iPhone XS 256GB ゴールド。スリムであまりギラギラしてないゴールドなり
今年も新型iPhone買いました。iPhone XSの256GB。SIMフリーのゴールドモデルです。
Apple Store表参道の店頭受取にしたので発売初日に訪れたのですが、一時期のお祭り騒ぎはどこへやら、行列も短く平和になりました。オンライン予約で購入するのが当たり前になってきたからでしょう。iPhone 3G発売以来、数年間は徹夜で行列に並びましたが、あの頃は異常だったなあと思う次第です。(iPhone 3G発売時はかなり前方に並んでいたのでテレビ局の取材も受けました。使われたかどうかは分かりませんが)
いつからか、Web予約システムが安定して入手も容易になりました。自宅でSIMの入れ換えができる人は、配送にすれば店頭へ受取に行く必要もありません。発売初日に並ぶのは、並ぶのが好きな人か当日在庫狙い、もしくは転売狙いの人くらいでしょう。
で、購入するときに誰もが感じるのが「iPhoneって高いなあ」ということ。Androidのハイエンド機でも10〜12万円くらいですが(NTTドコモのXperia XZ2 PremiumやP20 Proが10万円超)、iPhoneはメイン機種であるiPhone XSの一番安いモデルで10万円を超えます。
iPhoneは高い?
実は数年前まで、iPhoneは日本ではとても安かったのです。iPhoneの発売から数年は「円高」の影響が大きかったのでしょう。アップルは為替に連動した値付けをします。大ヒットしたiPhone 4Sが発売された2011年には1ドル=80円くらいでしたから、iPhone 4Sの本体価格は、最上位の64GBで67,200円(ソフトバンクで本体を一括購入した場合)でした。スマートフォンの平均的な値段ですね。
iPhoneが高くなったのはここ数年のことです。2014年以降は1ドル=100〜120円くらいで推移していますから、どうしても日本での価格は上がります。それに加えて、iPhoneの米ドル価格自体上がっていますから、結果として、高級スマートフォンになってしまったというイメージですね。何しろ2018年のiPhone XSの本体価格は、最下位の64GBで136,800円(同じくソフトバンクで本体一括購入)ですから、同じ64GBモデルでも2倍以上になってるわけです。
やはりiPhoneは高級スマホなのか、となるわけですが、アップルストアでiPhoneのラインナップを見てみると、一番安いモデルはiPhone 7の32GBです。それですと税別で50,800円。128GBでも61,800円。かつてのiPhone 4Sより安いですね。
iPhone 7であれば、2年前のモデルですから最新モデルと比べるとひとつひとつの性能で差は付けられていますが、モバイルSuicaが使える最初の機種でもあり機能面で劣るところはありません。ですから、実用性重視でいくならiPhone 7という手もあるわけです。32GBではこころもとないので、iPhone 7の128GBあたり、狙い目かも……iPhone XSやXRの誘惑に負けなければ、ですが。
iPhone XSのカメラ機能は3つの点で進化
iPhone XSの外見は、ぱっと見ではiPhone Xと変わらないように見えますが、よく見ると細かい変化が結構あります。色はゴールドが追加されました。従来のゴールドより高級感のある落ち着いたゴールドです。
重さはiPhone Xより4g重くなりました。まったく気づきませんが。そして、カメラ部分がほんのちょっと大きくなりました。
基本的には、iPhone XSでもiPhone X用のケースを使うことができますが、ケースの種類によってはカメラ部分の大きさの違いでひっかかるかもしれません。
iPhone XとXSで一番違うのは「カメラ」。
iPhone XSもiPhone Xと同じ「広角カメラと望遠カメラ」を搭載しており、でどちらも光学式手ブレ補正付きですが、メインで使う広角カメラがさりげなく新しくなってます。
レンズは35mm換算で26mm……iPhone史上最広角。iPhone Xよりちょっと広角になってるんです。それでいて実焦点距離は4mmから4.25mmに伸びています。これはセンサーサイズが大きくなったことを意味しています。画素数は1200万と変わらずセンサーサイズが大きくなったので、その分高感度に強くなり階調も滑らかになりました。少なくとも広角カメラに関してはその辺のコンデジを超えています。
望遠側カメラは変わっていないようです。52mm相当の1200万画素です。
カメラ内部は大きく変わりました。ひとつは、スマートHDR。従来のHDR撮影機能が大幅に進化し、リアルタイムでHDR画像を作ってくれます。特に、夜景を撮ると違いが顕著に表れます。
