AK4500の基本性能
実際の撮影を想定したジンバルの操作方法を紹介しよう。選択できるモードが多いので、使いこなすことができれば、撮影シーンに応じた最適なセッティングで撮影に臨めるはずだ。
1:ジンバルの要!モーターセッティング
ジンバルの操作はカメラノバランスが保てている状態で、モーターのパワーバランスが最適化されていることが重要だ。パワーが弱いとユラユラした動きになり、逆に強すぎると微振動が発生して動きがカタくなる。このモーターパワーバランスを調整して切り替えるのが、ペイロードセッティングだ。
ペイロードモードは3種類
1:プリセット
2:オート
3:カスタム
基本的にはジンバルが搭載したカメラとレンズの大きさや重さを計測し、自動で最適化してくれるオートを選んでおけば問題ないだろう。ちなみにオートは、カメラを搭載した状態で電源を入れるだけで、瞬時に最適化してくれる優れもの。
補正効果検証
プリセット、オート、カスタムの3つの撮影モードとカメラのボディ内手振れ補正ON/OFFを組み合わせて、6パターンの検証をしてみた。結果的にカメラのボディ手振れ補正ON×オートモードが最も安定した映像が撮影できた。
2:Wi-Fi接続でカメラの設定をコントロール
カメラとWi-Fi接続することで、ジンバル側からISO感度、露出、色温度の設定とRECスタート/ストップが可能となる。基本的な設定項目のみとはなるが、手元のジンバルから設定できれば撮影効率も上がるだろう。
3:フォローフォーカス
撮影中のフォーカスコントロールをジンバルで制御してくれるのが「フォローフォーカス」だ。「スタンダードキット」にはコレが付属しており、ジンバルのホイールを回すことでフォーカスをコントロールできる。
4:各種撮影モード
ここまでは撮影準備のセッティング部分に関して説明してきた。ここからは実際の撮影シーンで利用するモードについて説明しよう。モード変更はタッチパネルから撮影シーンに応じた最適なモードを選択することになる。
それでは実際に各モードがどのような動きをし、どんな映像が撮影できるのかを見ていこう。
パンフォローモード
パンフォローモードではその名の通りパンの動きだけフォローし、チルトはロックされる。横の動きを追うのに適しているので、歩いてくる人をスーッと追ったり広大な風景をパノラマ的に撮影するのに向いているだろう。私が最も多用するモードでもある。
ロックモード
パンもチルトもロックするロックモードではカメラは常に一定方向を向き続ける。擬似的なスライダーショットや前ボケを利用した遠景撮影をするのようなシーンで利用すると便利だろう。
フォローモード
パンもチルトもフォローするフォローモードでは上下左右の動きに対応できる。例えば被写体の足元からチルトし顔にフォーカスするだけでも、ぐっと印象的になるだろう。
オールフォローモード
オールフォローモードはパンとチルトに加え、ロールまでフォローする。フォローモードよりもさらに自由度が高く印象的な撮影ができるだろう。
インセプションモード
インセプションモードはヨー軸が360°回転するモードとなる。多用することはないが飛び道具的に使うことで印象的な映像制作が可能となる。
ポートレートモード
ポートレートモードではカメラを縦位置にして撮影することが可能となる。スマホで撮影したかのような縦映像となるため、SNS向けの映像制作に適しているだろう。
5:シューティングモード
撮影モードの他に、ジンバルのスピードや滑らかさを設定するシューティングモードも重要な項目だ。
シューティングモードは4種類
1:デフォルトモード / 基本となるモード
2:スムースモード / ジンバルの動きが滑らかになり、ゆったりと流れるような撮影ができるモード
3:アクションモード / ジンバルの動きがクイックになり動きの速い動物やスポーツに適したモード
4:カスタムモード / スピードや滑らかさを自由に設定できるモード
AK4500の課題
1:説明書が不足しており慣れに時間がかかる
オプションパーツが豊富で多機能であるのがこの製品のメリットだが、それゆえに覚えることや操作の慣れも必要となってくる。メーカーのWEBページに取扱説明書はあるものの操作に悩む点も多く、メニューの深い階層等は説明不足な面も目立つ。
2:USB接続でカメラ側の設定を変更できるが…
カメラとジンバルをUSB接続してカメラコントロールすることも可能だが、残念ながらPanasonic製のカメラは非対応だった。レビュー時に対応していたメーカーはCanonとSONY。ファームウェアのアップデートで改善に期待したい。
ちなみにオプションパーツのレリーズケーブルを使うことで、Panasonic製のカメラもRECのスタート/ストップは可能となっている。
3:Wi-Fi接続でのカメラ設定操作が今一歩
前述した通り、ジンバルとカメラをWi-Fi接続してカメラ側の設定を変更できる。
しかし変更できる項目は露出、ISO、色温度のみとなっている。最も多用するであろう絞りとシャッタースピードに対応していないのは残念だ。コレもファームのアップデートで改善されることを期待したい。
まとめ
ミラーレス機やレフ機の電動ジンバルとして基本性能を押さえながら、豊富なオプションパーツで多彩な撮影モードを展開するAK4500は完成度の高いジンバルといえる。確かに今一歩な点もあるが、ファームのアップデートに期待しつつ、技術や工夫でもリカバリー可能だろう。
やや大きめのサイズ感ではあるが、ハイパワーかつ多機能、価格帯もマズマズ。動画のクオリティをワンランク上げたいと思っている方にオススメできるジンバルとなっている。
※本文内の価格情報は2019年11月27日時点でのAmazon.co.jpの価格です。
トリセツ編集部 編集長。トリセツの広報としてプロモーション業務とメディア運営を手がける。また各方面でプロモーション、デザイン等の業務に携わっている。