いわゆる「白物家電」って盲点だったなあと思うのですよ。生活に密着した白物家電は、そこに求める機能ははっきりしているので、10年のスパンで(時には壊れない限り)使い続けるのが当たり前。やむをえず買い換える必要が出たときや引越しや結婚といった大きな生活の変化がない限りそのまま使うものです。
冷蔵庫は食品を冷やしたり凍らせて鮮度を保ったり劣化速度を下げるのが、炊飯器はごはんを炊くのが、洗濯機は衣類を洗濯するのが、掃除機はゴミや埃を吸い込んで部屋を掃除するのが仕事、とはっきりしているわけで、新製品が出たからといって目に見えて今までできなかったことができるようになるということはあまりありません。最近でこそ「家電ライター」と呼ばれる人たちが出てきて積極的に製品レビューを出していますが、基本的には買い換えのモチベーションが上がりづらい製品群といえるでしょう。
最近大きな進化を感じたのは調理器具関連くらい。
でも、正月に実家へ帰ったとき、びっくりしたのです。
それが掃除機。掃除機がコードレスの小型のものに置き換わっていたのですね。ちょっと使わせてもらって、びっくりしました。
ダイソンが日本にやってきて、日本の掃除機もそれに対抗して進化を遂げたとか、コードレス掃除機が近年急速にレベルアップしたという知識は持っていましたが、想像以上でした。いざ触らせてもらうと、ちゃんと吸引してくれるしバッテリーも持ちがいい。そしてなにより、めちゃ軽くて快適なのです。
頭ではわかっているつもりでも、いざ手にしてみないとわからないことってあるのですねえ。
というわけで、さっそく自宅に戻り、シャープイチオシのコードレス掃除機を使わせてもらうことにしたのです。
軽くて楽すぎる!
それはシャープのコードレススティック掃除機「RACTIVE Air」。実は20年ちょっと前、シャープのスティック掃除機を使ってましたが、あの頃は電源ケーブルが必要でした。
スティック型って収納が楽でいいのですが、電源ケーブルを本体に巻きつけた状態で収納するので、ケーブルがごちゃごちゃしがちですよね。しかもAC電源を使うものですからそれなりに重い。
面白いのでうちにある一番重い掃除機と一番軽い掃除機(クイックルワイパーを掃除機とは言いませんが、掃除でもっともよく使われているので)を並べてみました。右端のはダイソンのDC24。7年ちょっと前のダイソンはこんなでした。
その点、RACTIVE Airはめちゃ細くて軽い。標準質量がなんと1.5kg。装着するパイプやノズルによって重さは変わりますが、とりあえず片手でひょいです。
これは最軽量レベルのセットですが、高いところにもさっと持ち上がります。
何しろ本体はこれだけ。
まずは基本構成ってことで、ここにパイプ+ヘッド部を装着して試してみます。パイプが妙に軽いと思ったら、ドライカーボン製だそうです。よく見るとカーボンっぽい模様です。パイプが軽いので、持ち上げて動かしたり高いところを掃除したりするのも楽にできます。
スイッチは2つ。ひとつは「自動」。強弱を自動的に切り替えてくれます。「弱」はすごく静か。「強」はパワフルだけどちょっとうるさい感じ。「弱」ボタンを押せば弱モードで掃除してくれますので、静かにしたいときはそちらを。
そして床掃除をしてみると、めちゃ動きが軽いのです。
ヘッドが勝手に進む感じ。電動アシスト自転車に近い感じといったらよいかと思います。ヘッド内のブラシが回転する力をうまく使っているのですね。
ヘッド内の回転ブラシには「極細ループから拭きブラシ」なるものがついていて、細かな汚れも取ってくれます。
パイプの長さは固定式で、もうちょっと長いといいかなと思いましたが、うちの妻(身長150cm台)はちょうどよいと言います。わたしは約170cmなので身長差でしょう。もちろん使いやすい角度に倒して掃除するので実用上の問題はありません。身長153cmくらいの人が使うとこんな感じ。
驚いたのはバッテリーが着脱式なこと。てっきり本体内充電だと思っていたのです。
でも使ってみるとこれがいいのです。
本体に2つリチウムイオンのバッテリーがついてきます(EC-AR2SXの場合。EC-AR2Sはひとつ)。片方は常に充電器にセットしておくことで、常にひとつはフル充電状態となります。
これは一見あまりスマートではなさげですが、使ってみるとメリットが2つあります。
ひとつはバッテリー切れがないこと。本体内充電式だと充電し忘れなどで掃除中にバッテリーが切れたらそこで充電しなければなりません。掃除が充電で中断ってちょっと困りますから。また、本体内充電式より高速に充電してくれます。
もうひとつは置き場所。本体内充電ですとACコンセントの近くに掃除機を収納しておく必要がありますが、充電が別だと未使用時の置き場所を選びません。
めちゃ細かいことですが、本体にラバー製の「ちょいかけフック」がついており、ちょっとしたところに立てかけたときに安定してくれるのもよい点。細かいけど、けっこう便利。
本体内充電か充電器仕様か、好みもあるでしょうがシャープの方式はそれなりに実用的かなと思います。ただ、EC-AR2Sはバッテリーがひとつしかついてこないので、予備を買うのがオススメ。
老舗のデジタル系フリーライター兼カメラマン。パソコン雑誌のライターだったが、今はカメラやスマホが中心、ときどき猫写真家になる。「iPhoneカメラ講座」「這いつくばって猫に近づけ」など連載中。近著は「東京古道探訪」。歴史散歩ガイドもやってます。