2019年春のデジカメ新製品シリーズもいきなり番外編。リコーのTHETA Z1です。一足先に使わせていただいたので、さっそくレビューです。
なにしろ、とうとう「ハイエンドシータ」が登場したのですよ。
リコーのTHETA(シータ)といえば、ワンショット全天球カメラを世に知らしめた名作。縦長のスティック型ボディの全天球カメラは何でもかんでも「シータ」と呼ばれちゃうくらい(スマートフォンを全部iPhoneと呼んじゃうくらい)、全天球カメラの代名詞になりました。何が画期的だったかというと、そのシンプルなボディとお手頃な価格。
ただ、趣味で遊ぶ分にはよいのですが、全天球画像を本格的に撮るにはいささかクオリティに難があったのです。このクラスでは一番高画質でしたが、あくまでも「このクラスでは」という条件付き。従来のTHETAが搭載するイメージセンサーは、普及型コンデジと同じ「1/2.3型」だったからです。これではどれだけ頑張ってもクオリティに限界があるわけです。
しかし、今回登場した「THETA Z1」はイメージセンサーを一新。なんと、ハイエンドコンデジと同じ「1型センサー」を搭載したのです。1から設計しなおした「ハイエンドシータ」。どの辺がハイエンドか、見ていきましょう。
なんと1型センサーを搭載するためにこんな大技が!
THETA Z1の一番の特徴は画質が上がったこと。それに尽きます。
THETA Vと比べて見ましょう。
左がTHETA Z1、右がTHETA V。イメージセンサーが1型に大きくなったことで(ぶっちゃけ、センサー面積は約4倍です)ボディもレンズも大きくなりました。
それでも、このサイズに収まっているのはすごいことです。
なぜ収まったのか。それはなんと、中で超アクロバティックな光学系が展開されているからですね。
THETAは前後に魚眼レンズを搭載し、それぞれが180度以上の角度の画像を撮影して内部で合成することで「360度全天球」の画像を作り出すのが特徴です。
そのとき、カメラの視覚を少しでも減らすにはボディを薄くする必要があります。でも魚眼レンズ搭載カメラを2つ背中合わせに入れなければなりませんから、薄くするにも限界が。そこで、イメージセンサーの場所をレンズの裏ではなく、脇に横向きにセットしました。プリズムを使って光を90度曲げるという「屈曲光学系」を使って、コンパクトなボディを実現していたのです。
THETA Z1はセンサーが大きくなりましたからそれでも厚みが出てしまいます。そこで、なんと、イメージセンサーをレンズの下に横向きで入れ、光を3回曲げるというアクロバティックなことをしてるのです。
そのこだわりやおそろしや。
発表会で内部構造の写真を撮影したので解説すると、こんな感じです。レンズに入った光はまずプリズムで左右に分けられ、さらにプリズムで下に反射させ、もうひとつプリズムを使って背中合わせになってるセンサーに当たるというわけです。
すごいことを考えるもんだなあと感心します。
さらに画質が上がったのみならず、使い勝手もよくなりました。
ひとつはモニタがついたこと。
今まではスマートフォン経由じゃないとTHETAの現在の状態がよくわからなかったのですが、モニタがついたことで、残り撮影可能枚数、バッテリー残量、撮影モードなどが一目瞭然になりました。
さらに側面のボタンも4つに増え、Fnキーが新設されました。デフォルトではセルフタイマーに割り当てられています。
いつでもボタンひとつでセルフタイマーにして撮れるというのは便利です。
※本文内の価格情報は2019年4月18日時点でのAmazon.co.jpの価格です。
老舗のデジタル系フリーライター兼カメラマン。パソコン雑誌のライターだったが、今はカメラやスマホが中心、ときどき猫写真家になる。「iPhoneカメラ講座」「這いつくばって猫に近づけ」など連載中。近著は「東京古道探訪」。歴史散歩ガイドもやってます。