年9月に発売されたXF 16-80mm F4。広角から中望遠まで賄える上に開放絞り値がF4固定で被写体にもけっこう寄れるという、超便利なミドルクラスのレンズです。
広角時の周辺部の画質劣化は気になりますが、日常使いのレンズとしては申し分ないでしょう。
さらに富士フイルムのレンズで評判がいいのは数々の単焦点レンズ。小型軽量でシャープな写りを見せてくれます。先ほどの夜作例でも使った50mm F2がその代表です。
外出できなくても家の中で楽しめるお気軽中望遠としておすすめです。
※本文内の価格情報は編集部調べの参考価格です。
老舗のデジタル系フリーライター兼カメラマン。パソコン雑誌のライターだったが、今はカメラやスマホが中心、ときどき猫写真家になる。「iPhoneカメラ講座」「這いつくばって猫に近づけ」など連載中。近著は「東京古道探訪」。歴史散歩ガイドもやってます。