Windowsマシンならではのメリットとデメリット
先ほども触れてきましたが、本機ではSteamなど有名ゲーム配信プラットフォームに加えて、様々なPCゲームプラットフォームを追加してゲームを遊ぶことができます。『Steam Deck』でも似たようなことはできるといえばできるのですが、実際にセットアップを行うにはハードに関するかなり高いリテラシーが要求されます。
また、『Steam Deck』ではクラウドサービスの「Xbox Cloud Gaming (ベータ版)」しか利用できませんでしたが、『ASUS ROG Ally』では、ネイティブのアプリをそのままインストールして遊ぶことができるのも大きな違いです。
しかしながら、いいことばかりではないところも、こうしたマシンにはありがちなポイントです。基本はWindowsマシンということからくる煩わしさも、本機ではそのまま引き継がれています。たとえば、初回起動時にはアップデートを行うのですが、とにかく驚いたのはWindows Updateの多さです。また、ゲームを多数インストールしていくとデスクトップにショートカットが増えていくのですが、このあたりもいかにもWindowsマシンといった感じがします。
もうひとつ弱点ともいえるのが、入力関連です。Windowsマシンでありながらマウスやキーボードは付属しておらず、コントローラーとバーチャルキーボードで入力を行っていく必要があり、これが結構ストレスが溜まるポイントになっています。
しかしながら解決作もあり、サードパーティのDOCKなどを利用することでキーボードやマウスが使えるようになるほか、HDMIで映像を出力することもできます。こうした柔軟性の高さも、Windowsがベースのマシンだからこそといえるでしょう。
ちなみに現時点ではまだ発売されていませんが、公式でも『ROG Gaming Charger Dock』が発売される予定です。こちらを利用することでマウスやキーボードが接続できるほか、HDMI出力で外部ディスプレイも利用することができるようになります。
また拡張性という点では、若干コストパフォーマンスは悪くなってしまうものの、外付けのグラフィックボードである『ROG XG Mobile』も利用することができます。こうした様々なオプションが選べるところも、『ASUS ROG Ally』の魅力です。
というわけでダラダラとハード面に注目してレビューをお届けしてきましたが、もちろん最新のPCゲームもある程度快適にあそべるというところが本機の最大の魅力です。コンシューマーゲーム機とは異なり、PCゲームは遊ぶ側の環境が千差万別です。その分、ユーザーがゲーム内の設定はハードウェア側の設定を工夫して快適に遊べる環境作りをしていく必要がありますが、そうしたことに慣れているユーザーならばすぐに馴染むことができるでしょう。
また、このゲーム機をきっかけに、PCゲームの世界に脚を踏み込んでみるというのもいいかもしれません。いずれにしても、ゲーマーとしては注目のハードであることは間違いないので、少しでも興味を持ったならば大型家電などで展示さている実物を触って見て、その素晴らしさを体験してみることをおすすめします。
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コンピュータホビー雑誌「ログイン」の編集者やドワンゴでモバイルサイトの企画・運営等を経て、2014年よりフリーで活動中。XRやPCなどのIT系やゲームをメインに、年間120本以上の取材をこなしています。