「手持ちハイレゾショット」機能が追加された
その上、「手持ちハイレゾショット」機能も追加されました。これは複数枚撮影して合成することでより解像度の高い写真を作る機能なのですが、これで夜景を撮るとめちゃキレイ。
複数枚を合成するためノイズも減るそうで、ISO感度を抑えてスローシャッターで撮る代わりに、ISO感度を上げてシャッタースピードを上げて手持ちハイレゾショットにする方がシャープに撮れることも(ただし、連写するためかなり長い間カメラを構えたままにしとかないとダメだけど)。5000万画素相当の画像を作ってくれますが、そこまで不要なときは2500万画素モードで撮ることもできます。そうするとディテールがよりしっかりした画像を作ってくれます。
欠点は「合成に10秒以上かかる」ことくらいでしょうか。
もうこのカメラは「深夜番長」といって過言ではないでしょう。
がっしりした三脚がないと撮れなかったシーンで手持ちでもOKとなると、荷物が格段に減りますし、夜景撮影装備をしていないときでもさっと撮れます。
もうひとつおもしろいのが「ライブND」機能。NDフィルタの効果を疑似的にデジタル処理で作るという、オリンパス得意の「連写+合成」技のひとつです。
ND32モードにすると5段分シャッタースピードを落とせます。
とりあえず、真っ昼間なのにこんな写真を撮れるのです。
真っ昼間なのにシャッタースピード1秒。まあ連写+合成なのでよーく見ると微妙に不自然なところはありますが、普通じゃ撮れない写真を本体だけで撮れちゃうわけです。
ボケを活かした写真を撮りたいときは明るい単焦点レンズの出番。フルサイズセンサー機ほど大きなボケは期待できませんが、コンパクトなレンズが揃っているので、もう1本を気軽に持ち出せます。

電子シャッターで対応できます。zoom
さらに進化した点として、「やっとUSB充電ができるようになった」のも挙げたいところ。「やっとこさ」感はありますが、高速充電が可能なUSB PDにも対応してるのはすばらしい点。
大きめのモバイルバッテリーを持っていけばいざというときも安心ですし、USB PD対応のモバイルバッテリーを使えば、給電しながら撮影もできるので長時間撮影(インターバル撮影とか、ライブコンポジットで1時間以上取り続けるとか、長時間の動画撮影とか)にも対応できます。
苛酷なシチュエーションにも単体で頑張ってくれる秀逸なミラーレス一眼
今回のE-M1 Mark III、イメージセンサーはE-M1 Mark IIと同じですし、見た目も変わりませんからマイナーチェンジのようではありますが、それでもちゃんと今の時代に合わせて進化してきました。
カメラとして見ると、マイクロフォーサーズなのでレンズを含めたシステムがコンパクトにおさまる、防塵防滴でしかも頑丈なので風雨にさらされるような苛酷な環境でも安心して使える、ボディ内手ブレ補正が超強力で手持ちでいろんなシーンに対応できるという、実用度の高さではピカイチのカメラです。わたしが気に入って使っているのもこの3点といって過言ではありません。
さらにSDカードスロットがデュアルでバックアップ記録をしておけば何かあったときも安心、USB充電ができるので予備バッテリーを忘れてもなんとか対応できるのも大変助かります。
そして電子シャッターを使った超高速連写+合成を使ったミラーレス一眼ならではの撮影機能(ライブコンポジット、ライブND、ハイレゾショットなど)が豊富でいろんなニーズにも応えてくれます。
つまり、E-M1 Mark IIIは日常的に持ち歩けるサイズや重さでありながら、平時でも非日常でも苛酷なシチュエーションでも、あらゆる環境でちゃんと仕事をしてくれるカメラなのです。実用性でいえばトップクラスといってよいのではないでしょうか。
※本文内の価格情報は編集部調べの参考価格です。
老舗のデジタル系フリーライター兼カメラマン。パソコン雑誌のライターだったが、今はカメラやスマホが中心、ときどき猫写真家になる。「iPhoneカメラ講座」「這いつくばって猫に近づけ」など連載中。近著は「東京古道探訪」。歴史散歩ガイドもやってます。