USB充電のトリセツ (1/2)

2019.07.21
トリセツ編集部/荻窪圭
USB充電のトリセツ
誰もが日常的に行うUSB充電。これはモバイルバッテリーからコンパクトデジカメ(2016年発売)に充電しているところ。

USBと聞くと充電用、と思う人がほとんどというくらいな昨今ですが(それは言い過ぎですけど)、みなさまも意識しようとしまいとUSB経由で充電することがあると思います。

そんなすっかりお馴染みとなったUSB充電。

昔々はそれぞれの機器が「ACアダプタ」を持っていて、それがまた互換性があったりなかったりで大変だったのですが、今やバッテリーで動く機器の多くがUSB充電でOKとなっています。そして、それはこれからもますます進む感じです。

スマホは当然のこと、デジカメもワイヤレスのイヤホンもスマートウォッチもUSB経由で充電していますし、スマートスピーカーなどUSB給電で動作するガジェットも当たり前のようにあります。USB出力のモバイルバッテリーひとつあれば、あるいはUSBの電源アダプタ(USB充電器ということが多いようですが)がひとつあれば、いろんな機器に充電できる、というのはとても便利です。いちいち専用の充電器を用意しなくても済みますから。

でも便利さ故に、よくわからずに使っている人も多いのではないかと思いまして、ちょっと整理してみようと思った次第です。





USB充電の基本の基本

USB充電というのは、USB端子とUSBケーブルを使った給電/充電の総称です。あ、一部にUSB端子じゃない独自端子を使う機器(iPhoneのLightning端子やスマートウォッチの充電用ケーブルなど)もありますが、電源供給側がUSBなので同じものとして扱います。

USBはもともと充電用ではなくて、パソコンと周辺機器をつなぐための規格でした。やがて、周辺機器を動かすための電力を供給する線を使って充電する機器が出てきます。

わかりやすいところですと、アップルのiPodですね。2004年のiPodとiPod miniはUSBでパソコンと接続すると、その間に充電もしてくれました。

やがて2007年に三洋電機が「エネループ モバイルブースター」というUSB充電用の充電池を発売します。これのおかげで今でも「モバブー」と呼ぶ人がいるそうです(わたしの周りにはいないのでもやもやしますが)。

そして2008年にiPhone 3Gが発売。携帯電話に比べてバッテリーがあまりにもたなかったために、モバイルブースターが巷で大ヒットしました。

USB充電のトリセツ
1日遊んだらバッテリーがヤバくなったのでエネループモバイルブースターで充電しているの図。
2008年秋に撮った写真です。当時はこの組み合わせがポピュラーでした。

当時、USBの規格で電源は「5V/500mA」と決まっていました。Vはボルト。電圧の単位です。Aはアンペア。電流の単位です。mAはミリアンペア。電圧×電流が電力(単位はW。ワット)。

でもiPodならともかくiPhoneレベルになると500mAでは足りなくなってきます。充電に非常に時間がかかります。

USBの規格はその後1.5A(1500mA)まで拡張されたのですが、もともとモバイル機器の充電用途は想定外でしたから現状に追いつかず、各社が少しでも充電時間を短くしようと、独自拡張をはじめました。

なぜ充電時間に差が出るの?

さて、充電するには電気を「送る側」と「受ける側」(これが充電したい機器になります)があります。

こんな感じで電気が供給されるわけですね。

USB充電のトリセツ
USB電源アダプタ(写真はiPadに付属したもの)、モバイルバッテリー、モバイル機器(写真はiPhone X)

電気は微妙なもので、電気を「受ける側」が「5V/2A」までイケるよ、といっても送る側が「5V/1A」の供給能力しかなければ充電に時間がかかります。「5V/1A」の速度でしか充電できません。

同じ「USB」のコネクタを使っていても、電源の供給能力や、受ける能力は機器によって違うのです。

それはどこを見ればわかるか。

たいてい、USB電源アダプタ(USB充電器)やモバイルバッテリーを見ると、老眼にはつらい超小さい文字でちゃんと書いてあります。

 iPhoneを充電する場合で考えてみましょう。

取り出したるはiPhoneに付属するUSB電源アダプタと、サードパーティ製のモバイルバッテリー。

iPhoneの充電器にはめちゃ読みにくくて小さい文字ですが、「Output」が「5V/1A」と書いてあります。

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iPhoneに付属するUSB電源アダプタ。めちゃ読みにくい大きさと色で書いてあります。

