【レビュー】

Kamlanのマニュアルレンズでデジタルくさくない作品に挑戦

2019.11.03
トリセツ編集部/荻窪圭
Machang Optical KAMLAN 50mm F1.1 IIトップ画像


ミラーレス一眼にオールドレンズを装着して楽しむという趣味がポピュラーになった(いや、なってるのかは知らんけど)今日この頃。

ミラーレス一眼ならではの趣味ですよね。ミラーレス一眼は一眼レフと違って、どんなレンズをつけても絞り優先AEが使えるし、拡大表示やピーキング表示などマニュアルフォーカスを手伝ってくれる機能があるのでピントを追い込みやすい、マウントアダプターを介すればたいていのレンズは装着できるというメリットがあるからです。わたしもひょんなことからカール・ツアイス・イエナの1950年代に作られたレンズを持っていますが、写りが個性的でたまりません。

でも、マニュアルレンズのメリットを享受できるのは古いレンズだけではありません。実は、ミラーレス一眼ユーザーに向けた昔ながらのフルマニュアル撮影を楽しめる、シンプルなレンズがいくつも発売されているのです。

そのひとつがKamlan。今の時代にわざわざフルマニュアルなレンズを使うのはどうなのか。味わってみました。

50mm F1.1の大口径完全マニュアルレンズに挑戦

2019年初頭に一部で話題になった、50mmでF1.1という超明るいのに約25,000円というレンズがありました。作っているのはKamlan。中国の深センの会社です。

それがこれ。

Machang Optical KAMLAN 50mm F1.1 II
F1.1の刻印がまぶしいレンズです。手前が絞りリング、奥がフォーカスリング。
フォーカスリングの下にある4とか8とか16という文字で
そこまで絞ったときの被写界深度がだいたいわかるようになっています。

ちょっと重厚でカッコいいわけですが、イマドキのレンズと違うのは、絞りもフォーカスもマニュアル専用という潔いレンズである点。

それどころかレンズとカメラ本体で信号をやりとりする電子接点はまったくありません。

Machang Optical KAMLAN 50mm F1.1 II
マウント部は超シンプル。電子接点はまったくありません。

絞り値がどうなっているかも直接レンズを見ないとわからないし、絞りリングにも「クリック」はないのでいちいちレンズを目で見ないとわかりません。

その代わり、安くてシンプル。

普通、F1.1とか1.2という大口径レンズになると10万円オーバーは当たり前で前玉(一番先っちょについてるレンズ)も大きくて重いのが普通ですが、Kamlanのレンズは普通サイズ。普通というのも変ですが、この価格と手軽さでF1.1ですからたまりません。デザインも「鉄製」って感じの重厚感がよいですし。

APS-Cサイズセンサーのカメラにつけると35mm判換算で75mm相当のいい感じのポートレートレンズとして使えます。

絞り開放で撮るとほんとにピントが浅いので、左目に合わせたら右目はボケ、背景なんかもうぼけちゃってナニがなんだかという感じ。ここまでボケてくれると楽しいですな。

F1.1で撮影したポートレート。左目にしかピントが合ってないのがわかるかと思います。
F1.1で撮影したポートレート。
左目にしかピントが合ってないのがわかるかと思います。zoom

そんな超シンプルな完全マニュアルレンズですが、ミラーレス一眼用なら、絞り優先AEレンズとしても使えますから露出に関しては心配ありません。

フォーカスも拡大表示を使えば問題なく合わせられます。

今回使ったX-T2だとこんな感じ。

X-T2など富士フイルムのカメラは「2画面」表示にして、片方をマニュアルフォーカス用に拡大表示する機能があります。構図をチェックしながらフォーカスを合わせるというものですね。

Machang Optical KAMLAN 50mm F1.1 II
X-T2なら2画面表示で全体を確認しながらフォーカシングできます。

さらに、中央部を拡大して「デジタルスプリットイメージ」を使うという手もあります。わたしはこれが使いやすかったかな。

Machang Optical KAMLAN 50mm F1.1 II
スプリットイメージを使うとピントのズレがわかりやすくなるのでおすすめ。
上下が一致してればピントがあってるということで。
これは手前の犬に合わせて後ろがぼけた状態です。

実は一眼レフよりミラーレス一眼の方がマニュアルフォーカスに向いているのですね。

で、撮ってみました。比較的コンパクトなのにF1.1という大口径で低価格ですから、写りも原始的なオールドレンズと変わらないかなと思いきや、なかなかよく写っています。もうちょっと収差が強く出るかな、不自然なボケになるかなと思ったのですがなかなかいい具合です。

この手前の葉っぱを前ボケにして撮った夕日なんて、実によい色が出ています。

F1,1で撮った夕日。奥のビルと手前の木をシルエットで入れてみました。
F1,1で撮った夕日。奥のビルと手前の木をシルエットで入れてみました。zoom

あえて絞り開放で撮っていますが、ボケ感もなかなか。

近距離だとよりフォーカスがシビアになるので、ちょっと合わせきれていませんが、その分柔らかい感じになったからいいかな、と。
近距離だとよりフォーカスがシビアになるので、ちょっと合わせきれていませんが、
その分柔らかい感じになったからいいかな、と。zoom

こちらはモノクロですが、駅に向かって駆けていく人がいたので、それをアクセントにしてノーファインダーで撮りました。絞りをF8に、フォーカスを5mくらいにして距離は感覚でシャッターを切っています。マニュアルフォーカスならではの速写です。

絞り値とフォーカスを決め打ちしてタイミングだけで撮ってみました。マニュアルフォーカスならではの撮り方です。
絞り値とフォーカスを決め打ちしてタイミングだけで撮ってみました。
マニュアルフォーカスならではの撮り方です。zoom

画質を上げるにはF4くらいまで絞った方が、ディテールもシャープに出ますし四隅が暗くなることもないのですが、描写力や発色を求めるなら、イマドキのAFレンズを使えばいいのであって、せっかくのF1.1ですから不便さも一緒に楽しみたいところです。

ホワイトバランスは太陽光に固定し、時にはモノクロモードを使うのもよいかと思います。

Machang Optical KAMLAN 50mm F1.1 II

Machang Optical KAMLAN 50mm F1.1 II 参考価格:28,215円
※本文内の価格情報は2019年10月25日時点でのAmazon.co.jpの価格です。


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荻窪圭
【デジカメライター 荻窪圭】

老舗のデジタル系フリーライター兼カメラマン。パソコン雑誌のライターだったが、今はカメラやスマホが中心、ときどき猫写真家になる。「iPhoneカメラ講座」「這いつくばって猫に近づけ」など連載中。近著は「東京古道探訪」。歴史散歩ガイドもやってます。