スマートフォンやデジカメで撮影した写真や動画、ダウンロードした音楽や映画やその他あれこれ(まあこれはストリーミングが主流になってきていますが)、自分で作った文書、その他もろもろ、デジタルデータはどんどん増えていきます。スマートフォンやパソコンの内蔵ストレージは容量が限られているので、いつか溢れてしまうのは確実。
そんなときにおすすめなのがNAS(ナス)です。ネットワーク・アタッチド・ストレージの略。家庭のLANにつながっている「データ保管専用コンピュータ」と思えばいいでしょう。ノートパソコンに直接外付けストレージをつなぐと、パソコンを持って移動したいときいちいち外すのが面倒ですし、パソコンの近くに置かなければならないなど不便。LANに接続したNASを使えば、家の中のどのパソコンやスマートフォンからでもデータにアクセスできますし、機種によっては屋外からアクセスすることもできます。NASだと難しそうなので「ホームサーバー」と呼ぶこともあります。
NASの使い方は大きく分けてふたとおり。
ひとつは「バックアップ用」。スマートフォンやパソコンのデータバックアップに最適です。1台のNASを複数の機器で使えますから、家族それぞれのパソコンのバックアップをひとつのNASで済ませられるのも便利な点。もうひとつは「データの保管用」。家族が共通で使いたいデータ(家族写真など)を保管しておけばそれぞれが自分のマシンから閲覧できます。写真や音楽や映像の保管場所としても最適です。写真をそこに置いておけば、パソコンからでもスマートフォンからでも家族のパソコンからでもアクセスできます。特に写真をたくさん撮る人、映像をたくさん撮る人にお勧めです。中には、写真専用のNASもあります。
最近は、ストレージのみならず、「クラウドサービス」のような多彩なサーバー機能を持つため「パーソナルクラウド」と呼ぶこともあります。
数あるNASの中から、個人向け家庭向けのものをいくつか紹介しましょう。ハードディスクがはじめから内蔵されているものと、されていないもの(その場合はハードディスクドライブを自分で購入して装着する)があるので注意してください。家にLANがない、と思っている人でも、ブロードバンドルーターを使ってインターネットにつないでいるなら、そのルーターにLAN端子がついているはず。Wi-Fiでインターネットにつながる環境ができているなら、Wi-FiもLANの一種(無線LAN)なので問題なくつなげられるでしょう。
Synology DiskStation DS218j
音楽も映像も写真も専用アプリで簡単に楽しめるしバックアップにも使える家庭向けサーバー
SynologyはNAS専業といっていい世界的なブランド。2台内蔵可能なHDDは別売りだが専用アプリが豊富でわかりやすい。スマートフォンにも対応する優れものだ。
※本文内の価格情報は2018年2月5日時点でのAmazon.co.jpの価格です。QNAP TS-228A
NASメーカーが送る家庭用サーバー。写真・音楽・映像に加え高度なバックアップ機能も
QNAPは台湾のNASメーカー。TS-228Aはホームエンターテイメント向けサーバーだが、機器間のファイル同期や、バックアップ、メディアサーバーなど幅広くサポート。HDDは別売り。
※本文内の価格情報は2018年2月20日時点でのAmazon.co.jpの価格です。バッファロー おもいでばこ PD-1000S
デジタルが苦手な人も簡単に使える写真・動画専用のホームサーバー。撮った写真はテレビで
SDカードスロット付の写真・動画専用のNASなのでとても簡単。テレビにつなぎスマホやデジカメの写真をリモコンを使って鑑賞できる他、パソコンやスマホからでも操作。
※本文内の価格情報は2018年2月5日時点でのAmazon.co.jpの価格です。アップル AirMac Time Capsule
HDD内蔵のWi-Fiルーター。Wi-Fiルーターを買えばNASがついてくる感じで便利
Wi-Fiルーターだが中にHDD内蔵でそのままNASとして使える他、外付けHDDのUSB接続もできて便利。アップル製品なのでiPhoneやMacとの相性は抜群。
※本文内の価格情報は2018年2月5日時点でのAppleストア(オンライン)の価格です。IODATA LAN DISK A HDL2-AA/E
HDD搭載済のお手頃価格で導入できるシンプルなNAS。パソコンデータのバックアップに
搭載HDDによって価格は変わるが、別途購入するよりはお得。バックアップやデータサーバーメインのベーシックなNASで地デジ録画対応のDTCP-IP機能の追加は有料。
※本文内の価格情報は2018年2月8日時点でのAmazon.co.jpの価格です。バッファロー LinkStation LS220DC
スマホからのアクセスもアプリで対応するHDD搭載済のベーシックなNAS。地デジ録画への対応も
基本的にはベーシックなNASだが、専用アプリを使って外からスマホでNASを操作したり、録画した地デジ番組をムーブできるDTCP-IPにも対応。HDDは搭載済。
※本文内の価格情報は2018年2月8日時点でのAmazon.co.jpの価格です。まとめ
どんなNASが必要かは人によってかなり違います。ある程度パソコンを使い慣れており、大容量のデータ(写真や映像など)を多く扱いたい、バックアップに使いたいなら、ドライブが別売りのSynologyやQNAPがいいでしょう。この2社は単なるNASというよりも、豊富な専用アプリで、多彩な使い方ができる、まさに「パーソナルクラウド」システム。今の時代に合った新しいNASとして注目です。
容量はそこまで不要で、バックアップなどベーシックな機能を手軽に使いたいなら、ハードディスク内蔵タイプも。HDDを2台内蔵したタイプを、よりデータを失いづらいRAID1で使うのがおすすめです。
写真や動画にしか使わないなら、「おもいでばこ」が簡単で、スマートフォンとの連携もしっかりしているので要注目といえましょう。
老舗のデジタル系フリーライター兼カメラマン。パソコン雑誌のライターだったが、今はカメラやスマホが中心、ときどき猫写真家になる。「iPhoneカメラ講座」「這いつくばって猫に近づけ」など連載中。近著は「東京古道探訪」。歴史散歩ガイドもやってます。