ご家族の熱中症対策に!
記事提供:三菱電機(三菱ルームエアコン 霧ヶ峰)
今年の夏も暑くなることが予想され※1、熱中症に気をつけたい季節になりました。熱中症は太陽の照りつける屋外だけでなく、室内でも多く発生しています。
熱中症対策の1つとしてエアコンの使用がすすめられていますが、様々な理由からエアコンをつけない高齢者が多いのも事実です。
調査※2によると、「夏に積極的にエアコンを使用していない高齢者が13.0%」、一方で「親が夏にエアコンをつけたがらず悩んでいる人が63.8%」いることがわかりました。
※1 引用 気象庁全国の季節予報より
https://www.jma.go.jp/bosai/season/#term=season
調査によると、夏場、積極的にエアコンを使用していない高齢者が13.0%(グラフ1)と、熱中症対策が叫ばれる中、いまだに エアコンを使用したがらない高齢者が一定数いることが分かりました。
その中で、夏場にエアコンを使用しない高齢の親に、「使うように促したことがある」人は74.4%(グラフ2)でした。しかし、促したにも関わらず、「親が夏にエアコンをつけたがらず、悩んでいる」人が63.8%(グラフ3)という結果になりました。
高齢者がエアコンを使用したがらないと思われる理由としては、「節電、電気代がもったいないから」が33.3%と生活に直結する回答が1位でしたが、「エアコンを使用するほど暑くないから」29.5%や、「エアコンは寒いから」28.2%など、そもそも「暑いと感じていない」と思われることもわかりました。また、「エアコンは体に悪いから」26.9%など、エアコンを使用すること自体にネガティブなイメージを持たれている方や、「昔はエアコンを使っていなかったから」9.0%(グラフ4)と、過去のイメージをそのまま持たれているような回答も見られました。
一方で、「ご両親が、夏場エアコンをつけず自宅で過ごしているときに、具合が悪くなったことはある」と答えた方が10.8%(グラフ5)と、10 人に1人がエアコンをつけていなかったために体調を崩していたことがわかりました。
【調査概要】
■グラフ1~5
・調査対象者:東京・大阪在住の40~79 歳の男女600 名
・調査方法:インターネット
・調査期間:2022 年5 月27 日(金)~5 月31 日(火)
そこで今回は、高齢の方と接する機会の多い主任ケアマネジャーの寺岡純子さんにお話を伺い、なかなかエアコンをつけたがらない高齢のご両親への意識改革と、エアコンをつけてもらうための具体的なコミュニケーション方法についてご紹介します!
高齢になると暑さを感じる感覚が鈍くなるため、「暑くない」と言っていても、しっとり汗をかいている場合や、気温に合わない服装をしていることがあります。
また、内臓の機能が低下していると体温の調節が上手くできないこともあります。だから暑くてもエアコンを使わないことが多くなってしまうのです。
まずは高齢者の方自身に“エアコンをつけることが重要である”と、正しく理解してもらうことが重要です。そのためには、ご家族など周囲の方のサポートも大切です。
気象庁によると、東京ではこの100年間で年間の平均気温が3.3度上がっています※3。特に上がっているのが最低気温で4.5度、最高気温は1.9度上がっています。
※3 引用 気象庁 気候変動監視レポート2021 p52より
https://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/monitor/2021/pdf/ccmr2021_all.pdf
通常は、外気温の上昇に伴って体温が上がれば、体が暑いと感じて汗をかくなど、体温を下げようとする機能が自然と働きます。しかし、年齢を重ねるとこのような体温調節機能が低下してしまい、体温が上昇してもうまく体が対応できず、体温を下げることが難しくなることが多くなります。
「つけっぱなしにしていると電気代がもったいない」と考えている高齢者もいらっしゃいますが、三菱電機の実験でも、エアコンはつけ始めが最も消費電力が高くなることがわかっています。なので、こまめなオンオフを繰り返しても、つけっぱなしにしても積算消費電力量はほぼ変わらないという結果になっています。オンオフを繰り返すと、すぐに室温が上がり熱中症のリスクも増加してしまいます。
三菱電機では、エアコンを「入り切り」と「つけっぱなし」にした場合で、消費電力と室温の変化について実験しました。以下グラフのように、「入り切り」した場合と「つけっぱなし」の場合を比較すると、積算消費電力量は、「つけっぱなし」が492Wh、「入り切り」が522Wh となりました(図①※冷房運転安定時からの1時間30 分で計算)。途中で30分間運転を停止した「入り切り」では、運転再開時に一気に消費電力が上昇したため、最終的に「つけっぱなし」と積算消費電力量はあまり変わりませんでした。さらに「入り切り」では、エアコンを切ってから約30分で室温が3℃以上※も上昇し(図②)、熱中症のリスクも増加することとなりました。
※電気代や室温の上昇度合いは、お住まいの地域やお部屋の環境、ご使用条件等により変わります。
<冷房運転時、“つけっぱなしにした場合(水色)“と“30 分間運転を停止した場合(入り切り)(赤色)”の 「消費電力」(図①)と「室温変化」(図②)>
蔵庫やテレビなど目につくところに、デジタル温度計を設置し、「室温28度以下」「エアコンはつけたままにする」などの注意事項を書いて貼っておくのがおすすめです。
視覚的に理解しやすくなり、自分の感覚よりも室温が高くなっていること、また昔と違い高温な日が増えていることに気がつきます。家族との日常生活でも室温を確認する習慣をつけましょう!
高齢者の意識を変えることは簡単なことではなく、周囲の人たちが繰り返し伝えていくことが大切です。
言ってもすぐに変わらないからと相手を責めると逆効果になることがあります。具体的に今回の実験結果を見せることや、主治医から「つけっぱなしにすることが大事」というメッセージを書いてもらい、目につくところに貼り付けるなど、視覚で訴えながら「オンオフを繰り返すよりつけっぱなしがよい」といろいろな人から繰り返し伝えてもらうのが良いでしょう。
つけっぱなしにすると、室温も一定に保たれ熱中症対策としても有効です。デジタル温度計を設置しながらエアコンを使うと室温の変化がわかりより効果的です。
伝える人や伝え方も重要です。主治医やケアマネジャーさんやヘルパーさん、お孫さんの言うことは聞く傾向にあります。「エアコンをつけないとダメ」ではなく、「いつまでも元気でいてほしいから、エアコンをつけてほしい」といったポジティブなメッセージを伝えましょう。
主任ケアマネジャー
合同会社カサージュ代表/看護師・主任ケアマネジャー
介護保険の施行に合わせて、急性期医療から介護業界に転身。居宅介護支援事業所を運営、
介護BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)の推進などの事業を行っている。