比べてみましょう。高感度化と相まって、夜にぐっと強くなりました。逆光時の処理もよくなりました。
iPhoneで月を撮るのは難しいといわれますが、XSだとこんなに綺麗に撮ることができます。スマートHDRによってハイライト部がより粘るようになったからですね。iPhone Xだと月が明るすぎて、白く大きくなってしまいます。
もうひとつはポートレートモード。撮影後に背景ボケをF1.4からF16の範囲でコントロールできるようになりました。
これは常用できるクオリティです。背景のボケ具合も、本物の大口径レンズで撮ったように凝ったボケの形をしています。
この機能自体は珍しくもなんともないですが(サードパーティーアプリのFocosでできますし、デュアルカメラのAndroid機では既出の機能です)、ボケ具合が凝っているのがアップルらしいところ。
インカメラでもスマートHDRやポートレートモードが使えます。自撮りのクオリティはぐんと上がっています。自撮り好きにはうれしいポイントですね。
防水や顔認証の速度も上がっています
カメラ以外のところも見ておきましょう。
モニタは5.8インチの縦長のOLEDモニタ(有機ELモニタ)でiPhone Xと同じ。2436×1125ピクセルです。OLEDは「液晶ではない」ので、XSは液晶がきれい、なんて言わないように注意したいものです。
とにかく鮮やかできれいなので、写真が直接張り付いてるんじゃないかと思うほどです。また明るい屋外では、液晶とはコントラストがかなり違います。一度外で使うともう液晶には戻れません。
画面上部にある切り欠き(ノッチといいます)には、インカメラのほかに、通話用スピーカー、赤外線カメラ、ドットプロジェクターが並んでいます。ドットプロジェクターから赤外線を放射し、その反射を赤外線カメラで受けることで「顔の凹凸」を見ています。これは顔認証(FaceID)や、インカメラのポートレートモードで利用します。顔を立体的に捉えることができるので、FaceIDは優秀なのですね。ロックを解除するときには、カメラの辺りを見るだけですっと認証されます。iPhone Xに比べると認証の精度も高くなっており、より早く確実になりました。これはありがたい。
ノッチには通話用スピーカーの両側に、インカメラ、IRカメラ(赤外線カメラ)、ドットプロジェクター(顔の凹凸を見るために照射する)などが並んでます。赤く光っているのは赤外線です。目には見えませんが、カメラには映りました。
ホームボタンはありませんが、それについては「iPhoneのトリセツ(第3回)」を見てください。個人的には、ホームボタンにはもう戻れません。今回の新製品(XS/XR/XS Max)はどれもホームボタンがないモデル。この先ホームボタンが復活することはないでしょう。
見えないところでは防水機能が強化。iPhone XはIP67等級でしたがIP68等級に。公式には水深1mで最大30分間だったのが水深2mで最大30分間に進化してます。
さらに、もうひとつ違いがあります。それはエクスプレスカード。分かりやすく言うと「モバイルSuica」のこと。今までは、iPhoneのバッテリーがゼロになるとSuicaも使えなくなっていました。そのため、改札内でバッテリーが切れると改札を通れないという問題があったのですが、今年のモデルはモバイルSuica用の予備電力を持っているのでちょっと安心です。
もちろん内部も進化してます。ニューラルエンジンはA12 Bionic。従来より性能を上げつつ、消費電力を落としています。その性能強化は主にカメラや顔認証のレベルアップで体感できます。
その他のポイント
・防水が強化された
・バッテリーがなくなってもモバイルSuicaが使える
・顔認証がより早く快適に
iPhone XSはiPhone Xと見た目はほぼ同じですが、中身はブラッシュアップされてかなりよくなっています。動作も軽快ですし、FaceIDもより早く正確に反応するようになりました。カメラの起動も早くなり、画質も上がっています。
一見すると、大きな進化があったようには見えませんし、iPhoneでできること自体はたいして変わっていません。iPhoneはiPhoneです。ただ、使用感は上がっていますから、使っているとじわじわと「新型に買い換えた感」を実感することができます。
じわじわと。
※本文内の価格情報は2018年9月27日時点でのApple.comの価格です。
老舗のデジタル系フリーライター兼カメラマン。パソコン雑誌のライターだったが、今はカメラやスマホが中心、ときどき猫写真家になる。「iPhoneカメラ講座」「這いつくばって猫に近づけ」など連載中。近著は「東京古道探訪」。歴史散歩ガイドもやってます。