USB PDが登場した
さて、USB充電はUSBの規格のままでは流せる電流に限界があるので、より急速に充電したいメーカーは独自の拡張を施しています。自社のUSB充電器経由だと多くの電流が流れたり、より高い電圧で充電したりする拡張も現れました。
より早く充電したい、より大きな電力を使う機器を動かしたい(ノートPCとか)、というニーズがどんどん膨らんできたのですね。
そこで登場したのがUSB PDという新しい標準規格です(最新バージョンは3.0)。PDは「パワーデリバリー」の略。
最新規格では
- USBのコネクタはUSB Type-C(USB-C)
- 電圧は5Vに加えて9V、15V、20Vをサポート
- 流せる電流は3Aか5A(5Aで充電するときは5A対応のケーブルが必要になります)。
と決まっています。
いろんなケースに対応しているのでややこしそうですが、普通のモバイル機器なら3Aで十分なので、5A対応ケーブルのことは気にしなくていいでしょう。
USB PD対応機器同士で互いにどのくらいの電力を供給できる、どのくらいの電力が欲しい、という信号のやりとりをして最適な電圧で電流を流せる仕組みになっているので、使う方としてはさほど気にしなくても大丈夫。iPhone XSの場合、詳しい仕様は公開されていませんが、USB電圧・電流測定器を使って測ってみましたら、USB PD電源に専用ケーブルで接続すると「9V」の電圧で充電されるようです。
USB-C端子を使うのもポイントです。
USB PD対応のモバイルバッテリーでは、モバイルバッテリーを充電するときも、他の機器に給電するときも同じ端子を使えます。
今までは、給電側が「USB Type A」(四角くて大きいヤツ)と決まってましたが、これからは全部「USB-C」に統一されるわけですね。USB-C端子は上下の区別もないので逆に挿そうとしてイラッとすることもありません。
USB PD対応の電源アダプタやモバイルバッテリーをよく見ると、何Vの何Aに対応しているか書いてあります。
今は、コネクタもUSB充電の規格も過渡期でいろんな種類があってややこしいことになってますが、いずれ端子は「USB-C」、電源の規格は「USB PD」となっていくでしょう。
AndroidではUSB PD対応のものが出てきていますし、アップルもMacBookやiPad Proで電源用端子をUSB-Cにしました。
今から買うならそれを睨んでおくのがよいかと思います。
充電時間がちょっとくらい長くても気にしないという人もいるでしょうが、モバイルバッテリー使用時の急速充電はできた方が皆うれしいはず。けっこうギリギリになって充電しなきゃってことも多いでしょうし。そういう意味では、まずモバイルバッテリーをUSB PD対応のものにするのがいいかも。
老舗のデジタル系フリーライター兼カメラマン。パソコン雑誌のライターだったが、今はカメラやスマホが中心、ときどき猫写真家になる。「iPhoneカメラ講座」「這いつくばって猫に近づけ」など連載中。近著は「東京古道探訪」。歴史散歩ガイドもやってます。