SHIFTCAM 2.0を使えば撮影の幅がこんなに広がります
では実際に写りがどうなるのか撮ってみましょう。まずはメインカメラである広角カメラ側から。
さすがにレンズが小さいので周辺部が丸く歪んで(樽型収差といいます)、周辺部の画質が劣化しますが、これはこれで味があって悪くありません。
魚眼レンズは約180度の視界をぐるっと丸く撮るレンズ。こんな風に撮れます。
魚眼レンズはスクエアモードで撮ってからちょっとトリミングするといいかも。正方形の超広角レンズとして使えます。
マクロレンズにするとピントの合う範囲がぐっと狭くなるので思い切り寄らないとダメですが、ここまで近づいて撮れます。相手がミツバチなので撮影時にちょっとドキドキしましたが、iPhoneだけでここまでアップで撮れるのは感動的。
続いて望遠カメラ用のレンズに行きましょう。望遠カメラではより望遠になります。望遠レンズは2つついてますがこの2つは同じなので、好きな方を。
ただ、望遠側のカメラでSHIFTCAM 2.0のレンズを使うときは注意が必要です。iPhone標準のカメラアプリは「1x」をタップして「2x」にすると望遠カメラに切り替わるのが原則ですが、次の2つのケースでは「2x」にしても、広角カメラ側のデジタルズームが使われるからです。
ひとつは明るさが足りないとき。望遠カメラは広角側カメラに比べて諸々の事情で暗所に弱いため、カメラアプリが暗いと判断すると自動的に広角カメラのデジタルズームが使われるのです。それではSHIFTCAMの意味がありません。
もうひとつは被写体が近いとき。望遠側カメラは撮影最短距離が短いため、被写体が近いと自動的に広角カメラのデジタルズームに切り替わってしまうのです。
かならず望遠カメラを使わせるための方法はひとつ。サードパーティーの広角/望遠切り替え機能を持ったカメラアプリを使うこと。アプリで強制的に望遠カメラを設定します。特にマクロ撮影をしたいときは必須ですね。そうするとここまでぐぐっと寄れます。
トラベルキットにはストラップや自撮り用の広角レンズもついてきます
SHIFTCAM 2.0は「トラベルキット」が基本のセットになっていて、ケースとレンズユニット、さらにストラップとインカメラ用のレンズユニットがついてきます。
インカメラ用の広角レンズがついてくるのもポイント。
レンズユニットをはずしてインカメラ用と付け替えれば、インカメラが広角になります。iPhoneのインカメラは自撮りに使うにはもうちょっと広角であって欲しいと思うこともあるでしょうから、ちょうどよいでしょう。こちらも横にスライドすることで簡単に切り替えられます。
自撮りメインの人は、常時インカメラ用のレンズユニットを装着したいと思うでしょう。そのときに気をつけることはひとつ。レンズユニットをインカメラにつけた状態ですと、FaceID(つまり顔認証)が使えなくなります。顔認証時はカメラプラスインカメラの横にあるセンサーを利用して顔の凹凸などを測っているのですが、レンズユニットがそれを塞いでしまうからです。かといって、レンズユニットを横にスライドさせて解除すると、画面の隅がレンズユニットで隠れてしまうので、悩ましいところです。
また、この先、プロレンズも登場する予定です。レンズユニットを外し、代わりにプロレンズ(こちらのレンズはサイズが大きく値段も高価になりますが、クオリティがとても高いものです)を装着するわけです。システム化ができる設計になっているのですね。
複数のレンズを持ち歩いて自由に着脱するとなると、冒頭で書いたような「いざというとき手元にない」トラブルが発生しそうですが……。まあそこはなんというか、持って行くのを忘れるような性格の人は基本のトラベルキットを堪能しましょう、必要なレンズはしっかり持って行けるキッチリさんはいろんなレンズを着脱して撮影を楽しみましょう、ってことでよいのではないでしょうか。
そんなSHIFTCAM 2.0。iPhoneケースと思うと価格は少々高めですが、iPhoneケース+レンズ6つと思えばそうでもないかと思います。個人的にはずっとこのSHIFTCAM 2.0を使いっぱなしです。
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老舗のデジタル系フリーライター兼カメラマン。パソコン雑誌のライターだったが、今はカメラやスマホが中心、ときどき猫写真家になる。「iPhoneカメラ講座」「這いつくばって猫に近づけ」など連載中。近著は「東京古道探訪」。歴史散歩ガイドもやってます。