【カメラメーカーのトリセツ】ニコン編

60年続く伝統のFマウントを誇る老舗中の老舗ニコン (2/2)

2019.02.17
トリセツ編集部/荻窪圭

シリーズ別の選び方

フルサイズ(FXフォーマット)一眼レフ

ニコンは一時期フルサイズ一眼レフに力を入れていたため、ラインナップは豊富です。もう後継機は出ないんじゃないかと思われるものもありますが、ラインナップにあるシリーズを整理すると5つ。簡単にチェックしてみましょう。


D5

D1、D2、D3と増えてきて、最新モデルはD5。伝統のニコンD1桁シリーズです。大きくて重めですが、頑丈でバッテリーの持ちもよくてAFも連写も高速。過酷な現場やスポーツ撮影向けのプロが使うカメラです。一般ユーザーは手を出さない方がいいでしょう(重たいですし)。

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ニコン D5(ニコン100周年記念モデル)

D8xx

D800からはじまり、今はD810とD850の2モデルがあります。画素数が他のモデルよりも多く、高画質な写真を求めるハイアマチュアやプロに人気です。特にD850はその完成度の高さから大ヒットモデルとなりました。

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Nikon D850 + AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8E ED VR。
これがあれば10年は戦えると言われたとか言われてないとか、という名機です。

D750

D7xxシリーズとしてもいいのですが、D700とはかなり趣向が違うので独立させました。高性能で軽量なミドルクラスのフルサイズデジタル一眼レフとして登場。非常によいカメラですが、2014年に発売されて以来、後継機が出ていないのが残念です。

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Nikon D750

D6xx

フルサイズのエントリーモデルです。現行モデルのD610は2013年発売なので後継機はもうないかと思われますが、低価格でフルサイズを楽しめるカメラでした。今購入するなら、D750か思い切ってD850にすべきでしょう。

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Nikon D610

Df

これはどのランクからも外れる、いわば「趣味道楽の一眼レフ」。動画機能はなく、シャッタースピードや露出補正、ISO感度の専用ダイヤルを持つ、マニュアル操作を楽しむカメラ好きのためのユニークな一眼レフです。画素数が少なくダイナミックレンジが広いのも特徴です。

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Nikon Df







APS-Cサイズ(DXフォーマット)一眼レフ


D500

D5の高性能をDXフォーマットに凝縮したモデル。D5よりコンパクトながら、同等の頑丈さや信頼性、高速性を持つハイエンドユーザーからプロ向けのモデルです。野鳥や航空機など望遠+高速AF+高速連写が欲しい被写体向けです。

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Nikon D500

D7xxx

DXフォーマットの主力シリーズで、現行モデルはD7500。本格的にカメラを始めたい人に最適のミドルクラスのモデルです。使い勝手、性能ともにバランスがよく、申し分ありません。

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Nikon D7500

D3xxxx/5xxxxシリーズ

ニコンのエントリー向け一眼レフ。D3xxxは2018年に出たばかりのD3500が最新。非常に軽くてコンパクトでかわいく、初心者向けのガイドモードを備えています。D5xxxはD5600が最新。バリアングルモニタを備えてますが、その小型軽量さや操作系はエントリー向けです。

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Nikon D5600







フルサイズミラーレス一眼

新たに登場したマウント径55mm(Fマウントが47mmだったのでぐっと大きくなりました)の新しいZマウント。

ニコンは既存ミラーレス一眼を持っていないので(Nikon 1のことは言わないでください)、非常にシンプルです。


Nikon Z 6/Z 7

Nikon Zシリーズは同じボディながら、イメージセンサーが異なる2つのラインナップがあります。高画素派はZ 7、高感度&連写派はZ 6というすみ分けです。価格差が大きく、Z 6の方が圧倒的にコストパフォーマンスが高いカメラといえましょう。はじめてのデジタル一眼ならZ 6がおすすめ。

今のところ、どちらも記録メディアがSDカードでもCFカードでもない、XQDカードを採用しているのは頭に入れておくべきでしょう。SDカードより高性能ですが、その分高価ですから。

Zマウントのレンズはまだ3本ですが、マウントアダプターを経由してFマウントのレンズを装着できるので当面はFマウントレンズのお世話になるでしょう。

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Nikon Z 7

まとめのポイント:完成度のD850か将来性のZ 7か

ニコンの一眼レフは昔からずーっとFマウントです。よいところは古いレンズでもなんでも使えること。中古レンズ市場の豊富さはたまりません。

逆にずっと同じマウント故にややこしいこともあります。特にレンズ。

単なる「AF Nikkor」はボディ内モーターでレンズのAF機構を駆動するので、AFが遅いですし、エントリー向けのモデルではAFが使えません(ボディ内にAF駆動用モーターを持たないため)。現行レンズでもいくつか残っているので注意が必要です。

「AF-S Nikkor」はレンズ内にAF駆動用モーターを持っているので高速AFが可能で、現在の主力レンズはたいていこれですが、「ライブビュー時のAF」は苦手で、ミラーレス一眼などに比べると遅めです。

「AF-P Nikkor」は最近エントリー向けから充実しはじめたシリーズで、ライブビュー撮影時のAFが格段に速くなってます。

さらに現行レンズでも、マニュアルフォーカスレンズがラインナップされています。とにかく古いものから新しいものまでレンズラインナップが広い分、選択の幅が広すぎて悩むことがあるかも。

さてカメラの話に戻ります。

もし今本格的に一眼レフを始めたいと思ったら、かなり高価ではありますが、D850でしょう。「これぞデジタル一眼レフの完成品ではないか」といわれるほど完成度が高く隙のないカメラで、使い勝手も画質もピカイチです。ヒットするのもわかります。

もっと手頃なものがいいというのであれば、APS-CサイズのD7500。手軽に写真を楽しみたいなら、小さくて可愛くて親切なD3500というところでしょうか。

ファインダーもいいけど、背面モニタを使ったライブビュー撮影をよく使う、というのであればいきなりZ 6を選ぶのがよいでしょう。背面モニタで撮影するときのAFの快適さは、Zシリーズが圧勝ですから。

今から本格的にデジタル一眼を楽しみたいという人は、将来を見越してZ 6がおすすめ。。一眼レフは、ハイアマチュアやプロの一部を除いて、徐々にミラーレス一眼に置き換わっていくでしょうから。


(写真:一部製品写真を除き、荻窪圭撮影)

※カメラの分類は編集部が独自の判断で行ったものです。



D5
D5
D850
D850
D750
D750
D610
D610
Df
Df
D500
D500
D7500
D7500
D5600
D5600
Z 7
Z 7



荻窪圭
【デジカメライター 荻窪圭】

老舗のデジタル系フリーライター兼カメラマン。パソコン雑誌のライターだったが、今はカメラやスマホが中心、ときどき猫写真家になる。「iPhoneカメラ講座」「這いつくばって猫に近づけ」など連載中。近著は「東京古道探訪」。歴史散歩ガイドもやってます。