もうひとつはわたしが最近まで使っていたPower Plus 3 miniというモバイルバッテリーです。こちらは出力が「5V/2.1A」と書いてあります。約2倍ですね。

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2016年製のモバイルバッテリー。出力が「5V/2.1A」とあります。

ではiPhoneの付属電源アダプタでiPhone XSを充電してみましょう。

20%の状態から30分充電してみました。その結果がこちら。

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iPhone付属のUSB電源アダプタを使ったところ、30分で20%から42%になりました。

次は、5V/2.1Aのモバイルバッテリーで同じように20%の状態から30分充電してみました。

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5V/2.1A出力のモバイルバッテリーで充電したところ、30分で20%が57%まで増えました。

充電側によって充電速度が全然違うというのがわかったかと思います、というか、iPhoneのUSB充電器を新しくすべきですよねえ。

実は、iPhone自体は仕様を見ると「12W」まで対応しています。12Wということは「12/5」で2.4。つまり、5V/2.4Aでの充電まで対応しているので、それに近い電源を使った方が高速に充電できるのです。

ちなみに、iPadに付属するUSB電源アダプタはもうちょっと高性能ですから、iPadを持っている人はiPhoneもそれで充電した方が早く充電できます。

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こちらはiPadに付属するUSB電源アダプタ。
5.1V/2.1Aの出力です(なぜ5Vじゃなくて5.1Vなのかはわかりませんが)

つまり、電気を送る側と受ける側の関係が大事なのですね。

普段使っている機器の数値をチェックしてみるとよいでしょう。

たとえばここに2014年に発売されたモバイルバッテリーがあります。

これのInputに注目。

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2016年の製品ではInputが5V/2Aと能力が上がっています。

たとえば、モバイルバッテリーを充電するためのUSB電源(USB充電器)が「5V/2A」だったとしても、受ける側が「5V/1A」であれば、その速度でしか充電できないわけです。

古い製品で充電に時間がかかるのはそのせいかもしれません。

モバイルバッテリーも年々進化しているので、古いなと思ったら買い換え時期かも。なお、モバイルバッテリーに入っているリチウムイオン充電池は発火の危険があるので、不燃ゴミに出してはいけません。ちゃんとリサイクルに出すこと(家電量販店とか)。

ちなみに、電源を供給する側と受ける側の能力が違っていたらどうなるか。実はそれはとても危険なことなので、相手に応じて自動的に出力を調整する工夫が必要です。

たとえば、Qualcomm社が定めた急速充電規格で「QuickCharge」やcheeroの「Auto IC」、Ankerの「Power IQ」がそうです。Auto ICやPower IQはUSB充電器やモバイルバッテリーを手がけている会社ならではの、接続した機器に応じて流す電力を自動的に調節する機能です。こういう機能を持っていれば安心。

USB充電が必要なガジェットをたくさん持っている人は、このように複数の口を持ったUSB充電器を使っていることでしょう。一度にたくさん充電できて便利ですし。

うちはこれでiPhone、AppleWatch、iPad、Android機、モバイルバッテリーの5つを充電しています。

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6口のUSB電源アダプタ。複数の機器を使っている人はこういう製品が欠かせません。

これは合計で8Aまで(ひとつの口は最大2.4A)対応できる製品ですが、よく見ると、一番上のUSB端子は「Qualcom QuickCharge 3.0」と書いてあり、残りの5つは「Auto-IC」と書いてあります。それぞれが急速充電の規格に対応しているということです。

USB充電器やモバイルバッテリーを買うときはその辺がしっかりした製品を選びましょう。

Android機では各メーカーが独自の拡張で急速充電を可能にしていることもあります。そういうスマホを使っている人は、本体付属の充電器をメインで使うのが一番早いはずです。



荻窪圭
【デジカメライター 荻窪圭】

老舗のデジタル系フリーライター兼カメラマン。パソコン雑誌のライターだったが、今はカメラやスマホが中心、ときどき猫写真家になる。「iPhoneカメラ講座」「這いつくばって猫に近づけ」など連載中。近著は「東京古道探訪」。歴史散歩ガイドもやってます。