オリンパスといえばOM-DとPEN。OM-DとPENといえばマイクロフォーサーズ。
というわけで、久々に来ました、オリンパスのミラーレス一眼。いや、2019年初頭にはE-M1 Xというフラッグシップ機が出ていたんですが、あれ、高性能だけどデカくて高くて、まあ普通の人が楽しむカメラではなかったわけで、小さくて携帯性が高いというマイクロフォーサーズの良さはどこへいったーーと多くの人が思っていたわけです。
そしてオリンパス100周年の今年、やっとお手頃なカメラが出てきたわけです。それも2台同時に。
ひとつは、カメラ好きが趣味で使うのに最適なOM-D、E-M5 Mark III、もうひとつはカメラ慣れしてない初心者も気軽に楽しめるPEN E-PL10です。
今回はこの2台をまとめていきましょう。まずはE-M5 Mark IIIから。
E-M5 Mark IIIは4年ぶりに出た正統派OM-Dなのだった
初代OM-Dが2012年に出たE-M5でした。フィルムカメラの「OM」シリーズが「OM-4」で終わってたので、それを意識したネーミングですかと記者発表会で尋ねたら、お茶を濁された記憶があったりなかったりしますが、あOMシリーズはデジタルで再出発するぞ、という意気込みは感じられたわけです。
正直、これから新時代を築くぞってときにフィルム時代のデザインや名前を復活させるってのはいかがなものか、ミラーレスにはミラーレスにしかできない新しいデザインがあるんじゃないかと思ったわけですが、レビュー仕事で発売前の新製品を1週間ほど触って……気に入って、即予約しちゃいました。
見た目はレトロですが、中身はすごく使えるミラーレス一眼だったのですよ。しかも、フィルム時代の一眼レフって大きさがこんな感じだったのです。分厚い一眼レフよりずっと取り回しやすくて扱いやすい。
そのOM-Dシリーズのチャームポイントはなんといってもトンガリ頭。E-M1やE-M10といった他のシリーズより頭がトンガってて、往年のOM-1や2に似たデザインをしています。その三代目がこちら、E-M5 Mark III。画素数は2000万画素とハイエンドのE-M1 Mark IIと同じものに進化しています。
この三角頭の中にはファインダーが入っているわけです。
ファインダーを除いて撮るとしっくりするカメラです。
そのファインダーはミドルレンジクラスとしては大きくて見やすくて明るいのがよい点。
後ろからみるとこんな感じ。iAUTOモード時はちょっとカラフルで初心者向きの画面。
人を撮るときはもちろん瞳検出をしてポートレート用のセッティングで撮ってくれます。AFは高速で顔を見つけるとさっと合います。
夜は自動的に夜景のセッティングで。色鮮やか目にきれいな夜景を撮ってくれます。無理に暗部を持ち上げず、ライトアップ感がいい感じに出てますね。
ISO感度は最高でISO25600まで上げられますが、オート時はISO6400が上限になります。
AFをカメラ任せにすると不安な時は(時に、思わぬところにAF枠がきちゃうこともありますから)、AF枠のサイズを小さくして好きなところにもっていくといいでしょう。タッチパネルを使ったタッチパッドAF(AFターゲットパッド機能)も使えますし、十字キーで動かしてもOKです。タッチパッドAF時のレスポンスがもうちょっと早いと快適なんですけどね。
夜景だとシャッタースピードが遅くなりますが、ボディ内手ブレ補正は約5.5段、まあ要するに業界最高レベルの手ブレ補正と思ってOK。仕事がらいろんなカメラを使ってきましたが、手ブレ補正に関してはオリンパスのミドルクラス以上の5軸手ブレ補正が一番だと思います。
E-M5はiAUTOよりもマニュアル系のモードで自分で好みのセッティングをして撮る方が向いたカメラ。
ファインダーを覗いた状態で右手人差し指と親指でダイヤルを回して設定を変えられるのがよい点です。
2つダイヤルが並んでいて真上から見るとボタンが2つあるようですが、上にあるのがシャッターボタン。手前はダイヤルのみです。ダイヤルが3つ集中してるのですぐ指が動きます。
そして望遠でちょっと露出補正して紅葉を撮ってみました。このように背景が黒かったり空だったりするときは、ファインダーを覗いたまま露出補正をして赤がきれいに出る露出に合わせるべきでしょう。
交換レンズが豊富なのもよい点です。ハイエンドの大きくて太くて重いレンズよりは、ミドルクラスのコンパクトなものが似合います。
たとえば25mm F1.8はお手頃の標準単焦点レンズ。コンパクトで軽くて価格もお手軽です。
それで保護猫シェルターの猫を撮ってみました。明るくてほわっとさせるために絞り優先でF1.8にし、+2の露出補正をかけています。
夜の街を撮るときも、-1の補正をかけて黒をぎゅっと締めることで夜っぽさを強調できます。最近は明るい都会っぽい夜景が流行りですが、逆にぐっと渋く暗めに抑えるのもよいものです。
料理は少しプラスの補正をかけるのがコツ。パナソニックの10-25mm F1.7というハイエンドレンズをちょっと借りて焼肉。なんか昭和っぽいお店で肉を焼いてる感が出ていますよね。よいレンズは背景のボケ方がきれいなので、ひと味違った写真になります。
レンズをワンランク上のものにすると(高価で太くて重くなるのが難点ですが)、ディテールの描写力が全然違ってくるのが面白いもの。マイクロフォーサーズの神レンズといわれている12-100mm F4でぐぐっと寄って撮ってみました。
えっと、これは何かというと、枯葉にしかみえませんが、蛾の一種。たまたま出会って一緒に歩いてた昆虫マニアの友人がめざとく見つけたのを撮らせてもらったものです。「アケビコノハ」というそうな。
そうそう、E-M5 Mark IIIはシリーズ初の「USB充電」に対応しました。やっと対応してくれたという感じです。これは大事。
では続いて、PENシリーズのPL10の話へいきましょう。
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老舗のデジタル系フリーライター兼カメラマン。パソコン雑誌のライターだったが、今はカメラやスマホが中心、ときどき猫写真家になる。「iPhoneカメラ講座」「這いつくばって猫に近づけ」など連載中。近著は「東京古道探訪」。歴史散歩ガイドもやってます。